ここに箱があります。
中には女子大生と、男子大学生、それからおっさん。
後ろの方にはおばさんも少々。
約八時間くらいだろうか、みんな同じ時間を過ごす。
誰だよタバコ吸ってきた輩は。匂いが残ってるの気づいておらんのか。
おっさん特有?のむっと鼻の周りにまとわりつくような匂いが漂う。
彼らはこの空間に耐えられるのだろうか。
と言うより、なぜ彼ら、特に若そうな彼女たちはこの箱に入っているのか。
苦を耐え忍んで、目的を果たさんとしているのだろうか。
その心意気には恐れ入るところだが、
もし苦痛ならどうか、どうか別の箱へ。
それとも、ここに入るほか手段がなかったのだろうか。
ああ、なんと悲しき世界か。私はそっと手を合わせた。
ぎゅっと狭い空間に、老若男女問わずに人が詰まっている。
なまあたたかい、濁った空気がたゆたう。
私は具沢山の、ごちゃまぜになったシチューを、思った。
ぶろろん、箱はゆっくりと動き始めた。
窓の外には澄んだ夜の空があった。
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