叛撃のKGU

郷土研究会戦記皇學館異聞見聞録
JULIUS
JULIUS

EPⅠ宿命(Das Schicksal)

EPⅠ宿命(Das Schicksal)

公開日時: 2020年9月9日(水) 09:06
文字数:45,850

EPⅠ宿命(Das Schicksal)

天照暦37年3月15日

天神幽華の息子天神幽禅(十五)は、いつもと変わりなく倉田中学に通っていた。

倉田島の丘に城壁と神殿に囲まれて砂丘の丘に建てられた中学の三年生だ。

「よっ、おはよー」

「あっ、幽禅!おはよー」

「おはよー」

「おはよー」

「幽禅!幽禅ってたらお弁当忘れているよ!」

追いかけてきたのは幼なじみの神室渚だ。

幽禅は自転車を降りて渚が跳び蹴りした。

「あっ、悪い、悪いってんだよ。みんなぁっ先に行っていてくれ」

「おう、おう!」

友達数人が中学に向かっていき幽禅は渚から弁当を受け取った。

「ああ。ありがとな。御前も年頃なのだ・・・俺と居て楽しいか?」

「え?何、何言っているよ。私はタダ・・・その・・・」

口籠もるわけだが、内心察していたのは当然幽禅の心だ。

「分かるよ。母さんだ。母さんは心配性だ。それが仇とならなかったら良いのだ。」

「えっ?渚!今の時代は乱世の時代だ。俺達が生き抜いてこの時代の顛末を終局させるのが俺達なんかじゃねぇか?」

「フッフフフフフフフフフフフフフフフ。パパと一緒。パパも言うのよ」

「ああ。小山さんね・・・」

小山薩摩守(こやまさつまのかみ)右大臣左近将監(うだいじんさこんしょうげ)拯齋(じょうさい)之事。

渚の父で倉田島の富裕層で丘の一等地に広大な神殿を保有してある。

渚と一緒に中学に向かった。

「ねぇってば、中学出たらどこに行くの?」

「え?俺・・俺は津田に行く。御前と別れ離れるが、案ずるな。この身に少しでもみゃ~渚を護る」

「そう・・・」

幽禅は渚を護ると誓った。

倉田中学KGU郷土研究会課ここが三年間幽禅と渚が学び、在籍生徒数五百人。

全校生徒の二割がこの郷土研究会課に在籍してある。

「ハッハハハハハハハハハ」

クラス3-3に行き席に座ると笑っていたのは、英矢だ。

「朝から超ラブラブだな。おい、おい、幽禅!奪っちゃいなよ」

「うん。うん。英矢よく言ったぞ。そうだぜ、幽禅!男見せろよ!」

「イケイケイケイケイケイケいけ!」

幽禅は固唾を呑み唾を呑んだ。目を渚に合わせて渚も首を傾げた。

「あっ・・えっ・・そ・・・そ・・あっ・・・そ」

言葉が出てこず拳をギュッと握りしめて幽禅は覚悟した。

「渚ッ!あのさぁ、(Nagisa ~ tsu Anosa)今晩(Abendessen heute)俺ン家に(Emissionen zu mir nach Hause)来い(Um Kei)!そして(und)、御前の処女(Jungfrau von Ihnen)頂くぞ(empfangen)!」

「え?何を言い出すのよ。大声で恥ずかしいわ~まぁ、だけど私達もう大人なのだし良いわ。下手な男に奪って貰うより御父様が自他認める幽禅なら私が許可する。」

即決に英矢が幽禅の肩を叩いた。

「やっるぅー、幽禅。おめでとう。最高にLOCKだぜ!俺なんて中学入る早々に三十人も頂いた。まだまだだってよ・・・幽禅」

同じクラスメイトで友人の菊澤英矢は先に命を落とした郷土研究会の英雄菊澤秀保の息子。

中学はロックバンド部の部長を務めている。

朝礼の頃先生が戸を開けた。

「お前ら元気上等か?よしっ、今日も朝から勉強喧嘩元気上等フルスロットルバリ元気で行こうぜ!」

担任の鵜野肉兄が机に教材を置き生徒三十二人を見ながら言うと、生徒は聞いていた。

「だけど、今日はお前らにSpecialなVIPな転校生を紹介する。出てこい」

扉を開けて部屋に入ってくる女子に全員響めいた。

「うっわああああー!美人だ!美人だ!美人だ!美人だ!うううううううううっ!」

男子全員歓喜湧くが、肉兄が嫌悪した顔で机を叩いた。

「落ち着けよ。落ち着けよ。なぁー、名前言ってやれよ。」

女子がチョークで黒板に名前を書いた。

《村上式部瑤子(Yoko Murakami Shikibu)(十九)》

「村上瑤子です。訳あって十九歳で此方にお世話になります。教職として皆を剣と銃の師範として御校の淳親様の恩赦とKGUの御意向に沿って精進励み致します。」

礼をして大剣と銃を床に下ろす仕草を見て英矢が鼻血を出した。

「英矢?先生!先生!肉野郎!英矢が鼻血出ています」

「おっい、おい!幽禅。俺は大丈夫です。」

ハンカチで鼻血を拭き瑤子が黒板に書いた。

「天照菰野術(Amaterasu Komono Chirurgie)。これが私達菰野市で生きる私が免許皆伝した皆の衆に教える剣術。特にこの乱世の時代生きて死ぬ世に私はみんなに死んで欲しくないから教えます。」

黒板に書き肉兄も感心した。

天照菰野術の師匠土方将司は初代菰野市長傍ら武道館の館長で、門弟達がその数五十万人を超す。一代創生期で、将司以外にも妻の脩爾父親の龍艶・長島・榊原・森・諸岡もその子達も菰野抜刀術及び天照菰野術の免許皆伝の師範代である。

子達も師範代の資格を持っている。

第一弟子が、瑤子である。

瑤子は大剣を湯川村正の子湯川輪廻に創られた剣であり、二対一刀の大剣《バルムンク》を鍛え打ち直した刀匠として有名である。

銃を創ったのは、同じく湯川である。

「私が御校の生徒に命を守る。良いか?厳しい道に耐えろ!うぉっ!」

瑤子は手軽な鎧に大剣と銃だけの装備だけで、黒コート・革ブーツにサングラス・バングルなどの装飾で、職員室に向かった。

「んじゃぁ、先生は瑤子さんと一緒に職員室に行くからそれまで自習!」

「おおおう!」

全員士気が高まり幽禅はCODE全史でも読んでいた。

著者は織乃坂友禅。

幽禅は本を読んでいると、渚も本を読んでいた。

「ねぇってば、幽禅。聞いてよ、聞いてよ、聞いてよ、聞いてよ、聞いてよ、今晩幽禅行くけど晩飯何が良い?お母さんに聞いてみる?」

「俺の好きなもの何でも良いだろ?えっ?ンなぁ訳にはいかんが!」

「じゃぁ、休みの時に聞いてみる。」

そう言い休みの時に渚と俺は屋上の神殿の上に昇り花園の庭園の世界樹の前で渚が琥御架に電話した。

幽禅はハーブを摘み果実園でマンゴー・ドラゴンフルーツ・アサイーを罪篭に入れて野菜園ではブロッコリー・タマネギ・トマト・クレソン・キャベツ・レタス・ほうれん草・水菜・青梗菜・ケールを同じく摘み終えると、ベンチに座っていた。

《あっ、もしもし?お母さん?今晩お家に伺うけど何が好きか教えてくれませんか・幽禅のはい。はーい。私が行くのですよ。》

《そっ、そうっ・・・幽禅が好きなのは唐揚げとカレーよ。》

《はいー。分かりマシたぁー》

電話が終わり渚は幽禅も教室に戻ると肉兄が椅子に座り書類を書いていた。

「先生、只今戻りましたわー」

「おう。今日は大事な話がある。このクラスの中で郷土研究会に入る者居ないか?新学期早々のことだが、淳親に言われてね。ハハハハハハハハハハハハハハ」

「先生、もっとずうずうしく生きてこーぜ!きばってこーや!ブンブン」

「そうだな。」

英矢に押されて肉兄は名簿を見ながら名前を呼んでいった。

「じゃぁーがっついてーぜ!粘ってこーぜ!きばってこーや!という事で、全員名前呼ぶから入るか、入らないか、その場で申してくれ。ブンブンブン。ああ」

肉兄は順番ずつ名前を呼んだ。

「朝倉陽樹?」

「オイラは良いよ。先生・・・戦いたくないし。」

「麻倉ミラ?」

「止めとくわ。危ないのでしょ?」

「朝倉覇玉?」

「僕は止めとくわ。僕は先生?遣りたい者が遣れば良い」

「・・・・・そうか。そうなんか・・・」

名簿を見ていて涙が出てくる。自分には信頼も人望も無い。郷土研究会の名は、明治期からも在り古くから神との戦いの為の遊撃部隊で在る。

「相川純?御前は?」

「入らないですよ。」

「安藤沢庵?」

「入らないっすよ」

「安東益経?」

「入らない。入らない。命捨てる真似はしない」

「あっそうか。」

「石神淳之介?」

「入りますよ。此度は研究データにもなります。人間の人智を越えた特殊能力でもあるCODEを分析することで科学の役に一役買うのでよろしくお願い致します。」

「決まったぞ。おい、淳之介に続くヤツは?」

「稲葉伊呂波?」

「入らないですよ。ホンマに、ホンマに、ホンマに敵わんやっちゃ」

「すいませんでした。で・・・」

「井上雅致?」

「無理じゃあ阿保ンダラッガッ!命捨てる前提や?俺をカオルの戦は壮絶じゃ!」

肉兄は狼狽して目薬して読み上げた。ここまでで石神淳之介一人だ。

「井上正和?」

「いいっす。いいっす。いやいや」

「御前はそういう人間やき。昔から知っちょる」

「じゃけん、井伊浜虎?」

「えっ?私は遠慮します。井伊家の為や」

「だろうな・・・」

肉兄は疲れ初めてこの郷土研究会は中学からの制度であり、中学と大学の違いは戦場や制度に雲泥の差がある。

今月締めまで定員十三人居るという。

しかし、ここまで志願する者は石神しか居ない。

「江頭!江頭萬輔?」

「ヤダアアアアアッ!」

「江草俊和?」

「NO!NO!NO!NO!NO!NO!NO!NO!NO!」

「江種嵐土?」

「ホンマに止めて下さい。母親の面倒と仕送りがあるからガチで断りますよ。軍国主義には是非に非ず」

「っしゃあっ!」

肉兄は気合いを入れ直した。

ここの生徒でも半分以下が倉田島の所得が低い者で、郷土研究会に入ると七百万も支給されるのだ。しかし、それは命の値段。

生きて、死んでも七百万の額に価値に遠慮しているのだ。

「江藤桜子?」

「嫌ですよ。死にたくも無い、この時代がどうであろうともあーだ、こーだ、そーだ、先生お分かりですよね?EVERYONE生きたがっています。」

「ああ、すまん・・・すまんのう」

鵜野はPTSDと鬱を発症させていた。

ポケットには錠剤とフリスクとアンナカを持ち歩き気が狂いそうな時は飲んでいる。

「っっっっっがっああああわあわわわわわわっ!ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・あああああああああああっ!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

頭を強く振り瓶が床に落ちた。

過剰摂取は死の原因になる。

机の水を飲み深呼吸して目を瞑り生徒を見た。

落ち着いた時に名前を読み上げた。

「江間柄謝?」

「先生。止めときます。神に背くことは出来ん良し」

「ああ。悪い。こっちも確認不足だ。御前ン家キリシタンだもんな?ホンマに済まない。」

「江藤誓子?」

「遠慮ごわす。郷土研究会は明治期に創設。旧神宮皇學館にも在り申した。」

「衛士精子?」

「勿論江藤はんに付き従い申す。」

「薩摩者は面倒臭い連中でごわす。」

ここまで僅かに一人。ヤバイと焦りが出て深呼吸した。

「小山リカ?」

「私は社長令嬢。七百万の価値の以上の財産。郷土研究会に志願しません」

「お偉いさん家の娘だもんな。羨ましいな・・・ヘヘヘヘヘ」

名簿を見て足をコンコンコンと床でリズムを打っていた。

「尾崎豊?」

「先生!クソだぜ!りゃっ!そりゃっと、命は生きてナンボのモンや」

「御前がLOCK以外に話す新鮮味在るわ」

尾崎豊は英矢のミュージシャン仲間。

この年で名曲《15の深夜盗んだ処女に奪って逝く》を発表した。

尾崎に続きと肉兄はポリスチレンの袋の粉末を飲んだ。

「ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・あああああああああああっ!」

水を飲み落ち着き震えが止まった。

「アンナカ!アンナカ!アンナカ!アンナカ!アンナカ!アンナカ!アンナカ!アンナカ!ハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ・・・・ハッハハハハハハハハハ」

