今日は散々だった。
昼休み
「はっはははは!! それで今日遅刻したのか! ダッセエ!」
「うるせえ! 今日はタイミングが悪かっただけだ! 次からはない」
二人は、昼休みに教室で昼ごはんを一緒に食べていた。
一緒に……風信の前に座っているこいつは、小園紫苑。中学からの知り合いだ。紫苑は、風信より頭のよく優秀。スポーツも得意で万能。普通に誰から見てもモテるし、イケメンだ。ただ、こいつには、ある性癖がある。
それは……メイド服が好き! ということだ。
しかも、重度のシスコン。妹とメイドを前にすると我を忘れるほどだ。
本人曰く、良いメイドを見極める『ゴッド・メイドアイ』を極めている途中なんだそうだ。
イケメンなのに残念な男だ。
「だけど、本当に災難だったな。というか、お前ってそんな部活に興味あったんだな」
「全然興味ないわ! おれにあいつさえいればいい」
「ああ、あいつってあの植物のことかい? 好きだね~」
「うるさい」
「それより......さ?」
「なんだ??」
「扉の向こうで猫の着ぐるみきてるやつがお前をガン見してんだけど? もしかして......」
「なに!? なにも言うな! おれとはなにも関係はない! 幻覚だ!」
「え? でもさっきの話に、ねこが......」
「さあ?? なんの話だ? 無関係だ」
「そんなこと言わないでよ! いくら私でも傷つくわあ!」
「うわっ! なんかきたし!」
猫が急に接近してきた。
そして、急な出来事に風信は立ち上がりビックリした。
「ていうか! なんだよ! さっきから!」
「こんにちわ、ねこさん」
「あら、こんにちわ紫苑くん」
「なに、自己紹介してんだよ! おれの話きけ!」
「おら? なにかしら?遅刻男くん」
「遅刻男ってよぶな! おれが遅刻男だったらお前は遅刻女だな!?」
「あら! いいツッコミね!」
「褒められたし! うれしくねぇ! 」
「だから! なんできてんだよ! ここ1年の教室だぞ!」
「違う違う!」
「なんだ? なにが違うんだ? 紫苑?」
「ここは1年C組の教室だよ、だよ!」
「どうでもいいわ!! 細かいな!」
「だって......もう昼休みなのに風信くん、部室に来ないから......」
と、猫は目をうるうるっと泣きそうな顔で話した。
「いくか! 遠いし! めんどくさい!」
「え? めんどくさいの?」
「だって、ここ2階だぞ? 部室4階(5階)じゃん」
「あ......」
「おい、ねこ」
「あはは!」
「あはは! じゃないし!」
「よいしょ......」
「なに座ってんだよ!」
「え? だって部室遠いからここで一緒に食べようと......」
「そこ、おれの椅子だし! くそが! もう帰れよ! 動物仲間のところに帰れよ! なんなんだよ! 尽く現れやがって!」
「まあまあ、風信、一緒食べようじゃないか」
「紫苑......おれの椅子がない!」
「立って食べれば?」
「立ち食い蕎麦屋か、ここは!?」
「そだな」
「あー! くそー!」
と、ここで、チャイムがなる。
キンコンカンコーヒー! キンコンカンコン!
