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はる
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(日常小話)線香花火②

公開日時: 2021年7月12日(月) 16:31
文字数:634

僕とひよしさんは、花火とバケツを持って、近くの公園に行った。


小さな公園だから、夜は人が全くいない。


僕らは花火セットの中身を開け、オーソドックスな手持ち花火に火をつける。


バチバチバチと色とりどりの火が踊る。


「綺麗だね」


「だな。たまにはこういうのもいいよな。つーか空、いつまで制服着てんだよ」


「なんかもう着替えるの面倒くさくて」


「空ってさ、キチッとしてんのか面倒くさがりなのか良くわかんねーよな」


「そうかなぁ?ひよしさんは100パーセント面倒くさがりだよね」


「んだとコラ。ロケット花火、お前に向けて発射するぞ?」


「…いい大人でしょ…」


発言が中学生だよ、ひよしさん。


ひよしさんの花火が終わったので、新しいのを取り出しながら僕に「火、もらうぜ」と言って近付く。


僕の手持ち花火から火を移そうとするとき、ふいにひよしさんの腕が僕の腕に触れる。


そのままひよしさんはじーっと花火の先を見つめる。


「ひよしさん、もう火ついたよ?」


ひよしさんの花火にも火がついたのに、僕に密着したまま離れないひよしさんに言った。


「なぁ、空」


「なに?」


「空の制服姿を見ていられるのもあと1年半くらいなんだな」


僕は高校2年生で、今は夏だから、卒業までは確かに約1年半だ。


「急にどーしたの?」


「別に。ふと思っただけ。」


なんか珍しくひよしさんが物思いに耽ってるから、僕も珍しく自分からひよしさんの広い胸に顔を寄せてみた。

 

「急にどーした?」


「別に。そういう気分だっただけ。」


そうして僕ら2人は暫く花火を見つめていた。


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