頭が割れそうに全身快感に満ちてゆく。

「悪い、悪い、悪い。俺は・・・」

肉兄は血を吐き掌が鮮血にまみれたが、教鞭に最期まで立ち上がった。

「尾崎歩美?」

「ちっす。ええーわ」

「小崎成美?」

「いっすわ。NO!」

「加藤春慶?」

「じゃ、じゃ、じゃ、じゃっ、無理」

「加藤優子?」

「嫌ですよ。嫌ね。」

「笠木佐比古?」

「俺は下りますよ。斬られる前に敵を斬る。大事なのは目の前からどう見るか?無用情け無情の血を流すまいと心得ている。」

佐比古は一刀流の達人で剣の腕前をもある。

佐比古が出ないとなるとこのままでは〆切りに間に合わないので肉兄は血迷った。

「サラリーマンにリーマン最高の生活暮らしや。俺は教職辞めて辞めたいわ~遣られたらやり返す倍返しだ!倍返しだ!By!By!By!By!倍返しですよ!」

手元には求人誌を捲りながら名簿を見た。

「MDMA・・・モースト・ダメ・モースト・アホんだらあああああああああああああああああああああああああああああっ!」

狂気に満ちあふれそうな自分に深呼吸した。

「行くぞ、行くぜ!」

肉兄は白い粉末を飲んで水で流し込んだ。

「黒宮圭俊?」

「勘弁して下さいよ。ホンマに可笑しい話しや、アンタは絶対にクスリやっているだろ?クスリの野郎に命預けられへんわ」

黒宮の言うとおりや。

「黒井亞天土?」

「嫌じゃ、ボケ!」

「黒宮黒龍?」

「ええじゃねぇか!ええじゃねーか!ええじゃんかよ」

肉兄は名前を飛ばしたことに気付き深呼吸した。

「菊澤英矢は居るか?」

「居るぜ!先生、俺が志願する。親父達の意志を継ぎ新時代の王としてガンガンガンガン突っ込んで壁はぶち抜き行き止まりはねぇぞ」

肉兄が泣いた。

「英矢、御前ってヤツはホンマにああ。おおきに・・・」

菊澤英矢は誇らしげで父親からのペンダントを握りしめていた。

「木下嬬恋?」

「紀伊嬬恋嗣朗?」

「紀州平治衞門?」

「菊池黎二?」

「菊池炉見?」

「嫌だって言っているだろ?ここは全員一致団結絆で一つ結ばれている。ワシ等は主君黒宮黒龍殿に仕える家臣一同心から郷土研究会には入らない。おおおう!」

木下からは同じ事を言うので、肉兄は諦めかけた。

「罌粟瑜劉?」

「ああ。NOだろうがぁ、こんな無意味な勝負に勝てる気NAINAI」

一人がNO!と言えば全員NOの社会にピリピリしていた。

「小寺秋生?」

「小寺刑?」

「拙者等は頑張らんわ。殿には従えるが、殿以外はご遠慮申し上げる。此度はそもそも小寺家の命運と一番の幸せは家を守り抜く強さと民が安心するような国造りと郷土研究会ほどの爆竹に賭け事に任せられへん。」

「御前等兄弟揃いも揃って同じだ。同じか。」

名簿もずっと見て日が暮れてしまうことや、肉兄はドラッガーで、黒コートにはクスリが入っていた。

肉兄は決意した。

「こんままだと日が暮れる。残り十一人。居るか?」

「お、おっ、おっ、おい!」

手を挙げたのは天神幽禅だ。

「俺が志願します。ここに居る人達を護れるぐらい強くなって、俺の目の前で人が死ぬのは終わりにさせる。みんなにも言うが、俺はCODEだ。いつCODEが発現するかも覚醒するのかも分からない、だけど・・・俺はKGUをKGUの郷土研究会として生き残ってやるよ!」

机を思いっきり手で叩きその白熱と勇敢さが肉兄の心にグッと突き刺さった。

「幽禅に続く者は居らんか?あ?誰か居らぬか!」

「俺が行かなくてどうするのだって事だ。先生!行くぞ。俺だ。白宮和雪!魔柄家の血が騒ぎ立てる。潮騒の騒ぎ立てるマーメイドにCODEが唸る。先生、志願。」

この男は白宮和雪。

このクラスでは一番背が低いが、実力然り最凶のポジションで、学年三年間トップの座に君臨する王である。

黒髪で肌が焼けて黒コートに黒のシャツに赤のネクタイをしている。

「よっしよっ、ああ。おおきに。おおきに。おおきに・おおきに。」

肉兄がメンバーに赤の線を引いた。

「俺が行く。名を名乗らずして侍は初めに名乗る。某は土方将司の嫡男土方菰野守鐵齋綾将と申す。侍のCODEを持つ者。土方家代々の究極奥義“天照菰野抜刀術”の免許皆伝は俺のことだ。先生。志願してやる。KGUも故郷も護れずして武士とは名乗れない。俺は最後の最後の最期の一秒まで諦めない。よく寝て、良く喰って、良く学んで、よく遊んで、ごく普通な毎日を。送るのにこの剣で敵を斬る。」

身長187cmある長い黒髪を後ろで縛り黒コートに黒い袴を着て革靴を履き刀も腰に差す侍が同期で終止の友となる土方綾将である。

「そうだな。そうだな。綾将殿に感服致す」

頭を下げる肉兄は教室だが、ホームルームだが、コンビニの肉ステーキ弁当を食べながら話しを進めた。

「私も行く!私だって力になる!」

「阿保か、ドドドドドドドド阿保ッ!ドが付く程の阿保かよ。御前は・・・先生神室渚は手を挙げていない。良いから前言撤回。サッサと線を取り消せ!」

「は、は、は、は・・・は・・・はいっ!」

先生は動揺を隠せずに赤の線を二重にして取り消した。

神室渚の手を握り引っ張る幽禅に視線が凄い。

中学の時にモテモテモテリンゴのリアリアリアリアリア充リア充感の男である幽禅は、渚は呆然としていた。

一人残された感にショックしたのだ。

「御前はどんなことがあっても生きろ!生きろ!生きて、生きて、生きて、生きて、生きろ!この世が終わりだろうが、世が終わっても俺達を受けいれなかった世を御前はその目で見ろ!見るのだ!手段は選ばない!どんなDonDokoDonな手段でも生きるのだ!」

渚の手をギュッと握りしめて渚は着席して泣いていた。大粒の涙が溢れ出てくる。

「後は居ないか?えっとさぁー居ないか?」

郷土研究会のメンバー集まりづらさは地獄だった。

「いねぇのかよ」

肉兄がキレる。

「そこまで文句タランティーノだったら男である以上行くぜ!名を伊達男その名を刻んでやる。川越阿拯だ!アジョーって言ってくれ!アミーゴ」

これから先は学校側が選ぶ形になった。

その後肉兄は姿を消して学校も倉田島からも消息不明で、後任が瑤子である。

「私自ら志願する。生徒を前にこう言っちゃ何なけど、私は昔敵に幽閉監禁人質生活が昨年まで続いた。正直に言えば、三年前まで薄汚いクズ野郎のところで生きて居た。だけど、三年前に諸岡の養女になることで生活に安心感を手に入れた。今は主君諸岡安西さんにお世話だらけで師匠の家族に居候で剣術指南免許皆伝だけど、私が今生きてられるのは本当に師匠のお陰だから少しでもEVERYONE戦おうぜ!ガッチャ、楽しい試合や戦場だったぜ」

村上瑤子が宣言すると他の者も進んで志願してきた。

「俺が志願する。瑤子先生が居るならなんとかなるさ。九鬼主随です。俺も力になると思ってね。」

「ありがとうね。主随」

後は結局学校側が選ぶことになりそのまんま解散となった。

放課後に、幽禅が準備していると渚が来た。

「ん?どうした?」

「家で待っていてね。琥御架さんに宜しく伝えといてね。」

「母さんに?分かっているよ。」

自転車で坂道を下り左革の角を曲がり幽華通りのすぐ前に自宅がある。父親が不在で母親が居る。琥御架はソファーで寝転んで雑誌でも読みながらポテチを食べていた。

「ただいま~」

「あっ、おかえり~」

「母さん?俺が男になるのは今日だよ。今日」

「で?手洗いがうがい」

「はい。はーい」

幽禅は洗面所で手洗いとうがいをして二階に上がり部屋を片付けた。

「うっわ~キタねぇな」

ゴミ袋で片付けて押し入れやクローゼットに押し込んで鍵をかけた。

幽禅はパソコンで打ち込みログインパスワードとIDを入力した。

ID:PHANTOM@GP

ログイン:D3S4X4G78

パスワード:F91B99FZX

メールアドレス:Phantom3082Edeng1102@Pahoo.co.jp

幽禅のパソコンには天神家の情報やCODEについて保存されてあった。

元々は、父のパソコンだったが三年前に譲り受けていこう自分が使用している。

ファイルをクリックして、CODEを検索してファイリングが完了からのドロップ&クリックして、郷土研究会のデータでも見ながら小説を打ち込んでいた。

趣味が、サウンドクリエイター・WEBデザイナー・小説家・CODE研究家として三年前から密かに誰も話したことないが、趣味でやっている。

その夜に渚が来た。

ピンポーンピンポーンピンポーン

「はーい」

「お母さん!材料買ってきたよ。キッチン空いている?」

「まぁ。良く来てくれたわね。ハハハ・・・」

「幽禅!渚チャン来たわよ!」

「あー行くよ」

部屋を片付けてパソコンは省エネモードでスリープ状態にして階段から下りてくるとキッチンで物音が聞こえた。

琥御架も包丁を手にして野菜を瞬間的に微塵斬りで、鍋に入れて炒めた。

二人が料理をしていると、幽禅はリビングに座り脳裏に浮かんでいた。

(俺が幼い頃父さんが居なくなる前のこと覚えていることがある。)

(幽禅?覚えといてくれ。俺が消えても御前は生きて強くなって母さんを護れ)

(俺が母さんを?おう、分かっている。俺がCODEと知っていていつ発現するかも分からない時に俺が世界を護れるのか?)

(なぁ。幽禅。大丈夫だ。俺も昔大学まではごく普通だった人生だったが、所が十六年前にCODEに覚醒して人生も世界も540度変わっちまったが、その分多くの人と関われた。)

(どんな時だって父さんが居ないときでも俺が母さんを護る)

(これは約束だ。)

(・・・・・父さん!父さん!父さん!父さん!)

十年前の記憶が蘇ってくる。

幽華が手を振る姿を覚えている。

決して恨んでもないが、怨みでもないが、俺としてはここ最近母さんと暮らしていて無事に中学まで行けて不安になってきた。

渚は美しいブロンドの髪で背丈は高く胸も大きく美人で性格は良く幼なじみとしては良すぎた存在だ。

俺は覚悟した。

いやいや、妙に幼い頃の記憶が交差してくる。

渚と居ると、奇妙な映像を見る。

それでも俺は振り切ろうとしていた。

「俺達結婚しよう。俺は御前と初体験(SEX)するぞ!」

そう幼稚園・保育園で交わしたのを思い出した。

幽禅はリビングの端の棚から小瓶が入った錠剤を口にした。

「アンナカだ。いいや・・・バファリンだ。バファリンだ。俺の頭を白くてしてくれ」

酷く頭痛がした滅多にない痛さに幽禅は夕食前にバファリンを飲んだ。

「俺は渚を幸せにする。してみせる。十五歳だ。元服したのだぞ」

キッチンに行きカレーの手伝いをしていると、丸ごと鶏一匹の唐揚げに愕くが、幽禅は小皿とナイフとフォークとスプーンを用意した。

ほとんど結婚式の引き出物で高級品の皿やグラスをテーブルに置いた。

(三人での食事だ。喰えるかな?)

