「今回の件に関しては葵が悪い」

　「なんで！？」

　「そもそもあんな威力がでかい技を披露するとか、レザックじゃなかったら相手は死んでたよ？」

　「それを見越してやったんだよ」

　「そういう問題じゃないでしょ」

　「じゃ、どういう問題」

　「演習はあくまで演習。限られたルールの中で相手を制してこそ、意味があるの」

　「リョウが加勢してきてる時点で話が変わってくるだろ」

　「それが事実だとして、どうして審査員に申し出なかったわけ？」

　「それは…」

　「私も見てたけど、いざとなったら緊急ブザーを押すことができたはず。どうせ頭に血が上って、あんなことしたんでしょ？」

　「そーだそーだ！」

　「ぐっ…。それはまあそうだが、私が今怒ってんのはアカネの件だっつーの！」

　「それもあんたが悪い」

　「はぁ！？何でだ！」

　「そもそもアカネは心配してたんだ。あんたが無茶ばっかするから」

　「ちゃんと計算してました！」

　「あれで？？」

　「見たらわかるだろ？計算してなかったら今頃この場所も吹っ飛んでた」

　「私が言いたいのは、計算してるしてないの問題じゃなくて、そういう「可能性」がある状況を作った問題なの」

　「…へーへー」

　「それに重力弾(グラビティボール)を使ったでしょ？あれほど使うなって言ったのに」