完結済 短編 現代世界 / ホラー

これはええんや

公開日時:2023年1月25日(水) 22:07更新日時:2023年1月25日(水) 22:07
話数:1文字数:405
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ここに箱があります。


中には女子大生と、男子大学生、それからおっさん。

後ろの方にはおばさんも少々。


約八時間くらいだろうか、みんな同じ時間を過ごす。

誰だよタバコ吸ってきた輩は。匂いが残ってるの気づいておらんのか。


おっさん特有?のむっと鼻の周りにまとわりつくような匂いが漂う。

彼らはこの空間に耐えられるのだろうか。


と言うより、なぜ彼ら、特に若そうな彼女たちはこの箱に入っているのか。

苦を耐え忍んで、目的を果たさんとしているのだろうか。


その心意気には恐れ入るところだが、

もし苦痛ならどうか、どうか別の箱へ。


それとも、ここに入るほか手段がなかったのだろうか。

ああ、なんと悲しき世界か。私はそっと手を合わせた。


ぎゅっと狭い空間に、老若男女問わずに人が詰まっている。

なまあたたかい、濁った空気がたゆたう。


私は具沢山の、ごちゃまぜになったシチューを、思った。

ぶろろん、箱はゆっくりと動き始めた。


窓の外には澄んだ夜の空があった。

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