もう一人予想外の招かざる客人がキタ。

「こんばんは。奥さん」

現れたのは俺が世話になった「いろはにほへと」を教えてくれた友禅だった。

友禅はコートを脱ぎ刀も置きリビングに座った。

「メシを呼ばれに来ただけなのと急な話が合ってきた。」

「えっ?」

「まぁ。まぁー友禅喰いなよ。」

琥御架が取り皿に別けてくれた。

友禅は皿も受け取り唐揚げを食べていると、幽禅に対してこう呟いた。

「父親が明日中学に来ることを伝えに直接言いに来た。幽禅?幽華の身にもなれ。CODEに目覚めて一年の半分が戦場暮らしだ。カオルの戦いが長期化して熾烈だ。分かっていると思うが、これ以上の長引かせは双方互いに危険だ。幽禅?CODEに目覚めたこの世界が戦場だ。父親はその業を背負った。」

「ああ。うん・・・幽禅がそういうのは何となく分かっていた。俺も最近怖くなってきた。この手で何人何十人何百人何千何万人も傷付けたり、殺したりするのかを考えたら身震いと吐き気がする。渚?分かるだろうが、俺と居たら本当に死んでしまうこともある。俺は御前を失いたくも無い。」

「うん・・・うん・・・友禅?お願いがあるの良いかしら?時空の能力で私を未来に行かせてくれる?死の未来なら受け入れるわ。友禅?私が死にたくもないけれど、幽禅が護ってくれる。」

食事が進みカレーや唐揚げを食べ終えて食器を洗い終えると友禅が帰って行き、幽禅は二階に上がった。渚とするのに抵抗はないが、緊張はする。

「私一階でテレビ見ているわ。二人?あんまり夜中大声で叫んだりしないように。特に喘ぎ声とかメチャクチャ響くからテレビの音量や音楽で誤魔化すし。まぁ。二人は若いし、元気だろ?イケる体質ならすぐにイく。」

琥御架がソファーに寝そべりテレビのリモコンを置きスピーカーのスイッチを入れて音楽が流れてきた。第九だ。第九が家中に響いてくる。

「母さん。恩に切る」

「渚、行こう」

二階の部屋に上がりカーテンも閉めてパソコンをつけて大音量で《LASTFAIRLY》の曲が流れる中シングルベッドに二人が並んだ。

「十年待たせた。」

「は。は、は・・は・・・は・・・はい」

緊張してくる。

その夜(深夜)

天神幽禅は小山渚と初体験した。渚は一人前の女性なり、幽禅も終わった。

その直後異変がすぐに起こった。

「ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・あああああああああああっ!ゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッゴホッ・・・・」

吐血して心臓が熱く鼓動が長く感覚に肌が焼ける痛みに見えない者が見えてきた。

聞こえない物音や声が聞こえてきた。

自分の背後に何がいる?渚?渚?自分が見えないものと一緒に心臓が熱く燃え上がるような痛みと、すぐに治まり深呼吸した。

「ねぇ?大丈夫?病院に行ってないなら明日行ったら?」

「渚。気遣いありがとう、平気だよ。俺は・・・うん」

「それよりも痛くなかったか?渚?下手で悪かった・・・・」

「うんうん・・・だけど中に出される感じとイクイクイクイクッ!って、あの衝動には私も焦った大人になるのは意外に大変だね。そもそも子供って大変ね。創るのもやるのも何にせよこの痛さは女性にしか分からないわ。男はタダ突っ込んで入れるだけで、出すわけ。」

渚と俺はあの後一緒に風呂に入り全てを洗いこうしてまた部屋に居る。

「幽禅?大丈夫なら良いのだけど、最悪さ。」

「渚・・・運命は変えられる。俺はこの家に生まれて天神家として生を受けた者として生きてゆく。生きて、生きて、生きて、生きて、生き残るのだ。どんな手段でも選ばない!」

幽禅には思いがあり渚の手を握り最期に言った。

「お前は元気で居ていろ。」

その朝方二人は、中学まで坂道をダッシュで校内に入ると全員ざわついていた。

「今日は全校集会と緊急知らせだ。火急の件で来い」

瑤子先生が急いで記念講堂に入ると校長と理事長と五賢帝が来ていた。

天照暦37年3月16日

僅か一日後青天の霹靂での出来事が、幽禅は愕くと渚も一緒に座っていた。

「瑤子先生?ナンでこんな急に開くのですか?」

「え?はっ?先に活躍なさった英雄が来られてね。そこで大事な話があるのよ。郷土研究会の用件だ。サークルの話しは・・・追々ね。んでもなぁー、幽禅?調べたところ幽華ってアナタのお父さん?お父さんがこの会の主催者ね」

瑤子先生が前席に座り校長が緊張していた。

校長の淳親はド緊張しすぎて「人」の字を描き下で舐めた。

「ああ。ああ。ああ・ヤバイ・・・・五百人を前にこう表舞台で話すのが苦手で、伴家当主の器にも相応しくもない。五十嗣朗になれるわけがない」

禅十朗が校長の補佐を務めた。

「伴五十嗣朗と申す。倅に話がある。」

頭を下げて淳親がマイクを握りホワイトボードが出てきた。

天神幽禅はその姿を初めて目にした。

父親と最凶の三人に出会えて心から嬉しかった。

「白宮和馬と土方将司と稲葉いなりの三人は最凶のCODEで幾度かカオルと戦ってきた歴戦の英雄だから・・・・・感動するな」

全員三十を超えて大人の色気や雰囲気が漂う。

「これから言うのは冗談で済まない。この倉田中学が戦渦に巻き込まれる。戦火を避ける策として急だが、コチラノ郷土研究会を併合させ実践的に軍を送り込む。兵が居る。兵が一刻者のROCK’N’ROLLの兵が要る時期なのだ!俺の目の前で誰も死なせはしない。」

幽華が呼び掛けると白宮も応じた。

「若い者がこれからの未来創造が待っている。俺達に未来を奪う権利はない。カオルとの運命の輪が回り始める。俺達はこれから関ヶ原に向かう。カオルはこの時を待ち望んでいた。あの野郎の好きにさせない。俺からも言う。命懸けで俺達と共に戦う者は居るか!勝っても負けても報奨金報酬一千億¥ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!未来は俺達が創るもの!起こるもんじゃねぇ!おおおう!」

白宮の熱さに多くの学生がドン退いた。青白い血の気引く学生に将司が刀を抜いた。

「師匠です!師匠!」

「お?瑤子か。随分と元気そうで何よりだ。そうそう、御前も来年二十歳で大人だ。縁談も進んでいるか?長島は頭が可笑しいが、根は糞真面目の野郎で、しっかりしている。彼奴は浮気もしないが、童貞のまんま死ぬ訳でもない。榊原はCRAZYで、狂気に満ちている。森は少々気が気でない。腑抜けだ。瑤子?今はそんなことを言いに来たのじゃない。これから起こるべく戦に向けて御校のお力沿いを願いたいと申す。」

将司は黒スーツに刀を腰に差して髪の毛をジェルでセットして長く伸びた黒髪を後ろで縛り髭も剃り年齢三十五歳だが、十五歳の息子を持つ親である。

同時に菰野市の市長で、最凶の剣術の資格とCODEを併せ持つ。

「俺達はこれから関ヶ原でカオルを討ち取る。初陣で緊張するが、俺達に、誰一人死なせはしない。CODEを持つ俺達は御前等をフォローする。倉田中学はKGUの大切な資産だ。未来は誰もが望んでいる素敵な明日に繋げられるように俺はこの剣で敵を斬る。序でだが、友禅さんもどうですか?アナタはこの機会を逃さないはずです。」

「おおう。ありがてぇー話しだ。俺も歳喰った。だが、腕は鈍ってない。郷土研究会の旗揚げに参加した俺にとっちゃぁ、この機を持ってカオルを斬る。彼奴は人の皮を被った極悪非道最低な野郎だ。がんぼだ!がんぼ!がんぼ!がんぼ!がんぼ!がんぼが、神のCODEを持つ。全ての根源と創造の源であるCODEのCODEだ。だから、長年人は苦しみ多くの者が死んで逝きその死に敬意を表して・・・・・今、ここで、カオルを討つ!」

友禅は礼をした。

同じく灰色のスーツに髷を切り落として髭も剃り肩まで長く伸びた黒髪に革靴を履き金の懐中時計をぶら下げていた。

いなりが来て命のCODEを持つ女性で父親の冷泉は国境なき医師団の派遣で大陸に渡り慈善活動を行っていた。

いなりは欠伸して単刀直入に死ぬ勇気と生きる覚悟の強さがある人間が今回の戦場に任せられる。

いなりは父の言い付けを護り関ヶ原の戦いに並々ならぬ覚悟があった。

「倉田中学の諸君私が医療の担当。逝くぞ!関ヶ原はカオルを止める一石の場。神を倒すのは人類だ。人類の叛撃を舐めるンじゃねぇーぞ。逝くぞ!おめぇらも初陣だ。殺し愛の場所に人は生死を得る。んじゃぁ、郷土研究会は早速だが、来てくれ。おいおいおいおい」

いなりは黒コートを着て友禅を見た。

「相変わらずの服装だ。肌が露出しすぎだ。三十過ぎのおばさんが相も変わらずに黒コートに胸当てと小手と麻衣一枚だけとは俺自身も承知愕く。」

友禅は五十嗣朗に頭を下げた。

ここで、話しを一週間前に遡る。

天照暦37年3月8日

幽禅は中学三年生として極々普通の人間として生きてきたが、琥御架も主婦業が長くなり一切戦うことの欲が消えた。

天のCODEも消えていき、琥御架はソファーで寝そべり、優雅な人生を謳歌していた。

幽禅も二人でこの一軒家に住んでいた。

「そうそう、渚ちゃん元気?」

「元気だよ。相変わらず空元気も上等だよ。」

「アンタ?幼なじみなのだよね~小山さん家に行ってくんない?」

「何でだよ?」

「引き出物だよ。」

「良いから、良いから行ってこいよ」

俺は引き出しの棚からティファニーブランドのグラスと皿の箱を見つけ出して段ボールに入れて渚の家に行くと渚の父が出た。

「おう、おうよ。幽禅か。用か?」

「はっ、はっ・・・は・・・はい」

引き出物を渡して家に帰ると、その道中でミュージシャンの英矢と豊かに出会った。

「あ?幽禅居たのかよ。紹介するわ、俺のダチで最高のロッンローラー豊や」

「ご紹介頂き光栄です。俺が尾崎豊じゃけん」

「こいつは天神幽禅。俺の親父が世話になった英雄の子や。」

「いいえ・・・いいえ・・・俺大それた英雄ってわけにはいきませんよ」

「おい、おい、幽禅は俺を鍛え上げる。え?どういうこと?」

「説明するが面倒臭いが、CODEを鍛え上げてCODEを初陣に武功を上げるには、俺が居る。勿論豊もだ。幽禅?知っての通り俺達三年間同期同世代のクラスメイトでもある訳に、銀河と迷宮だ。御前自身気付いている筈だ。心臓が熱くなるのは、CODEに目覚める予兆だ」

英矢が知っていた。

豊もCODEを持っている。

幽禅も薄々気づいていたが、一週間前にこう話しが積もると正直に英矢や周りのクラスメイトと居るだけで安心する。

「なぁ!英矢!豊!お、俺、この三年間で思うのは人間も悪くない。CODEにいつ発現するか分からないが、その時はその時は宜しく!」

手を振り自宅に戻った。

現在に移るが、幽華は重く腰を上げた。

「エンペラーだよな。俺はこの仲間を引き連れて関ヶ原で勝つ。過去最大の激戦が予想される今期の戦に中学生までを兵にするとか・・・・酷すぎる」

情が出る幽華は黒コートを着て黒のローブに袖を通して深呼吸した。

「白宮。将司。いなり・・・・多くの同志が死んでいったが、俺達は生きる、生きて新しい時代の世を見届ける義務がある。」

「だよな・・・・」

倉田中学はKGUに直接パイプが繋がっている受け皿である。

中学生に対して今回は残酷だが、幽華も悔しかった。

実の息子も居る中で、この機を逃す訳にはいかなくて、しかしながら悲劇が徐々に近づいてきた。

背後に忍び寄る影に、幽禅は悲劇を知るのであった。

全体集会終了後に瑤子は将司に会いに行き、俺は久々に父親に再会した。

「エンペラー、いいや。幽華?カオルの情勢だが、櫻結羅が動いた。」

「チッ、結羅・・結麻・・・御比賂・・・三人が関ヶ原に出向くとなると、最悪な事態だぞ。アルテミシアだ。絶対に動く。最凶の海賊戦乙女・・・戦場を駆け上がりエンハンサーの使い手だ。CODEは海。どうする?白宮」

「凍らせるか。俺もアンタの側で固める。」

ジオラマを使って碁石で陣取りしている最中に幽禅が来ると幽華は微笑んだ。

「幽禅。随分と大きく成長したな。御前も初陣だ。初めて死を見るかも知れないが、俺は御前を死なせない。その為に天のCODEも鍛え上げた。特に十五年前・・・俺を捕らえた監獄送りにしてくれた結羅と結麻と御比賂の三人だけはこの手でぶっ殺す。アルテミシア戦線は、事があれば動く。久瀨流來栖帝もお考え頂く。」

「あのさ・・・場違いだったら出て行くよ。父さん」

「良いから居れ。座って見ていろ。」

将司が椅子を出して幽禅は座った。

「俺はKGUの軍と郷土研究会は桶狭間戦法か?或いはサンドウィッチ攻略式で行くか?Anyway踏み込み方だ。アルテミシアの出方が早ければ間違いなく総崩れで死ぬ。」

陣を外してジオラマで何度もイメージしていると瑤子も来た。

「師匠!迷っているのなら簡単です。敵の本陣は幽華様のお首一つ。だとすれば、結羅軍四万結麻軍一万五千御比賂軍七千・・・・幽華様の実力と師匠がこの腕で結羅結麻の軍を殲滅。首を討ち取り、白宮様は御比賂軍を殲滅。功を上げてアルテミシアの大軍総攻撃の要を木曽川で勝負を賭けます。ですから・・・・郷土研究会は木曽川で待機。で?」

「中々の軍略だな。誰に教えてもらったのだ?」

「え?お父上です。諸岡五月天殿です!」

四人は納得感服してその後倉田中学を去り木曽川と関ヶ原周辺を固めた。

佐和山・松尾山・桃配山の陣を見つめた幽華は、南宮山を見た幽華は、白宮・将司・いなり・亜理寿・友禅・占守・甜歌の軍を調整させて倉田山を去り幽華はその日に桃配山に本陣を構えた。

退局敗戦のことも考え甜歌・占守の軍と予備軍を直ぐに南宮山に配置した。

松尾山に総本陣として本部を設置した。

「東軍の構えだ。アイツら西軍の陣構えだ。逝けるぞ、勝てるぞ、カオルは西軍の総大将だが、俺等の本命はアルテミシアと久瀨流來栖帝の首一つだ。ここ、関ヶ原が人類分け目の戦ってか。初陣の者も多い。今回は多数の犠牲者を出してまでも勝たなくては」