「あ! なったし!」
「さらばだ!」
「あ! 逃げんな! ねこ! くそ! 猫だから逃げ足はやい!」
「おーい! 板井! 小園! さっさと掃除にいきな!」
そこに長久保先生がやってくる。そして風信と小園に注意した。
「あ! しまった!」
「しょうがない、風信、掃除いくよ!」
「わかったよ......まったく......」
二人は自分の今日やる掃除の場所に向かう。風信はしぶしぶ向かった。
今日は2階の男子トイレを3人で掃除した。もう1人は、同じクラスの幡野だ。幡野豪志だ。というか、掃除は基本的に同じクラスの人たちとしかやらない。
その中で、例えばAチーム、Bチームのように分ける。そして、6人の掃除チームをそれぞれ担任の先生がきめる。場所も担任の先生がきめるそうだ。
風信たちは今年一年は2階の男子トイレ、女子トイレを掃除する。もちろん女子が女子トイレを掃除する。掃除の時間は20分。そのあとクラスやつらが全員教室に集まる。そして、10分のホームルームが始まる。それが終わるとやっと次の授業だ。
ちなみに掃除のあとの初め授業は3時限目だ。
なぜか? 1時限2時間の授業だからだ。そして、その2時間の間に10分の休憩がある。なので、昼休みは12時30分からはじまる。
学校側の都合もあり、3時限目から1時間に変わる。そして、なにもなければ、15時には学校を出られるように設定されている。
1時限目から4時限目で終われる。ほかの学校とは少し特殊なところがある。
ほかの学校にはないメリットとデメリットが存在する。
放課後
授業が終わり、風信は帰ろうとしていた。
「やあ、風信、帰るのか? なら一緒に帰らないか? 久しぶりに」
「帰るよ。あ、すまん! 今日は尺だが、あいつの部活に行かないとけないんだ」
「あ~、あの部活ね。いいよ、また今度で」
「悪いな、紫苑、またな!」
「うん、またね!」
そういうと、風信は帰る前に一度、動物園に向かった。
階段をひらすら登り、ついに5階だ。左の一番奥のロシア語教室。
風信はそこに向かう。
風信は、ロシア語教室の前に着くと、扉を開けた。
そして、そこには動物たちがなにかをしていた。これはいったい?
「とりゃあ~!!」
「はあああ!! どうだ!?」
カバと猫の対決。しかもオモチャの日本刀みたいな、100均でよるある剣のようなもので。
「ははは! がんばれ!」
ウサギは2匹の応援をしていた。
というか、今だかつてこんな醜いカバ猫の試合を観たことがあるのだろうか。いや、世界初だろう、おそらく。
風信は無心に、ツッコミ入れず、そのままスルーして部室にある椅子に座った。
「君! だめじゃないか!? ツッコミ入れてくれないと!」
「なに!? ツッコミ誘い!?」
猫はそういうと、また近づいてきた。
「風信くん......」
「な、なんだよ?」
「来てくれたのね」
「いや、お前が来いって言ったんだろ!」
「あら、そうだったわね」
「ところでさ」
「なにかしら?」
「おれ、こいつらの素顔と名前すらしらないんやけど? ついでにお前も......」
「..................おーい! おまえたち! 次の試合はじめるぞ~!!」
「おい! 無視するなよ! 哀しくなるだろ!!」
「じょうだんだよ、冗談。君、面白いね」
「うるせぇー!」
「しょうがないなー、教えてやろうか?」
「いやいい」
「え......」
「別に、興味ねえし」
「フハハハ!! 風信よ! この私に跪け! そして、この足(肉球)を舐めろ!! フハハハ!!」
と、怖い顔でおどしてきた。
「ね、猫にそんなこと言われたの初めてなんだが!? ていうか、舐めるかー!!」
「冗談だ」
「あほか!!」
「まあ、自己紹介はしてなかったな。おい、みんなとりあえず、このアニマルスーツ脱ぐか」
「ア、アニマルスーツぅ?」
「ぬぎぬぎ」
3人はアニマルスーツを脱ぎ始めた。
「はっ! おい、まて」
「なにかしら?」
「その下はなんだ?」
「は?」
「あ、いや......」
「はっ! なるほど......あら、やだ風信くん、なに想像してるのかな?」
「いや......後ろ向くわ」
3人はアニマルスーツを脱ぎ始めた。が、風信の頭の中は、もうあほなことを考えていた。
風信の後ろから3人が脱ぐ音が聴こえる。チャックを引っ張る音とか、音が聴こえる。
「おい、風信もうこっち向いていいぞ」
「おっ! じゃあ......」
と、振り向くと、3人はまだアニマルスーツを脱いでなかった。風信を騙したようだ。
「うそつきいい!!」
「いい反応だな」
「早く脱げよ!」
「明日な」
「は?」
「だって、もうこんな時間だし」
「なに!?」
「じゃあなー! 風信くん、さらばだ!」
3人はバタバタと帰って行った。
「............」
すると、猫が戻ってきた。
「ん......」
「最後に残ったやつが鍵締めろよー」
「うるせぇー!」
「ハハハハハハ!!」
と、帰った。
「なんなんだよ、あいつら......」
この日は最悪な日だった。朝から放課後まで、厄介なやつらと。そして、風信はまだ彼女たちの名前も素顔もしらないまま終わった。
次の日は、知ることが......いや、普通の部活の日は来るのだろうか。
ー 4笑 アニマルと部室 ー 続く
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