死んだらどうなんのって思う時がある……。
いや、思う時があったと言うべきだろうか。最近はめっきりそんな考えをすることが無くなった。
昔は何でかよく考えていたことだ。でも、いつからか気になることは無くなってしまった。もし自分が死んでしまったら、次の瞬間何が起こるのかっていうことについて。
僕はある日の夜に、またそれについて疑問を抱いた。
本棚に並んでいるバトル漫画を一気に10巻くらい読み直した時に、登場キャラが「あの世でまた会おう」とか「死んだらすぐに俺も後を追う」とか死後の世界があるみたいなセリフを言うものだから、実際このキャラ達はあの世でまた会えているのだろうかと気になったのだ。
感動シーンだったので少し涙ぐんで、そのほとぼりが冷めると漫画から手を離して頭を働かせた。
現実で死ぬとどうなるかって議論を交わすときに出る結論は大きく分けて3つあると思う。1つは生きている内にどんな行いをしてきたかによって天国に行くか地獄に落とされるか決められて、天国に行った者は安らかに暮らし、地獄に落とされたものは途方もない苦しみを味わうというもの。
もう1つは輪廻転生。死んで肉体から離れた人間の魂は1度天界に帰った後、何年か経ってからまた別の肉体を授かり、再びこの世界へ生き返る。どのくらいの時間が経ってから転生するとか、人間の魂が別の生物に生まれ変わったりするのかどうかとかは諸説ある。
最後は、何もなくなる。死んだら人間はそこで終わる。無になるだけ……。
正解はこの3つのどれかかもしれないし、それ以外の全く違う選択肢かもしれない。ただ、今はどれが正解かを考えるのは置いといて、僕はこの中のどれがいいとか転生するなら何が良いみたいなことを考えていた。正解は後で分かるから。
僕の好みではとりあえず、無になるのだけは嫌だ。そう思う。だって今まで生きてきて培ったものがその瞬間全く何も無くなってしまうのって怖いし、じゃあ何で人間は生きてんのって思ってしまう。
そういえば、昔もそれが嫌で定期的に死について考えていたのだ。小学生くらいの頃だ。今よりも先が長く見えていたはずなのに怖くって、暗い夜が来る度に考えさせられていた時期もあったっけ。
安心を求めて大人にその質問を投げかけてみても、子供の頃は自分もそんなこと考えてたなと懐かしまれるだけで望む答えは得られなかった。
考えども考えども、絶対に答えが出る問題ではないから、きっと皆大人になるまでにその不安に慣れてしまって考えるのをやめてしまうんだと思う。
答えは得られないし、答えが分かったところで人間は死から逃れらないから結果は変わらない。だから、死ぬまで自分が1番楽になれる死後の世界を信じていればいい。
たぶんこれが、死んだらどうなんのって疑問の答えなのだろう。
ただ、僕には答えを得る手段があるし、今日の僕はそれを受け入れられそうな精神状態だった。
「死後 世界」
黒いパソコンを開くとワードを入力した。
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