神妙で断腸な思いの幽華であった。

その頃倉田中学3-3では瑤子が授業していた。

瑤子は軍略の教科書を配り読ませた。

「良いかよ。軍は数だけで勝つんジャネェよ。力だ。私は剣に長けているが、銃でも扱える。こんなこと言うのは酷であるが、関ヶ原はCLIMAXの序章にしか過ぎない。」

瑤子は武術の先生で倉田中学では一躍有名だ。幽禅達はCODEに発現する期間内であれば、この中学在籍感ゆっくり楽しもう。

天照暦37年6月9日

三ヶ月後KGUに思いも寄らぬ知らせが舞い込んだ。

ヴァチカンでの対談を終えてエンペラーが帰ってきた。

「紹介しよう。ヴァチカンから連れてきた俺達の仲間だ。同じCODEとしてKGUの為に戦ってくれる。名をレイヴン・クレアツィオーネ(Raven Claire Nazionale Pension)・ダークヴェルトラント卿(Signore Oscuro Vel Strand)だ。」

「こんにちは(Ciao )。初めまして(Piacere di conoscerti troppo)レイヴンです(Raven è)。」

イタリア語で挨拶をした。

エンペラーが連れてきた女性が、KGUに挨拶に来た。

生憎学長は不在で、幽華達は関ヶ原に陣構えの準備と戦の準備に忙しくこの日倉田中学を訪朝したエンペラーは、レイヴンと一緒に幽禅のクラスに入った。

「今日から御前等にCODEと臨時的にも戦闘経験MAXの現役CODEの覚醒時期は人によっても違う。だが、関ヶ原まであと三ヶ月翌月は木曽川から長島だ。レイヴンのCODEはイタリア最凶の血でテンプル騎士団総長ジャック・ド・モレの御子孫だ。とにかく生きて生き残る策は勝つしかない。・・・・・郷土研究会としてこの三ヶ月を練習期間とおく。」

エンペラーは眉間にしわを寄せて三十二人に決断が迫ってきた。

「テストをやる。(Farò il test)一般的にはCODEかそうでないかの(Il tuo o non CODICE generale)適応(I Adeguamento )順応(adattamento)判断ね( decisione )。これにピント(L'attenzione in questo)来た人はCODEよ(La gente veniva CODE)。CODEには(CODICE )一兆パターン在る(C'è un trilione di modello)。私は因みに(Con il mio modo di)大地のCODEを持つ(Ho un codice della terra)。大地は自信から(Terra da fiducia)この陸地を自在に(L'liberamente questa terra)動かせる(mobile)。陸ならね(Se atterro)。」

レイヴンは大地のCODEを持ち陸上なら全てを操り、大地の王《ガイア》を媒介にその異様な大剣から放たれる斬撃の衝撃波は戦艦五隻分を沈めさせる力を持っている。

《CODEテスト》

一、 アナタの力の使い方を決めるのならどう決める?

【相手による】【自己顕示】

【王による王の力】【目的や目標の夢の為】

一、 CODEの危険性をどう判断するのか?

【自ら顧み博愛の元命を懸ける】【生死問わず限界挑戦まで一気に超える】

【創造と破壊の先に神に誓い全てを葬り去る虚無の誘い】【生き残る為に生きる拘り】

一、 神について一万字以内に述べよ

【◯◯◯◯】氏名記入。一万字以内であれば【可】

一、 KGUとカオルについて十万字以内に論述せよ

【◯◯◯◯◯】氏名記入。CODEについての歴史で自らの言葉で書け。

尚答案用紙は本紙の裏側に記入すべし

一、 自分ならどのCODEが扱えるか?質問が間違っていた希望するCODEは?

【創造】【破壊】【混沌】【秩序】【生】【死】【水】【火】【氷】【雷】【風】【天候】【生活】【犯罪】【悪】【王】【武器】【神】【特殊】【運命】【無効化】二十一系統の一兆パターン分のCODEをどう見極めて自らの思想と信念がDNAに流れる隠された能力を潜在的に引き出すのに必要な試験。

一、 アナタは死ぬ覚悟(準備)は出来ていますか?

【はい】【いいえ】【どちらでも】【いずれも】【無理】【逃げる】【裏切る】

八つからどれか一つ嘘偽りなく書け。

以上CODEテストお疲れ様です。

試験結果は後日担任の教師一人一人に伝えることが決められている。

CODEと見なされた者は速やかにレイヴンに連絡すること。

レイヴン:reivunglory1102eden4237@pyahoo.co.jp

テストが八時間耐久の休憩無しのテストに全員力尽きて三十二人分計三クラス分の答案用紙が、レイヴンやエンペラー達旧五賢帝に行き届き約二週間もCODEを判定していた。

勿論筆記以外に健康診断・血液検査・面接・諸々の作業を終えて約二週間も待たせた挙げ句全員緊張していた。

これが普通の試験よりもCODE判定が厳しく全員不安がっていた。

幽禅も母親に相談はしていた。

「母さん受けてきたよ。」

「で?どうなのよ?心配ないわよ。アンタは母さんと父さんの子よ。最凶の地獄のCODEと天のCODEじゃないの~気にすることはありません。微塵も」

「だよな・・・・御免」

結果が来たのはその二週間後のことであった。

電話が鳴り響いた。

《あっ。はいはい。もしもし?天神です。天神幽禅と申します。今回の結果ですか。承知致しました。では、本日の午後に伺おうと思います。》

《幽禅?先生も結果して驚きよ。いやはや~スッゲーハイブリッド型のCODEって幽禅の家って英雄の子だよね?ハハン。アッハハハハハハハハハハハ・・・・先生待っているね》

《はい。》

瑤子からの電話を終えて部屋を出た幽禅に家の近くをうろうろと見ていた渚に、倉田中学全校生徒が各担任の元での一者面接を行っていた。

「ねぇ。CODE判定って気になるよね~幽禅」

「ん?あぁ。気になるよ。特に俺の家では先の戦いの英雄だ。俺自身CODEがいつ発現するか分からないが、俺はね。俺は・・・・渚を護る」

「ありがとうね。」

「うん。うん。俺は、先に話してくるわ」

四階特務執拗室にドアを開いた。

中を開くと、瑤子先生とレイヴンが待っていた。

「素晴らしいぞ。幽禅。幽禅。(Grande Kasokezen Kasokezen)完璧な問いと(Perfetto domanda)君に性格と人格は(Personalità e carattere a Kimi)類い希なる(Avrò una specie rara)逸材(legname Yi)。君の判定(Sentenza di voi)を申すとしよう(Lasciate che sia il Mosu)。ズバッと解決ゾロリで(Risolvere Lido e Zuba)言うならば、(Se dici)天のCODEと(CODE e celeste)地獄のCODEの(Del Codice di inferno)ハイブリッドで、(Nel ibrido)新種の君にしか(Solo a voi di nuove specie)君の家でしか(Solo in casa)存在しない能力を(La capacità di inesistente)天獄のCODEだ(E 'CODICE giorni di prigione)。」

「らしいわね。先生も愕くし、ICOの面々も顔面蒼白で師匠達が手を挙げていた。幽禅。この三ヶ月の初心者研修しっかりね。先生、応援しているわ」

「あぁ。どうも。どうも・・・これから居る。居るのですよね?俺以外にもCODEが居る。関ヶ原の合戦に木曽川の戦いに長島海戦までの手順や軍略に於いての策は敵も然りとも見る。では・・・失礼致します。御免」

幽禅は部屋を出て行くと、英矢も綾将も白宮も来ていた。

渚は後ろの方で並んでいた。

「心配するな。御前がどうであろうと無かろうと関係なし。俺がありのままの御前の姿が好きだ。なぁ。俺も人間だ。CODEになれば、変わるかも知れないが、俺の能力は人を傷つけない能力だ。」

手を振り下の階に降りていった。

その日が俺にとって最悪の日とは知らずに、階段を長い螺旋階段を下りて行きロビーの靴箱に着くと、幽禅は待っていた。

その頃英矢・綾将・白宮・渚達は四人とも早々に部屋に呼ばれ御下知が下された。

「先生も納得よ。ご家族と同様勇猛果敢な軍神武神の子は尚更衝撃ね。これからも宜しく。渚ちゃんだけ残って後は帰って良し」

瑤子に帰れと指示して残された渚にレイヴンが言った。

「これはアナタの人生(Questa è la tua vita)。CODEではない(Non CODE)。人間が生きる力を(Il potere che gli esseri umani)見せつけなさい(Prendi uno spettacolo)。判定が残念(La decisione è deplorevole)そうであるが(È il modo)、私はアナタに(Io per te)生きて貰いたい(Spero di arrivare a vivere)。これを・・・ヴァチカンの(Di il Vaticano questa)手土産だけど(Anche se è presente un)、金の十字架を(Una croce d'oro)差し上げるわ(darò)。」

レイヴンが渚に十字架を渡して靴箱に向かった。

「ん?どうしたのだよ。元気だしていこうぜ。渚」

「幽禅?私はCODEじゃない。CODEは・・・その・・ハハハハハ」

渚と一緒に帰り幽禅は坂道を下りて倉田中学の光景を目に焼き付けた。

(この平穏な日常がいつか壊れる。そう彼らが思い付く暇も無い。私は幼い頃カオル達に拉致監禁幽閉人質の繰り返しでこの歳になるまでに苦労したわ。今の子達は、幸せでもCODEになると環境が周りを取り巻く環境が、五四〇度変わる。)

瑤子は窓ガラスを見つめながら部屋に鍵をかけた。

レイヴンも一緒で全校生徒のファイル片手にCODE判定と出た者が二十人も居た。

「二十人直ぐに鍛えるわ(Io alleno appena venti)。9月に関ヶ原(Il Sekigahara nel mese di sett)10月が木曽川(Ma Kiso Fiume nel mese di otto)11月も(Anche nel mese di novembre)長島の海戦に(Nella battaglia di Nagashima)負ける訳にはいかない(Non può fare a meno di perdere)。木曽川で負けた場合(Se avete perso il fiume Kiso)日本に明日はない(Non è domani in Giappone)。瑤子先生(Mr Yao bambino)?軍略がお得意(Tactics è specialità)と聞きました(Ho sentito)。瑤子先生(Mr Yao bambino)?負けて終われた場合(Se hai perso Oware)則ち責任はどう(Responsabilità Sokuchi se)取るつもりですか(Avete intenzione di prendere)?」

「さぁ。責任=退職。私は身を退き先生を辞して師匠の元でKGUを御守りします。KGUに来た理由は私も三重で生まれて死ぬつもりですから・・・・」

瑤子は大剣と銃を背負い菰野武士の一人としてレイヴンも校内で煙管を銜えながら金の十字架をぶら下げて黒いコートを着ていた。

幽禅と渚は坂道を下りCODEについては話さずに帰宅の途に就いた。

しかしその頃倉田島に潜伏していた国際指名手配SSS級犯罪者CODEは、鐵のCODEを持つ最凶の暗殺者《ヴァニラ・アイゼンガルド(Vanilla Isengard )・フェヴベッツアリーノ(Fe Vu Betz Ally Roh)》が潜伏しており、幽禅と渚が自宅途中の幽華通りの後援に差し掛かろうとした時に鉄の檻に囲まれた。

「渚アアアアアアッ!」

「幽禅!幽禅!幽禅!幽禅!幽禅!幽禅!いやっ、いやああああああああっ!」

「まだ粋がるのかよ。活きだね~ガハハハハハハハハハハハハッ。」

鉢巻き姿に白ローブに黒コートのサンダルの女性が右腕を鐵の鎌に変えた。

「鉄鎌(ferro falce)・死に神(Grim Reaper)の(del )魔女狩り(Caccia alle streghe )」

高速回転の鎌を振り回して鐵から放たれる熱に幽禅は鎖を千切ろうとするが、ビクともせずに渚が鬱ぎ込んだ。

「大丈夫だ!渚・・・・攻めてだけでも御前だけも生きろ!うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

鉄の鎖を開けようと力一杯にこじ開けるが、幽禅の体力の消耗が激しい。

「ガガガガガガガガガガガ!無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理ィ無理」

ヴァニラは屋根に飛び移り鉄の輪を回した。

「鉄輪(ferro Wheel)・大王の征服砲(Re completa conquistare pistol)」

鉄の輪から巨砲が放たれ白昼の倉田島から炎上した。

「渚!」

「幽禅・・・幽禅・・・幽禅・・・・」

「アンタか?一番大事なモノってよ!鉄の真の実力を試してみるか。」

「止めろ!止めてくれ!止めて下さい!渚だけは無事に・・・俺が死んでも構わない。天神家を絶やすつもりがねぇよ。カオルか。」

「カオル?」

鉄の檻に渚が聞く。

「ああ。カオルだ。神だよ。神だ。俺は神に殺される。」

「いやああああああああああああああああああっ!」

「ごちゃごちゃ五月蠅いな。うるせぇー野郎だ。」

ヴァニラの騒動にレイヴンと瑤子が駆けつける。

「元気か(Come va)?直ぐに出してやるよ(Esco presto)。」

レイヴンが背中の十字架の大剣を抜く。蒼白の刃に金の柄に集中して鉄の檻を斬った。

「大地の衝動(Terra impulso completo)!大地の衝撃波(Onda d'urto della terra)!大地の逆鱗(Lamella terra completo)!大地の鉄槌(Pieno martello di ferro terra)!」

