※資料集を追加しました。ざっくり読みたい場合や登場人物の確認にどうぞ。
※ただいま更新作業を停止し改稿作業に専念しております。現在序章から第三章までの改稿が終了しております。
『巡り行く運命の狭間に 主君と騎士は出逢いて
奏で合う律動の軌跡に 忠義は夢幻爪弾く』
――『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』、冒頭の一文
『束縛の夜、運命の牢獄は崩れ去り、解放の朝、誰とも知らぬ黎明に、二人は旅立っていった』
――『フェンサリルの姫君』、最終盤の一節
魔物に異種族、魔法が存在している世界イングレンスに住まう、この物語の主役として選ばれた者。それはエリスという名の少女とアーサーという名の少年。
世界最大の王国グレイスウィルにある魔法学園に入学した二人は、誰にも言えない重大な秘密を抱えている。アーサーはナイトメアの始祖たる存在で、エリスは彼を発現した主君であるということだ。
かつて世界に君臨していた聖杯は失われ、それに取って代わった帝国も滅亡し、平和が訪れた新時代。人々の間には騎士の夢――ナイトメアと呼ばれる使い魔を発現することが普及し、今や己の騎士を持たない者の方が珍しくなった。この光景に至れたのも、全ては原初たる存在アーサーがいたからである。
彼の活躍は騎士王伝説と呼ばれ、彼自身もさることながらその臣下達との冒険の数々も、イングレンスにおいては広く知られている。この世界においては彼の名を知らない者はいない、時代を支配する為政者よりも素晴らしいであろう存在。そのような彼が何の変哲もない村娘、エリスの元にやってきたのであった!
何故アーサーが自分の元にやってきたのか――騎士王を発現した者として、どのようにあるべきか――その答えはきっとこれからの日々にある。正体を隠し普通の少年少女として学園生活を謳歌することで、必ず大いなる謎への回答が見つかるだろう。そう信じて二人は学び舎の戸を叩く――桜の花びらが旅立つ二人を見送っている。
しかし誰もが知り得ない。仮初の平和が覆う世界に、運命は暗く影を落としていた。
※小説家になろう、カクヨム、Nolaノベルにも投稿しています。