ヒヤシンスは遊ぶのだろうか?

Kay.
Kay.

第2笑 アニマル先輩

公開日時: 2021年4月12日(月) 01:03
文字数:2,767

風信は今、普通棟(1棟)4階一番奥のロシア語教室にいた。



「ああああぁ......なんだろこの状況......」



「はい、ストレートフラッシュ」



ウサギは赤色のハート3、4、5、6、7の5枚のカードを机の上に出した。



「やられた~!! って! ストレートフラッシュじゃないし! なに! なんなのぉ~!! この状況!」



風信は椅子から立ち上がり、ツッコんだ。



「いや、ストレートフラッシュだし」



「たしかにストレートフラッシュだな! いや! そうじゃないんだわ!」



「ていうかお前だれだ?」



「あれ!?!? おれのこと知らなかったオチィィィィ~~!!」



「ふふふ、皆のものよ紹介が遅れたわね。今日からの新入部員よ」



「勝手に部員にするな!」



猫は風信をもう部員として入れた。



「まあまあ、といわけでこの用紙に名前かけ」



「かくかー!」



「なぜだ? 入りたいから階段の下にいたのだろう?」



「それ! めっちゃ誤解! はいりませんよ!」



「はははは! 大丈夫だ、わかっている!」



「なにが?」



「入りたい! という目をしているではないか!」



「そぉうですか???(怒)」



「ていうか、この部活一体なんなんだよ?」



「あれ? あなたチラシ渡したのにみてないの?」



「チラシ? ......あ、あのチラシか......」



風信はカバンからpy部の勧誘チラシを出した。出したのはいいが、パッといれたためくしゃくしゃになって、字が読めないほどに折れていた。



「あ、ぐちゃぐちゃだ......これは読めんな」



「おい! なにしてんねん!」



「え!? 急な大阪弁!?」



急に大阪弁でツッコミをいれたのはカバの着ぐるみのコスチュームを着た女性だった。



「それ! 私が描いたよ!」



「そうなのか? でもまだいっぱいあるならいいじゃん一枚ぐらい」



すると、カバは泣き始める。



「ぐす......ぐ......ぐすぐすぐすん......ふえぇ......」



「カバが泣いてるところ初めてみた......」



「あら! カバちゃん! 大変! 大丈夫?」



猫はカバを心配し頭をナデナデして、慰めようとした。



「カバちゃんって......」



「あああぁ~もうわかった! 悪かったな!」



すると、カバ、猫、ウサギはニヤリとした。



「じゃあ、これで許してあげる......名前書いて......」



カバは泣きながら、用紙を渡した。



「おっ! 許してくれるのか!?」



と、用紙になにも考えずに用紙に笑顔で名前を書いた。



「これで、許してくれるのな! え......これって......」



風信はなにかに気付き、笑顔が消える。



その用紙には「部活動入部届申請書」と太字で堂々と大きく書かれていた。



「キイヤぁぁぁぁぁ!!!!!!」



 風信は頭を抱え、猫に引っ掛かれたような声で叫んだ。



「ありがとう......私のために......」



「カバにありがとう! 言われたし! てか入らねえ!!!」



「ぶ~ぶ~! でもだめだよ、もう申請書書いてもらったし......それに......」



カバは携帯の写真を風信に見せる。



「ん?」



そこには、笑顔で申請書を書く風信の写真が撮られていた。



「なんっ! じゃあこれは!? アンビリーバボー!! ああ! くそ!! わかったよ! 入る! 入ればいいんだろ!!! ちくしょぉぉぉ!!!!」



「ふっ......では、ようこそ私たちのPy部へ!」



猫は改めて、部活に引き入れた。



「はあ......もういいよ......そういえば、なにする部活なんだ? ここ」



「そうか......おまえのはしおっしおだもんな」



「おい、猫、ちょっとエロいぞ言いかたが......」



「そうだな? というか、気づかない? Pyって......」



「パラサイト・ヤッホー?」



ウサギが答えた。



「お前が答えるのかよ! ていうか自分の部活だろ!? 自分の部活の名前知らずに入ったのか!? それ間違えだよね!? パラサイトって映画じゃん!! ヤッホーってなんだ!?」



「パラグアイ・ヤッホー?」



今度は、カバが答える。



「それ国だし! 南米の暑い国! またヤッホーって! 好きだな!」



「え? みんな私の作った部活の名前、まさか知らずに......うそ」



猫はカバとウサギの答えにびっくりして落ち込んだ。



「なんて仲間入れたんだよ! 猫!」



「冗談よ」



カバはそれに対して答えた。



「ですよねーー!!」



「ごほん......さっさと正式名称言うわね」



「だったら、早くいってくれ」



「Py部のPyは......」



猫は部活の正式名称を言う際に言葉を貯めた。クイズ番組の答えを言う時みたいに。



「なげぇな! おい! そんなにためなくていいだろ!!」



「PARTYのPyよ!」



「あっそ......」



「え? なに? その反応」



「だって、普通だし、もっと面白い名前なのかと......」



「きにしてることを普通にいうわね......」



「そだな」



「で?」



「で? とは?」



「いや......部活内容は?」



「え? もう経験したじゃない??」



「え? まさか......トランプをする部活とか?」



「呆れたわ......たしかにトランプをやる部活ではあるけど、私たちはもっとスケールがデカイのよ! それはあらゆるゲームをやりつくす部活よ! 例えば! ボードゲーム! トランプ! 世界のゲーム! コンピューターゲーム! スマホゲーム! カードゲーム! あらゆるゲームをして、世界を制する! それが、Py部よ!」



「そうか......」



と、風信はカバンを持ち、帰り始める。



「ちょっと! どこいくの! さっきの説明聴いてたぁ!!」



「わかってるよ、きいたきいた。でもこの後用事があるんだ......帰らせてくれ......」



「なんだ、用事があるのか? じゃあさっさと帰れ」



「あんた何様だ! 入れとか! 帰れとか!」



「あら? いけない? なに言おうが私の勝手でしょ? それに大事な用なんでしょ?」



「はあ? なんで大事な用ってわかるんだよ?」



「それは、言えないわね? 板井風信くん。その代わり明日はちゃんと顔出してよね? 君はもうPy部の人間なのだから」



「わかった......じゃあな」



と、風信はロシア語教室の扉を開けて、帰ろうとした。その瞬間、風信が帰る間際、猫は小声で風信にだけ聴こえるようにニヤリとして、独り言のように話した。



「いきものを大事にね......」



風信はその言葉にびっくりした。



今日初めてあった猫(人)が、自分のあのことを知ってるわけがない。



風信は家につくと、さっそうと部屋のヒヤシンスのお世話を済ませた。



そして、制服のままベッドに転がり、ふて寝した。



その時、風信はあることに気付いた。



「そういえば、あの猫......なんでおれの名前しってんだ? ていうか、おれの趣味まで」



風信はあの猫(人)に疑問が浮かび上がり、考えていた。そしてそのまま、眼を閉じて寝てしまった。



むしろ考えないといけないのは猫だけではない。まだまだわかってないことだらけだ。



明日になったら、いつもと違う派手な1日が始まるのだろう。

ー 2笑 アニマル先輩 ー 続く

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