四連続で大剣から放たれる衝撃波が陸地に波打ち隆起して幽華通りの一軒家が宙に吹き飛び、ヴァニラは瓦礫に捕まり鉄のポールを作り掴まった。

(レイヴン・・・・厄介者がミッションの邪魔だ!鉄のCODEでここは女だけでも)

ヴァニラが指を鳴らし上空から鉄の剣が宙に浮かび幽禅と渚目掛けて吹き飛ばし、更に屋根に飛び移って覇気を纏った。

全身鉄を纏い鋼鐵の肉体は鋼同様覇気の影響で、攻撃を効きづらくなった。

絶体絶命のピンチに、瑤子が牙を剝く。

「師匠直伝の天照菰野抜刀術」

瑤子は片手で大剣を構えて腰のベルトから銃を構えた。

「ああああああああああああああっ!」

上空から突き落とされる二人に鉄の剣が次々と突き刺さった。

「鉄剣千本桜(Iron Sword tausend Kirsch)千乱漆黒(Qianluanqihei)六華(sechs chinesische)!」

漆黒の空を覆う無数の剣が桜のように散り乱れ咲き二人はギリギリ交わして道路を渡るが、剣が渚の太股を斬り大量の血塗れの状態を負ぶって近くの教会の礼拝堂に逃げ込んだ。

「菰野鬼覇“龍牙双龍鬼翔靭”」

瑤子が大剣で剣を薙ぎ払い銃から放たれる超高濃度圧縮光粒子の銃弾が銃の硝煙の爆風共に放たれた弾丸がヴァニラの右腕を狙い撃ち右腕が鋼を貫き鉄が剥がれて血が止まらない。

ヴァニラは舌打ちして、教会に走っていた。

瑤子とヴァニラは急ぎ礼拝堂の門を探すが、緑に囲まれてどこに門があるのかも知らずに迷走していた。

(間に合え。二人とも死ぬな!絶対に先生が護る。師匠が言うには私には力がある。この剣は菰野の刀匠が打ち直した名剣と銃。)

瑤子が探していた。幽華通りの門を右に天神通の左側にステン・ヴェルガゼルド大聖堂(Sten Vu erugazerudo Kathedra)に隠れた二人は巡礼者に紛れ込んで地下の搬送用エレベーターに乗り松明を点けて岩窟に入った。

賛美歌が聞こえる。

ヴァニラも正面から入り、笑みを浮かべた。

「TST解除(TST freigegeben)・鉄王の天衣(Eisen-König Voll tink)“大魔女鐵首(Der erste große Eisen Hexe)狩狩猟の(Jagd der Jagd)鉄竜槍(Eisen-Drachen Waffe)”」

想像を遙かに凌駕して全身から溢れ出る狂気の覇気に、鐵の鎧のコートを着て両腕に構える全長70m級の大鎌型鐵で出来た槍を手にして、巡礼者を斬っていた。

「おう!神よ!私に赦しを問い天に」

「天だ?ガガガガガガガ!バッカじゃねぇの!」

ヴァニラが修道士を斬り大聖堂に血が流れる。

「おう!我に赦しと神の祝福を」

「ああ・・あ・・・あ・・・あ・・あ・・ああ・・ああ・・ああ」

倒れる牧師に幽禅達は地下深くに潜伏していたが、大聖堂の地下は湿気が在り渚の血痕が転々と染みになっていた。ヴァニラは真新しい血を舐めて奥に進んだ。

「おうい、どこだ?どこだ?隠れん坊は止そうぜ!クズの餓鬼が悪巧みも大概にしろ!」

ヴァニラは鉄の槍が地面を削り地響きが揺れる。

「渚?俺は御前の為に死ぬ覚悟は出来ている。ここを右にハシゴがある。マンホール頭上に出るから助けを呼んでこい。」

「ここに居るわ。」

「アホなこと言うなよ。」

足音が近づきヴァニラが二人を見つけた。

「カオルの命令だ!天神家の血を絶やす為に私を雇った。終わりだ!」

鉄の槍を避けてバク転して拳に力を入れて拳を鉄の気を纏った。

(この野郎は私と同じ覇王の気質。鬱陶しいが、皇帝色の覇気)

ヴァニラが下がると拳に溜めた一撃がヴァニラは吹き飛んだ。

「天神拳法(Boxen Götter)!」

幽禅は立ち上がりヴァニラに立ち向かうと、背後に居た渚を人質にした。

「ガガガガガガガ!この女を助けたいなら大人しくしろ。」

「別に・・・別に・・・別に・・・幽禅!遣ってよ!遣りまくれ!」

「くっ。止めてくれないか?俺が悪い。渚・・・くっ」

無力感の幽禅にヴァニラが歯軋りして鉄の剣で渚を刺した。

「鉄の処刑人(Boondock Saints aus Eisen)!薔薇鉄槌(Rose Eisenhammer)!死の鐘(Glocke des Todes)」

ヴァニラの両腕が鉄の長剣が渚を貫き全身に鐵の杭に打たれ渚は息絶えた。

「御・・御・・御前・・俺の・・・渚を!」

ヴァニラが鉄の槍を振り幽禅に突っ込むが、全てが止まった。

静止した空間に天神家と焔神家の覇気が周りの者の意識を無くし気を失い倒れた。

ヴァニラは効かずに、鉄の槍GAMEの目で止まった。

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

途轍もない覇気に全身から伝わる心臓の鼓動に力が漲ってくる。

幽禅が黒コートで、夥しい魔の気がした。

こんな状況にCODEが覚醒した。

自分の中に流れる天神家の能力と焔神家の血が自分の心臓から全身に体中に熱く燃えてくるような流動が、CODEと目覚めヴァニラの顔を左手で鷲掴みにした。

「全員ぶっ殺す(Ich schlug den Tod alle)。俺は今機嫌が悪い(Schlechte Laune jetzt habe ich)。何故か(Aus irgendeinem Grund)?御前に渚を(Der Strand an Sie)殺されたからだ(Weil er getötet)。俺の能力で(In meiner Eigenschaft)塵と化せ(Der Strang und Staub)!」

蒼く燃えさかる焔がヴァニラを焔で燃え散らした。

「あっぢい・・あっぢぃ・・・あっづ・・あああああああああっ!いやああああああああああああああっ!キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

ヴァニラが灰と残らず消えた。

「俺は俺の罪だ。渚を護れなかった。」

慌てて駆けつけると渚が壁にもたれていた。

止血が治まらず意識も無く朦朧としていた。

地上の風穴から瑤子とレイヴンが駆けつけると蒼い焔で燃える渚を見て愕然とする。

「渚ちゃん?え?え?意味?意味分からない・・・ねぇ?幽禅教えて?」

涙を零しながら今までの経緯を話してレイヴンが金の懐中時計を取り出した。

「死者の時間よ(Zeit der Toten)。」

幽禅は泣き崩れて泣いていた。

その日が去ってから一ヶ月後の7月ある場所に二十人が連れ去られてKGUから離れた山間部に別荘に来ていた。

幽禅は黒コートを着て髪の毛もセットしていた。

金の懐中時計を胸ポケットに入れていた。

(俺はあの時からCODEに目覚めていた。CODEをどう扱うかによって変わってくる)

別荘地のベンチに座っていた。

別荘には、亜理寿と占守と甜歌とエンペラーが来ていた。

これから二ヶ月間での研修で本格的な初陣として関ヶ原に向かうと決めていた。

「なぁ。気を落ち着いたか。幽禅」

英矢が来た。

秀保の子で、初代菊澤英矢から数えて二千年以上の家系の音楽家。

英矢とベンチに来て山を見つめていた。

「色々とあったが、御前はもうCODEだ。CODEを持つ者としてそこら辺は、気合い入れて行こうぜ。俺も・・・御前も」

英矢に支えられて幽禅がロビー前に行き、エンペラーに会釈をした。

「よろしくお願い致します。俺に誰も死なせない為にも強く、強く、強く、強く、強くなりたい!うぉおおおおおおおおおっ!」

エンペラーについていき三階の部屋に移動して火を灯した。

「地獄のCODEの修行だ。関ヶ原は天下分け目の争乱だ。生半可に行くわけにはいかない」

黒コートに手を突っ込み整然と動かないエンペラーだが、その覇気は幽禅ですら動きが止まった。意識が消えかかる気迫に、幽禅も深呼吸しては気を逆に纏い翼が生えた。

「天獄のCODEは両方の特性を受け継いでいる。が、エンペラーさんの覇気は完全に俺が纏っている。気付くでしょうか?」

「ああ。それでどうした?」

エンペラーは大剣を構えた。

七焔を纏い金の十字架の大剣に、黒コートが風で靡く。

「魔神天聖剣(Devil-Kirche am Schwert)!」

蒼い焔の輝く長剣を大剣で弾き返して幽禅の首を鷲掴みしたエンペラー。

「ぐっわぁ・・ああ・・・ああ・・・ああ・・あああっ!」

藻掻く幽禅を見てエンペラーが心臓に強力な焔を送った。

「一回その目で俺達自身を見ろ。一体御前達は何者じゃ?」

体勢を崩し床で寝転ぶ幽禅に部屋を後にした。

隣部屋には、綾将と瑤子が居た。

(後の夫婦)綾将は将司の子で、父親同様に触れた物自体を刀に出来る。

元々の菰野龍天術の申し子で十五歳当時には、剣術に右に出る者が居ないと言われていた。

三階部屋には刀傷や銃弾の痕が痛々しく目立つ。

「菰野鬼覇(Wilde Pilze Ghosts Pa)“血龍剣(Blut Dragon Sword)鬼殺し(Dämon Tötung)”」

綾将が自分の血を刀に変えて鞘に納めて神速の速さで背後に突き瑤子が銃を放ち大剣で刀を押さえつけると床に手をつけて足蹴りして頭上から刀の鞘で相手の首を押し当てた。

「菰野・・・菰野・・・菰野鬼覇(Wilde Pilze Ghosts Pa)“天照天罪銃(Amaterasu Tag Waffenkriminalit)”」

腰のベルトから銃を取り出して発砲するとすり抜けて壁を蹴り上げて超神速の速さで刀が瑤子の胸に刃があてた。

「斬らない。俺は女や子供は絶対に手を出さない!斬らない!斬る相手は侍に恥じない俺自身が人を斬る時代に・・・・この腕で断ちぶった斬る。」

綾将は長い黒髪に黒コートを着て黒のジーンズに白いワイシャツに真紅のネクタイで、草鞋を履き腰には故湯川村正が打ち直した名刀《神斬丸》を差している。瑤子が、活き上がらずに近くの洗面所に走った。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ハハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ァアッ!」

綾将は手拭いで汗も拭き血をぬぐった。

「瑤子先生、瑤子先生、先生。俺も手加減無しの最大級弩級のMAXで行くぜ。菰錦豚のお力添えもあって元気バリバリで逝くぜ!」

瑤子は洗面所で化粧を直して服も着替えた。

水も飲み黒いロングドレスを着て、銃も手入れして弾を装填させた。

瑤子は深呼吸した。

「私は銃剣のCODEを持つ女。剣に長けて銃も長ける。生まれつきで菰野に生を受けて以降ゲス野郎のお陰で私は銃剣に出来る。全てね。私は見る物触る物を銃剣に適応できる。」

明かされた瑤子のCODEは銃剣。背中から巨大な大剣を構えて銃も弾を装填させて、綾将も腰に差した刀を鞘に戻した。

「いざ、尋常!」

二人とも超神速光速の速さで足の踏み込みが違うだけで互いに剣を押さえつけて、綾将はしゃがんで剣を突き立てると銃弾が頬をかすった。

「上手いわね。うん。師匠の子は強い」

ぐったり疲れた瑤子はラウンジに行きラウンジのバーで青汁を飲んだ。

「拙者もお付き合い願う。それを一つ」

バーで青汁を飲み綾将が力つける頃英矢と白宮が練習を繰り返していた。

月が経ち関ヶ原を控えた一ヶ月後のことであるが、CODEを持つ者を短期間で鍛え抜いたレイヴンは、その晩エンペラーを誘い近くのバーで飲んだ。

「君が誘うなんて(Nantes vi invita)珍しいな(I rari)。ん?」

「あら、そうかしら(Oh mi chiedo se così)?私だって飲むわ(Anche Berrò)。ねぇ(ehi)?今回の二十人どう(Che venti di questo)?」

「さぁ。俺は知らない(Ora Non lo so)。誰も知らない(nessuno sa)。CODEを持つ者が(Una persona che ha un CODICE)死ぬ運命以外に(La sorte altro che morire)避けられない事(Non può essere evitato)だよ(io)。俺もアンタも・・・レイヴン(Ho anche Raven anche Anta)?」

