ここでこの物語の真相に少しだけ迫っていきます。
この英子たちの世界を監視している人物の登場です。
しかし、そこでは少し変わった風景が広がっていました……。
『チャンチャンチャーン♪』
耳に届く高らかなファンファーレ。
「何、もう朝なのですか?」
何でかな、あまり寝た感じがしない。
ひょっとして、また真夜中に目が覚めたかな?
あれ? でもおかしいな。
私、体が立ってる……。
まさか立ったまま寝ていたの?
いや、それ以前に赤いカーペットの上で、しかも手足が勝手に動いて、その場で足踏み行進しているんですけど?
「いやあああ!?」
さらに私の手足がペラペラで、それに平たくカクカクした玩具のブロックのような四角い服装と体つき。
私、いや、周りの人も人間の形をしていなくカクカクな形をしてる。
それから、この見慣れない高級ホテルのような室内はどこかな?
「おお、気がついたか、勇者よ」
はあ?
あなたは誰ですか?
あと、他のみんなはどこだろう?
「──勇者の次のレベルアップまでの経験値は……」
……さっきから玉座に腰かけたお髭を生やした、赤い服のサンタみたいな格好のおじさんは何を言ってるの?
「──おお、すまん。英子ちゃん」
すると、別のサンタみたいな人物が私の後ろからやって来る。
「すまんな、ちょっとトイレに行っててな。ダミーを動かしていたんじゃよ」
「……あなたは誰ですか?」
「ワシが君の言っていた、英子ちゃんたちの世界のシステムやシナリオを担当していて、さらに下らないお笑いTwitterもやってる『とあるお方』、自称『ネタツイ王様』じゃよ」
「ええっ? と言うことはここは天国?」
「違うわい、おたんこなす。
ここは英子ちゃんの記憶とリンクしておる夢の中での場所じゃ。とりあえず落ち着け……」
****
「──それからここはな、ワシがプログラムで動かしておるゲーム世界の一つ、『トンズラクエスト』の中じゃ。容量が非常に少ないブァミコンで起動しているゆえにキャラデザや背景なども雑なドット絵ですまぬな……」
「はあ、グラム? お肉の世界ですか?
今日? は魚料理にする予定なのですが?」
「……まあ、今回はよい。初めてワシにあって緊張しとるのかのう……。
──今日は城下町の宿屋でグッスリ休むんじゃな。そして、また明日から、いつものようにあの世界を存分に堪能するのじゃ。これからもいつものお惚けな三人とともに、あのゆるふわな世界の運営を頼んだぞ」
……と意味不明な発言を喋り、王様は私に金色の円盤、いやメダルを数枚くれた。
「カジカジ……これメダルチョコじゃないんですか?」
「いや、それはこの世界のお金じゃ……」
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大きなお城を出て、城下町に下りた私は指定先の宿屋を探す。
その宿屋はすぐに見つかった。
だけど鍵がかかっているのか、扉のドアノブが固くて開かない……。
私は近くで一定距離をウロチョロと歩く坊やに、声をかけてみる。
「ねえ、そこの坊や。この扉どうやって開けるの?」
「簡単だよ、えいっ♪」
軽いチャイム音とともに軽々と扉ごと外して見せる坊や。
「あ、ありがとう……」
明らかに扉を壊してるのにいいのかな……。
私は困惑しながら中へ入り、背中越しに自動的に修復する扉の様子に驚いていた。
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「ようこそ旅の宿へ。一晩10ゴールドになります」
私は歯形がくっきりとついた金貨をカウンターにいた黒ひげのマスターらしき人に渡す。
「お部屋は二階になります。ごゆっくりおやすみなさいませ」
階段を乗ると一瞬だけ暗闇になり、二階に辿り着くと、どっと疲れていたのかすぐに睡魔が訪れた。
ああ、夜空に煌めく星が綺麗だな。
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『たっ、大変だー!』
ふいに、私はその宿屋のマスターの声で目を開ける。
ポツポツと天井、いや天井自体がない吹き抜けの空から降ってくる嫌な匂いの雨。
肌に刺さると若干痛みを感じる。
『家具の下に隠れろ、酸性雨が降ってきたぞー!』
私は慌ててベットの床下へと逃げ込む。
もう今日は嫌になっちゃう。
何で、この世界の家には天井がないのよ?
夢なら早く覚めてほしい。
もう踏んだり蹴ったりだわ!?
第5話 おしまい。
ゲーマーならお馴染みの某有名ゲーム、ドラ○エからのネタです。
街や人がドット絵だったり、扉を外して部屋に入ったり、家の天井に屋根が付いてないなど、ファ○コン世代のファンならニヤリと思わせる内容で一杯です。
酸性雨が降ってくる締め方などが特におかしくて、当時の私は何を考えてこんな終わり方をしたのだろう? と思ってしまいました。
ちなみにあるネットからの投票結果にて、ライバルゲームのファイナル○ァンタジーより、ドラ○エの方が名作が多いという方が、結構多いらしいですね。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!