地中海西部、イタリア半島の西に位置するスイス領の島の上で、『学園都市バラム』と呼ばれる学園の生徒が、国際的な目を逃れて暮らしていた。
彼らはアメリカで開発されていた国際的な科学技術の被験者であり、同時に、遺伝子科学の突然変異によって、特殊な能力を持つようになった『イレギュラー』と呼ばれる存在だった。
彼らが研究の過程で生まれた当時、国際連合の人々は彼らを危険視し、存在自体を秘匿的に消去しようと、科学施設の研究の停止とイレギュラーたちの機密抹消処理を試みようとした。
しかし、イレギュラーにも人権と、「人」としての生きる権利があると主張した研究施設の管理者、『東堂院アヤカ』は、彼らを収容した船をニューヨーク/ニュージャージー港から出航させ、永世中立国家スイスへと渡ることを決意する。
自由を求めて旅立った彼らは、今では“独立国家”を目指して絶海の孤島に移り住み、平和な日々を送っていた。
いつしか、「人」として認められる日が来ること、——自由に世界を歩ける日が来ることを、願って。