「ハハハハハハハハハハハハハハ」

バーで飲んでいると、エンペラーは久々に酒を飲みレイヴンも酔い二人を探していたのは、甜歌だった。

「酔い冷ませ!」

頭上に氷が直撃して躰が冷えた。

KGUの倉田島から離れた山間部のバーに甜歌が二人を探しにわざわざ車を走らせて、別荘地に戻ると幽禅が月を見ていた。

和雪が来たのはその際に幽禅も落ち着き写真を見ていた。

渚の写真をペンダントにして見ていた。

別荘地に集まり全員戦力になると関ヶ原に向けての準備が始まった。

「不安でしょうがない。不安だ。父さんには中々超えられない峠が在る。」

「幽禅。何があっても生きよう」

和雪は和馬の子。

白宮家の特徴は家族に「和」の字がある。

同じクラスメイトで、株式ブローカー・デイトレーター・KGU筆頭顧問株主の顔と皇學館メディアコンシェル株式会社筆頭株主の若手の実業家。

十五歳にして一京円の資産が在り、そして裏の顔では氷のCODEを持つ父親和馬と同じだ。

「株は面白い。俺が本当に株にはまるのは、売値と買値。インフレにデフレのHYPERな絶頂感が堪らなくて・・・・フフフフフフフフフフフフ・・・ハハハ」

幽禅はこうして関ヶ原に行くのであった。

天照暦37年9月2日

関ヶ原の古戦場跡の桃配山の総本陣に幽禅達KGUの倉田中学から派遣されてきたCODEが幽華や将司の軍に加わっていた。

「EVERYONE、これからが気合い引き締めてお互い戦おう」

将司は陣取りの指揮と総本陣の陣が出来上がっていた。

桃配山南宮山にバロック建築の三階建ての神殿の建設と必要な食料や兵糧の蓄えに軍議を重ね重ね行われていた。

「幽禅に四千の兵の隊長を任せる。君がこの兵のトップだ。初めてにせよ、いきなり四千の兵を任せられるプレッシャーと器に期待するよ。」

白宮が幽禅に兵を任せた。

白宮は南宮山に赴く前に息子の顔をのぞきに来た。

「俺も兵は待機させてある。カオルをここで終わらせる」

白宮は南宮山に三万の兵を待機させていた。

翌日に控えること、関ヶ原の松尾山にはカオル達が居たのであった。

実に十五年ぶりの姿で随分と老けていた。

黒いローブに全身隠して、剣を腰に差していた。

結羅侑奈結麻御比賂KGUを裏切り、カオルに忠義を誓ったハマショー、藪内剣星・藪甲斐軍併せて一千万の軍が集結した。

今回は陸戦の陸路というメンバーの調整でこの天下分け目の争乱に何としても勝ちたいと思うカオルは、イギリスから大砲七百万丁を調達した。

短期間で全員殲滅のプランで、CODEを討ち滅ぼす企みで、この松尾山に軍を置いた。

「カオルお姉様?私達は先鋒の兵は幽華を落とします。同じく菰野武士の斬刀狩り殿もお引き受け申し立てようと思います。」

「ああ。頼むぞ。頼むぞ。頼むぞ。結羅・・・御前はよく働く。この西軍の総大将の器に相応しい。いや、私の目利きが良い」

結羅は銀の甲冑を着て大剣を担ぎCODEも成長させた。

結羅は馬の手入れをしていた。

結羅はこの関ヶ原の合戦に並々ならぬ気持ちがあった。

カオルは見晴らしの良い松尾山に陣を構え終えた。

未だに顔も見せずに黒ローブに黒いコートを着て、幽華を気に掛けていた。

「私も神のCODEに大分力の回復に時間が係った。御前達良いな?幽華や息子に気をつけろ。何かあるのではないが、私は今御前達顔を見せられない。」

カオルは関ヶ原の戦いに勝てると思い全員士気を高めた。

「おおおお!」

「我々一同は主である神に誓いカオル様の命あらば命も安い物だ。」

全員の意気込みとカオルの軍勢に旗が目立った。

「結羅侑奈結麻御比賂よ。うぬに感謝する。旗を贈呈させる。」

カオルは藍染めされた旗にそれぞれの家紋や紋章の旗を一人ずつ手渡しした。

「はっ、有り難き所存。私の場合は鷹に盾。良く物事を捕らえる一族に習わしだ。」

結羅は感謝した。

続いて菱形の十字架・獅子の頭にオリーブの冠・蛇に不死鳥・龍・聖杯・剣・髑髏・星等の旗がそれぞれ幟として松尾山周辺の陣に立った。

カオルは笑みを浮かべながら重い腰を上げて、剣を抜いた。

「藪?藪?藪?藪・・・甲斐。来いよ。来るのだ。甲斐?某の軍を任せるが南宮山に回って奇襲攻撃で退局は出来ない。恐らくな・・・」

藪甲斐は二十一歳の若者。短髪で黒コートを着て甲冑を着て双剣が目立つ。

同じくCODEを持つ者。

カオルが信頼を置く若手のホープで、藪は自軍とカオルの軍を率いて南宮山に向かった。

同じく藪内は小高い丘に行き両軍を判断できる場所に十五万の軍を置き、そこで様子を見ながら剣を磨いていた。

カオルは立ち上がり煙管を銜えながら、御比賂軍に、幽華達の陣を落とせとのことだ。

「はい。わかりました。御意」

「任せたぞ。私が力を溜めておくのも関ヶ原は私に味方する。再び日本が地獄送りに指をアソコもしゃぶってみていれば良い・・・・ハハハハハ」

カオルは漆黒の覇気が纏っていた。

禍々しい覇気にカオルは明日に期待していた。

「全員総攻撃だ。明日な」

だが、天命は幽華に味方した。

天照暦37年9月3日

深い霧に覆われた関ヶ原にホラ貝の音が聞こえた。

「行け!」

将司が先発隊として侑奈軍と激突。

「菰野(Komono)抜刀術(Unterlassung Breitschwert)・血龍(Blutdrachen)騎王(Fahrt Wang)桜花(Sakura Blume)千閃(tausend Flash)」

戦場に流れる血を刀に変えて戦場の覇気を小太刀に変えて右足で踏み込んだ。

長刀と小太刀の二刀流での右足で強く踏み込み鞘を抜かずに逆手に持ち変えて空間を歪ませ、急速に戻らされた時間の衝撃波で相手を引き付けさせて将司の刀が敵の軍を壊滅させた。

侑奈軍に長島・榊・森の軍が激突。松尾山の麓で侑奈が真の実力を見せた。

「雷鳴天轟(Stürmischer Tag Boom)」

雷の雷撃を浴びる侑奈に榊軍の半数が焼け焦げて感電した。

ビリビリと雷撃の中榊は目も瞑り刀を抜いた。

菰野武士の血が急速に目覚めようとしていた。

心臓の鼓動が熱く、ドクンドクンドクンと脈打つCODEの血がその時に雷を避けた。

「何!あっ!私の雷を避けた・・だと!」

「拙者に流れる血が目覚めた。拙者に雷は無用。無に還せ」

榊が刀を抜き侑奈も槍を構える。

「ああっ!雷がダメだろ?私はこう見えても・・・」

「斬鬼神将(Spirits geschnitten werden)天魔空靭(Leere harten Dämonen)」

カチッと刀を抜き侑奈を斬り侑奈の首を討ち取った。

「皆、立ち上がれ。さぁ。立ち上がれ。武功を上げた。初めてだ。菰野に産まれて武士として生きてくのか迷った際に・・・こう・・敵将の首討ち取ったぞ!勝ち鬨~勝ち鬨~勝ち鬨~ルンルンルンルンルンルンルンルンルンルンルン」

榊は残った兵足軽と共に勝ち鬨を上げた。

「エイエイオー!エイエイエオー!エイエイオー!オー!エイエイエイオー!」

侑奈が討ち取られたことは直ぐにカオルに伝えられた。

「侑奈よ。御苦労であった。」

「手を込むな。もう見てられぬ。私が行く。良いな。陣がガラ空きだが、総攻撃の総攻撃で何としてもKGUを潰せ。粋がる連中ほど弱い。クズが何十人相手だろうが、私は神だ。」

カオルは黒ローブを脱ぎ黒コートで戦場に漆黒の空気が流れた。

神のCODEの極限を超えた状態で松尾山から馬が駆け巡った。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

カオルの兵が士気を上げて足軽達が馬に乗り剣・槍でKGUも一気に劣勢の状態になった。

「逝け!逝け!逝け!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!撃て!」

松尾山から周囲の山や陣から一斉に放たれる巨砲にKGUの軍は壊滅に追い込まれた。

榊・森・長島は大砲に囲まれ身動き一つも出来ずに居た。

「諦めるな。」

「俺達三人は義兄弟同然。死ぬのも生きるのも同じだ。大砲を斬る。俺達は菰野武士。菰野武士は潜在的に将司さん見てみろよ、羨ましい限りだ~あんな綺麗な奥さんと遣れて何入れたり、ぶち込んだり、俺達も年だ。年齢的にこの戦で手柄立てて彼女見つけようぜ。」

森が言う。

頷く二人にこの状況ではKGUの軍が吹き飛ばされて藪が出陣した。

将司も結羅と睨み合っていた。

「菰野鬼覇(Wilde Pilze Ghosts Tyrannen )”龍椿(Lung Chun)嵐(Nebel)”」

「熔解のCODEを馬鹿にするな!全てを溶かす」

関ヶ原の平原が溶かされた。将司は刀を足場にして溶岩の上に立ち蒸気と蒸発の高温の中結羅は武器を溶かして周りの温度一千万度以上に上昇して、結羅は将司に言う。

「熔解(Fusion)鮮度激(Frische Schock)上昇(steigen)!焔の牢(Dungeons of Flamme)」

平原と武器と軍の兵士が燃え盛る紅蓮の炎に燃え上がり、関ヶ原が熱気たち将司は舌打ちして今まで温存してきたが、土壇場にDTを解除した。

「菰野鬼覇(Wilde Pilze Ghosts Pa)天照龍艶(Amaterasu Lang Yan)”鐵齋菰野大神(Tessai Komono Großer Gott)”」

「紅蓮地獄浄焔(Hölle HL Net Yan)”禁忌の原罪(Voll von der Erbsünde Tabu)の楽園(Paradies)《関ヶ原演舞(Dance Off ヶ Originalsprach)》”」

結羅の掌から燃え上がる焔に全てがドロドロドロの焔が流れ込んでくるのを覇気で堰き止めた。菰野の覇は特殊でCODEを止められる。

将司は、溶解度の中からアルミを刀に変えて左足で踏み込み殺気で覇気を斬り、将司の背後に結羅が拳で溶かした武器の銅・銀・金・青銅・錫・アルミ・鉄の材料が紅蓮の炎が、戦場に燃え盛る。

将司は覇気に集中して上空に飛び、背後に隙を突いた。

(この状態の打破と逸脱の連携のコンボ。さあね。俺は市長。市長。斬る。斬る。斬る。斬る。俺の血に流れている伝説最凶の人斬り鐵齋のDNAが俺にも受け継がれている。天照菰野抜刀術則ち剣術でも越えられない一線に足を踏み入れた時にこそ俺が俺であるようにDTを解放。)

深呼吸して胡座を掻き小太刀を右手に持ち替えて長刀の鞘を抜いた。

「アンタは何の真似?私を馬鹿にしているのか?ケケケケケ」

結羅の進撃で将司の軍は将司一人となった。六万居た兵は結羅の焔に溶かされた。

「互いにDT・TST解放とでも逝くか・・・・」

将司は立ち上がると結羅も同じで関ヶ原に覇気の限界を超えた。

「DT(ドライヴ・テンション(童貞))極限限界解除(Gebunden an die Grenze anheben)モード(Modus)・菰野剣神(Komono Schwert Gottes)龍王帝(Drachenkaisers)”龍神剣聖(Dragon Sword Saint)心菰野天照(Amaterasu Herz Komono)無限千剣(Unbegrenzte tausend Schwert )鐵齋(Eisen Fastenzeit)”」

将司が十五年も懸けて習得した真の姿こそこれだ。

白い透き通る肌に長身で黒髪が長く床まで伸びきった銀髪で、黒コートを着て無限に剣が精製されていき、左腕が真鍮製の覇気を纏い躰半分を真鍮化させて目が一秒単位で避けられる能力で、関ヶ原の宙を飛び、将司が刀を構えた。

菰野の魂が見えてきて魂全てのエネルギーを消費して将司も自分の命を削ってまでも・・・・限界を感じた。侍のCODEは基本的に刀や剣に錬成精製できる。

結羅が唖然と愕然と開いた口が塞がらない。

(死ぬじゃん。わたしはこのままだと確実に首を討ち取られる。野暮ったいじれったいが、禁忌を犯しクソ生意気な菰野武士の息の根を止める。)

結羅は全力全身ジャジャジャジャジャーン急上昇に覚醒した力に対してほぼ僅差の互角さながらのCODEの覇気に将司も感じたが顔色一切変えずに刀を構えた。

「TST限界極限(Bound-Grenze)解放解除(Befreiungs Aufzug)モード・Ω紅蓮(Red Lotus)熔解の焔溶(Voll Yan löslichen Fusions)”漆黒蒼天(Farbe Black Heaven)紅蓮(Red Lotus)熔解の女帝(Weibliche Kaiser des Schmelz)極限剣槍(Ultimative Schwert Gun)”」

結羅が全ての熔解の能力を超えて紅蓮の甲冑に燃え盛る全身ドロドロに燃えて将司と一騎討ちで、焔を吸収した。

「終わりだ!骨の髄事燃え上がれ!」

「くっ。菰野舐めるんじゃねぇぞ!お、俺は土方将司。生きて生き残って無駄に死んでいった者の為にもこの戦を終わらす!」

将司は漆黒の甲冑に無限に精製される剣に貫かれ、結羅は遂に負けた。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ハハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ァアッ!」

結羅は潔く正座をして服を破り胸も露わになるが、小太刀を握りしめてそっと腹に刃を当てて将司も剣を鞘に納めた。

「生きよ。まだ夢の続き・・・死なぬ訳にはいかんだろうが。私は敗れた。私の人生もこれまでだ。主君カオル様に出会えて早三十七年・・・多くの友を失い血が流れた。この場に攻めてものの桜を植えて欲しい。共に同郷の者としてな。」

「あ・・あ・・ああ・・ああ・・・ああ・・・ああ・・・ああ・・・結羅?止めろ。生きるのだよ。これからの時代を見届けようじゃねぇか?俺の妻に頼めば衣食住ぐらい保障する。なぁ!菰野に産まれた御前を俺達家族だ。田舎侍が市になった。お、俺は・・・俺は・・・俺は・・・うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「介錯を頼む。ぐっ!あああああああああああああああああああ!」

結羅は自ら腹を切り将司が結羅の首を斬った。

血の雨・土砂降りに関ヶ原の地に大ぶりの雨が降り注いだ。

将司は手を合わせた。

「結羅。御前の墓を建てよう。だが、この戦はKGUが勝つ。俺も死ぬ訳にいかない。家族も友も乱世の時代討ち取る時代は終わっている。」

将司は一人進み松尾山に進と、山全体が大砲に敷き詰められていた。

森・長島・榊は上手いこと生き延びていた。

軍は壊滅。その映像は総本陣に居た亜理寿が全ての映像を見ていた。

先の戦いで、足を負傷して車椅子で三階のモニターで見ていた。

亜理寿は今までの映像を見ていた。

頭の中に電子信号として全ての未来の映像が映せるのだ。

車椅子から降りて杖をつき外を眺めた。

「映像分析・未来(Bildanalyse & Future)」

亜理寿は杖をつき幽華も承知した。

「幽華?この戦に損害は大きく出るが、勝つ。まぁ。亜理寿?約束だったよな。御前の躰を戻すと決めて・・・」

幽華は頷き目を瞑り采配を振るった。

(幽禅進め。今だ!KGU総攻撃開始!カオルを討て!KGUに勝利ト栄光の道を!)

幽華も黒コートを着て黒のローブに袖を通した。

「行くか。俺の軍総員抜刀。」

桃配山から松尾山に向けて歩み出した。

「・・・・・チェックメイト」

軍がそれぞれ動き出した。

将司と三人は砲台を壊していった。

森がカロリーメイトを渡した。

「将司さん!こ、これ食べて下さい!」

「あっ?俺からも」

「ですな」

三人からカロリーメイトを貰った将司は深呼吸して、刀を抜き砲弾を避けながら斬っていき、松尾山が四時間で陥落した。

「菰野天照(Komono Amaterasu)抜刀術(Auslassen Breitschwert)・”菰野龍騎(Komono Dragoon)天照覇(Amaterasu Pa)抜刀術(Auslassen Breitschwert)”龍華鬼天(Longhua Geister Tage)滅神(Zerstört Gott)」

左足で踏み込み右足で強く足で踏み込んで鞘を抜き山の急斜面を走り、一億丁の砲弾を壊し神速な一撃で裁いた衝撃波で空間の時間を戻し喰らいし龍の一撃の神の逆鱗が、KGUの魂が将司はカオルの軍を斬り終えた。

「以上だ。降参する者は出て来い。」

松尾山にはカオルが居たが、カオルとの対面は幽華が久しぶりだった。

「実に十五年ぶりだ。観念しろ。俺の子の軍が直に来る。」

カオルは包囲された。

ハマショー・御比賂・藪内剣星・藪甲斐・結麻の軍が崩れ落ちて関ヶ原の戦は僅か短時間で幕を閉じようとしていた。

降り注ぐ雨の中白宮・甜歌・占守・瑤子・レイヴン・英矢・和雪その他二十名が包囲した。

「無駄だ。抵抗しない方身の為と思え。」

幽華がカオルの貌を上げて言うと、カオルは拳に力強く握りしめて大地に激震が走った。

神の怒りと力がMAXで関ヶ原の断槍が現れた。

地表が割れてプレートが剥き出しに、マグマがブツブツ湧き出ていた。

「俺達魔柄家を舐めるな。氷で全てを凍らせてやる」

白宮親子と占守と亜理寿と甜歌がマグマを凍らせてプレートを分厚い氷で止めた。

「超極限氷壁MAX(Ultra-Grenzwert MAX Bingbi)」

全員降参した。

「覚えておけ!このままで終わると思うなよ!必ずKGUをぶっ潰す。せいぜい足掻け。木曽川の勝ちは見えている。木曽川攻略以降私が神だ。行くぞ」

「おう」

全員降服したが、KGUに捕まり牢人となった。

カオルは姿を消した。

陣を解体して運送業者に木曽川に発注した。

「次は海戦だ。」

将司が咽せて言う。

「将司さん暫く休みましょう。お、俺達が心配です」

「森?良いのだ。」

将司は関ヶ原の激戦地松尾山中腹に桜の木を植えた。

名を刻んだ。

《立花結羅》1990-2079『平成元年~天照暦三十七年』菰野藩出身関ヶ原没地。

桜の木を植えたのは将司で、関ヶ原に別れを告げて木曽川に行くのに菰野市に帰郷した。

森と長島と榊は菰野市議会議員に昇進。

菰野城では宴会が行われた。

翌日。

木曽川まで一ヶ月。近くの桑名市に幽華が来ていた。

幽禅も遅れて来ること幽華に会うと、ベンチに座っていた。

商船が出入りして賑わっていた。

目でも有数の貿易中継地点の桑名では商人が自由な商売を行っていた。

「幽禅。座れ」

「はい」

親子水入らずというのは珍しいことだが、お茶をした。

「乾杯」

「乾杯。父さん・・・初陣怖かった。俺何一つ出来なかった。震えてきた。」

「そうか・・・」

幽華もKGUを離れることが多くて琥御架にも会っては居ないが、彼女の故郷である桑名に立ち寄ると懐かしい記憶と共に幽華がCODEについて話した。

「御前は不安定なアンバランスだ。木曽川は瑤子の策で動くが、しくじった場合俺が和平交渉に行く。商船だけでも護ってやらないと商人が泣くのを見たくもNAI」

幽華は歩き出した。

木曽川を見て木曽川の流れに沿い幽禅も一生に同伴した。

近くの珈琲屋では店員の美人バリスタと英矢と和雪と綾将が居た。

「お疲れちゃちゃんこ」

「アンタ達も働いたのだから良い事よ。」

珈琲屋に女性二人が入店してきて幽禅が居る個室に向かった。

バリスタがコーヒーを入れて昭和のナポリタン三人分を出した。

「どうせいつも食べるヤツでしょ?」

「そうそうそうそう」

英矢はコーヒーを飲みながら綾将と話し合った。

「関ヶ原の一件以降カオルの厳戒態勢が厳しい。最悪な話し菰野市も打撃が大きい。そうなる前に友禅さんが紹介した人を今日来てくれているのだよ」

「あざっす。あざっす。あざっす。英矢さんありがとうございます。」

新聞の記事がカオル関係だ。

英矢は極貧時代には、菰野市でストリートライブをやっていた時期があるのでそこで綾将と出会った。

「なぁ?お袋元気か?」

「ああ。元気だけど・・・・マジな。英矢?誰だろ?もう五分以上だ。おせぇ」

「アンタ等いつまでも居るの?お客さん居るのだけど、ちょー、邪魔~」

「おい、おい、おい、おい、おいおいいおいお、客だよ。俺」

カウンター席でゲラゲラ喋っていると、友禅が来た。

「御前等来ていたのだな。紹介するぞ」

着物姿で刀を腰に差してタンブラー片手にワインを飲む幽禅の後ろに背丈の高く美人で巨乳な人影を幽華と幽禅が見て友禅に挨拶した。

「先ずは親子に挨拶しろよ。こう見ても俺が決めた相手だぞ。木曽川攻略に欠かせない相手だ。」

幽華が立ち上がりカウンター席は人混みでバリスタが大変だった。

友禅も紹介した。

「初めましてご紹介預かりました。木曽川水軍の棟梁山室深早妃(ヤマムロミサキ)です。木曽川から伊勢湾から世界の七つの海を制覇して海賊業と貿易業と海上防衛営業の仕事で海の女です。父親は前MIU総理事長安濃津影親の娘。だから海のCODEを持っている。今回から海戦って事で、私が必要だ。友禅が泣きながら懇願したのだ。私の経歴を見て一応菰野藩士土方秋霖の子って事で綾将の監視を兼ねてきたわけ。フフフフフフフフフフフ」

深早妃は海賊帽子にネイティブアメリカンの耳飾りにサンダル、黒コート、黒ローブ、麻衣一枚だけの格好で剣・銃・槍・弓・斧・鎖鎌・刀などを腰に差したり、背中に背負っていた。

三百六十日海で残り五日陸での生活。

深早妃の船は全長870m級の大型の海賊船。

海賊旗は土方家の家紋《龍に桜に剣》の家紋に髑髏の旗が張ってあった。

「近くに船が泊まっているのだよ。」

「そういうわけだ。」

「ちょ、ちょい、待ち」

幽禅が手を挙げた。

「俺の倅だ。深早妃・・・こいつは俺の餓鬼だ。木曽川の合戦は瑤子の策を採る。ミスれば、深早妃の船に乗りアルテミスの首を討つ。」

「はぁ~」

幽華は財布から五十万札を出して渋々と眉を顰めると海虎がそろばんを弾き自分の取り分半生を茶封筒に入れた。

「おおきに。すんまへん・・・ワテの名は三郷海虎と申しやす。ここ桑名の商いで商人してあります。御免なぁ~私の名海虎言うんや。」

深早妃はカウンターでジントニックを一気飲みして契約書を書いた。

「着いてきな。乗せてやるよ。木曽川の水域は厳しい。抑も戦艦隊の総攻撃を食らうだけでも沈む。覚えておくのだ」

珈琲屋を出て勘定を済ませたのは友禅で、ブラックカードで全員部払い店に出ると港には、世界の海を制覇して賞金首一千億€$の値が懸けられている船がドンと姿を見せた。

全長980cm重さ19,000㌧の鐵鋼船でダイヤとオリハルコンと鉄鉱石・金で補修改修されてある船に幽華も乗った。

因みに造船はここ桑名で創り女海賊深早妃は、全世界の海を制圧し、財宝も船に積んでおり、食料・燃料・武器も積んであった。

「凄いっすね。」

「木曽川の戦いから長島はこの戦で難局だが、敵の艦隊は分かりやすい。南口北口東口」から攻めてくる。西は陸地。それぞれ得策で敵を落とせ。」

深早妃は煙管を銜えて樽から酒を注ぎスマホを操作しながら舵を取っていた。

(今居るメンバーを抑えておこう。)

幽華は考えて友禅を船室に連れて行き蝋燭を灯した。

「吃驚しただろうが、これで出揃った。何十年苦労した。何十年・・・・郷土研究会は血のサークル。俺はもう誰も死なせない」

「それは同じだ。俺も死なせないから誰一人」

親子は決意した。

一ヶ月先の事は亜理寿が部屋に隠って映像を見ていた。

頭の中を駆け巡る未来が映像が逆流してくるかのようにモニターに表示された。

「私は見える。負けるね。退きな。辛い残酷な真実が見える。」

亜理寿が杖をつき未来を幽華に託した。

「瑤子がその内来る。」

「瑤子と海虎と深早妃の三人は俺達の家族だ。絆だ。アイツらを傷つける野郎はぼっちのビッチだが、この戦は乗り切る。」

だが、戦は心配。

船は伊勢湾を迂回して堺の難波に木津川の場所に黒田姓の黒田官兵衛が遠目で大坂を見ていた。

長身で全身傷だらけで、白髪交じりで無精髭が目立つ足を引きずって軍配を握りしめてグラスを手に酒を注ぎ入れて悲しげな目で、本願寺を見ていた。

「来たのか。まぁーこんな大それた時期に俺なんかに用とは?」

官兵衛は哀愁漂う姿で石垣に腰をかけて煙管を吸いタバコを吸い、酒を飲み、ビーフジャッキーを食べながら本願寺の総攻撃と本願寺の変も燃え盛る大坂市中に溜息を吐き、船を待っていると小舟からカオルが姿を見せた。

「私は神だ。御前が望むような世界の構築と実現。まぁ。交渉次第だ。天下一天下一品の公証人で軍師である御前を正式に雇い入れて軍略の入れ知恵で木曽川に勝利致せ。勝てば、御前の夢は何だ?」

「私の・・・私の・・・某・・・某・・・某の夢はこの国を治めたい。秀吉様が手に入らず狸の家康が手中にするならば某がこの国も世界を欲しい。」

「軍師足るもの欲深い。分かった。快く受け入れよう」

カオルは契約を交わした、霧が晴れて壮大な大坂城を後にした官兵衛は木曽川に勝つ為に僅か三日で木曽川の流れを変えた。

治水工事で堰き止めて土嚢と堤防を築き艦隊が入ってこられる水域と馬が入れる距離を測り、陣を創った。

「某の策は何びたりとも負けぬ。」

官兵衛は木曽川に赴きカオル達が感服した。

「これで郷土研究会に勝てる。誠良くじゃ」

官兵衛は跪き十字を切りカオルは剣に誓った。

「官兵衛よ、残りが邪魔だ。今のうちに勝てる道を開けよ。木曽を征する者は貿易を征す。」

「はっ!」

官兵衛は木曽川の大改造で堰き止めた堤防にダムを築きMAXに溜め込んだ水で水責めを考えて何度も思案して大艦隊が到着したのは四日後。アルテミス・久瀨流來栖帝の艦隊が木曽川に停泊した。その晩波斯の宴が行われた。カオルが招待された。

「良く招き入れてくれて(من نیز دعوت شده)感謝する(تشکر)。皇帝陛下よ(اعلیحضرت یو امپراتور)」

ペルシア語を話すカオルに久瀨流來栖はギリシア語で言い返した。

「御苦労なことだね(Θα ήταν μια Gokuro)。それは単に言い回し(Είναι απλά το γράμμα)。無駄なことだ(Είναι άχρηστο)。木曽川で勝てる(Έχω κερδίσει στον ποταμό Kiso)バカは私達だ(Fool μας είναι)。あんまりいい気になるなよ。私が皇帝(I αυτοκράτορα)。」

久瀨流來栖は長身で鍛え抜かれた男だ。

鍛え抜かれた肉体に褐色の肌が物語る皇帝証しに黒コートを着て白いシャツにネクタイをして麻衣木綿一枚の男は、酒を飲んで手を叩いた。

「陛下はいつもあんな感じよ。戦前はやたらと騒ぎ立てるが、いざ始まれば優秀なペルシア屈強な兵士がこの木曽川を制圧する。」

「そうか。乾杯」

グラスを交わしてカオルはアルテミシアと飲んだ。

天照暦37年10月

桑名北部東海三県を流れる木曽川で火蓋が切られた。

しかし、結果は敗退。幽華達の大きな損害に深早妃が請求書を出した。

「言ったろうが、水責めに気をつけろ!と、なんであの場で退かなかった?あ?ああ?ああ?アンタは大将の器じゃない。んでも、瑤子が来たぞ」

瑤子がその日菰野から呼ばれて船室で会談が行われた。

「随分と誤算だった。木曽川は奪われた。残すのは長島だけだ。瑤子?軍師は下りて、素直に相手を斬れ。将司が師匠なら彼奴の背中を追え、超えて見せろ!」

「そうするつもりだわ。今回私が責任負うけど、郷土研究会はまだ集め切れてもないアンタのその態度が気にくわなかった。」

「ああ。反省する。御免」

幽華は火を消した。

友禅も気になっていたが、今は船の中。

幽禅は父の側に居た。

「親父?亜理寿から聞いたよ。親父達十年前にカオルを殺す神ですらもCODEをぶっ殺す術を会得したのだろ?DT・・TST・・凌駕し限界の能力”ED”」

「あ?お前が知って居たのならその通りだ。」

薄暗い部屋の中幽禅は幽華と居たが、舵を取る深早妃に商人の海虎が大海原を見ながら金を勘定していた。幽華は溜息を吐き十字架のペンダントを手にして、受け入れた。

「ED限界解放極限解除モード・魔天罪聖(Magie Verbrechen heiligen Tag)天魔剣(Omen Schwert)”七焔天照(Sieben Sommerfoto)神武聖罪(St brillante Verbrechen)天神滅焔(Tenjin blinkt Flamme)七星剣(Sieben Schwert)”」

初めて見る親父の姿に幽禅は腰を抜かす。

全身七焔を纏い焔の騎士で、漆黒の甲冑に大剣を装備して全身黒く染まり金の十字架が背中に刻まれた。幽華もこの姿を人に見せるのは、初めてだった。

”ED”郷土研究会は自ら生き残る道を選び、その為に進化の過程を超越した。

背中に巨大な七つの剣を装備して、元に戻った。

「これが俺の能力だ。御前にも出来る」

肩を叩き甲板に出ると将司が舵を取っていた。

「俺達生き残った者同士EDを会得した。反吐が出るくらい修行に耐えた。」

一同そう言い頷いていた。

幽禅と英矢と和雪と綾将はキョトンとしていた。

実は深早妃・瑤子・海虎・将司・白宮・幽華・友禅はEDをとっくの前に習得していた。

一ヶ月先の事を考えていてもよく分からずに居たが、海虎は銭勘定をしていた。

「そろばん弾くのがお好きです。ホンマにこの戦の経済効果は商人一同期待しています。軍師殿もさぞ老い生き長島を死に場所と心得るは・・・・長島の土地柄大海原に浮かぶ中州に島じゃ。多くの大小の島々に海賊が好む。無論、銭にしか興味在りません私でも今回の大戦に武器は全部取りそろえておきました。」

帳簿を握りしめて海虎はそろばんを抱えて森・長島・榊もこの戦まで参加した。

十五年以上前からも戦場を駆け巡り船は進み長島港に寄港して停泊した。

「官兵衛」

森は気にしていた。

森は槍を磨いていた。

榊は尺八を吹き刀も数本も磨き冥想していた。

長島は家督を息子の清沖に継がせた。

戦の一日前に書状を送り自分が死んだ場合は、呉々も嫡男清沖に継がせること。

長島は銃の腕前だけを買われてここまで居た。

「さぁ・・・いよいよ、乱世が終わる日」

「皆々の衆よ、国元が待っている。国元の為にも生きねばならぬ」

「ワシはそう思う。戦贔屓で景気は悪化。さぁ、腰を上げていこう。今こそ二千年以上の日本最古の山の民菰野魂ここにあらず。菰野武士が生きてこられたのは、何と言っても殿のお力。ワシ等みたいなバカで使えないクズを仕官なさってくれたこの御恩を今こそ果たす時。この長島利行殿の為に戦場に華を散ります。」

長島は銃の弾を装填させて刀を腰に差した。

森も榊もこの乱世を生き抜いた仲間で在り、菰野武士の誇りもある。

現在菰野市は急速な経済発展で超高層マンション・ビルやオフィス街や繁華街が目立つ若者や家族が住める街として、住みたい街ランキング十五年連続一位を取りテッペンに辿り着いた功績は二十七代目当主土方将司による尽力で在り、治水工事の森・榊・長島の三家が菰野市を創り上げた。

再来年には、正式に菰野市国として、認められて初代市長の将司に三家も大臣に昇格が決められている。

瑤子も海虎も深早妃も関ヶ原で没した結羅も将司の恩赦と情状酌量により、菰野市国の諸岡家との縁談も決まっていた。

船は遂に準備を得て出発する。

(長い乱世に漸く終わる兆しだ。五百年以上も戦い血を浴びてきた俺が、時空のCODEを手に入れて息子孫曾孫玄孫に恵まれた我が人生に悔い無し。)

友禅が黒コートを着て半被を着た。

《誠》の字の新撰組の半被を着て友禅は刀の音を聞いた。

神経を研ぎ澄まして人斬りの自分が覚醒して戦場に流れる血が身に滲みる。

友禅は、甲板に着き帆を張った。周りの船員達も準備はした。

「船長!いつでもぶち込めます。」

「ああ。任せたぞ!」

「おおおおう!」

「御前等も持ち場につけよ。ここは海だ。私の能力を活かされる最大級のバッドさ!親父が殺されたあの日私も居たのだ。MIUに・・・・影親は三十五歳で若くして死んだが、誇りの思う父親だ。さぁ。舵を取れ!持ち場につけ!」

深早妃は舵を取り、船を旋回させて全速力で長島に向かい、長島の海図のレーダーと今までのメンバー総結集で挑んだ。

「幽華指揮を任せる。私達は雇われ人だ。海虎?軍の損害と人身保険はいくらだ?御免死亡事故の場合でも30%払い70%は払い戻される。保険金くらい今直ぐに書いて提出だ。」

深早妃は全員分の保険四十万名ほどの船員と郷土研究会の保険金と死亡保障と人身事故・あらゆる保険にかけて海虎が船室に籠もって勘定の続きをした。

「ああ。」

船の号砲が響く。

天照暦37年11月2日

長島海戦

「円陣組もう。円陣。友禅や英矢には後方支援に回れ。ヅッ。今回の大戦に関しては、マジでヤバイが、円陣で士気を高めよう。円陣が・・・」

幽華達郷土研究会は肩を組み深早妃の海賊船《アルヴァートレ・サルヴェッペッリオ(Alvar sopra la testa problema )号(Pellio Tre Salve)》にて円陣を組んだ。郷土研究会は幽華達に別れた。

「EDを使うが、後方組は船と船員のフォローだ。後方は後ろだ。船員は船乗り達だ。」

幽華はEDを使った。

「ED限界解放極限解除モード・魔天罪聖(Magie Verbrechen heiligen Tag)天魔剣(Omen Schwert)”七焔天照(Sieben Sommerfoto)神武聖罪(St brillante Verbrechen)天神滅焔(Tenjin blinkt Flamme)七星剣(Sieben Schwert)”」

「ED限界突破極限解除モード菰野覇剣(Komono Pa Schwert)神滅(Gott zerstört)”王鎧纏(Wang Kai gewickelt)覇剣菰野魂(Komono Pa Schwert Seele)八百万(Acht Millionen)鋼鐵の墓(Volleisengrab)”」

幽華と将司のEDに続き白宮と友禅も見せた。

将司は、眩い翡翠色の甲冑に光輝く大剣を手に全身から菰野を伝わる。

この翡翠色の甲冑に巨大な輝く大剣と、先祖代々の名刀中の名刀《三重丸》を握りしめた。

「ED超極限解放解除モード氷神白銀の魔女(Voll Hexe Silber Eis Gott)“氷神剣無限(Ice unendlichen Gottes Schwert)天照魂凍(Amaterasu gefrorenen Seele)鋼鉄の魔女(Hexe aus Stahl)魔神神滅(Gott den Teufel zu zerstören)”」

これが最凶の自然界の貴公子白宮和馬のEDだ。

白く冷め切った衣に纏い吹雪が舞う。

全てが氷凍らす男で、長島の荒れ狂う海が凍り付いた。

「これが俺だ。邪魔する野郎がどんな相手でもこの手で凍らす。」

白宮の極限MAXの姿に船内は冷えるが、友禅もその能力を明かした。

「ED最大級限界解放突破解除モード時空王(Zeitliche König)千剣(eintausend Schwert)神刻(Gott graviert)“大和武尊時空(Japaner Takeru zeitliche)千璽剣王(Qianxijianwang)時夢纏(Wenn um einen Traum verpackt)宇宙創生(Schöpfung des Universums)剣(Schwert)”」

友禅の真の姿こそ本来能力で在り、時空の時計が周り時の針の剣が十二本浮かび黒いコートに朱色と橙の甲冑を身に纏い刀を大小腰に差して深呼吸した。

「明治七年以来の姿だが、衰えていない。俺はこの姿はあらゆる時空の超越と操れる。些細な時間でも俺は指を鳴らせばその空間を支配するのは俺だ。俺だ。俺だ。俺だ。」

友禅は指を鳴らすと全ての地球の時間が静止して長島海の波は荒れ狂っていた。

カオルは顔をゆがめた。

「私は神だ。戯けた小僧如き憎き郷土研究会に相応しい最期でも見せてやるよ。まぁ。EDは・・・私は神だ。ED解除」

カオルは長島の中州で禍々しい力を解放した。

(私自身ED状態だ。確実に神を喰らう。ならば自分が神と一体化。この世界の子の宇宙の創造と破壊の神は統べての権限を有する。)

カオルは眩く覇気に金髪筋肉質で黒コートを着てその目は超神人の目。

カオルは神を自ら飲み込み長島に波乱が巻き起ころうとしていた。

歴史的な戦に果たして勝つのは人類か、神か?

「ED神極限MAXOVER限界解放モードΩ神世界(God in the world)創造王の槍(Full gun creating Wang)”天地創造神の(God created heaven and earth F)系譜神聖神(Pedigree Holy God)の剣(Sword)”」

神々しい光の翼が生えて長剣に純白と漆黒の甲冑を着てコートを天空が裂けて違われ水が裂いた。カオルは神を自ら飲み込み喰らい契り神の一撃が長島に大洪水を引き起こした。

「ハハハハハハハハ!ハマショー、御比賂、藪内!全員血に飢えたクソ餓鬼共狙うのは、幽華だ。」

瑤子が先に甲板に先に切り込むが、待ち構えていたのはハマショーだった。瑤子は、銃を構えて発砲して左足で強く踏み込んで、裁いた一撃で船内の急速な時間を戻して神速の速さでハマショーを斬るが、ハマショーが消えた。

「菰野抜刀術は左足で踏み込む。俺は消える人間だ。透明のCODEを持つ。言わば瞬間移動センチネルの男だ。悪い」

圧縮される腕に首を掴まれて瑤子が足蹴りで交わして大剣を変えた。

「菰野天照鬼覇“第弐之剣”《焔爆(Yan platzen )焔神(Entzündung der Gott)爆剣(Explosion Schwert)》」

紅蓮の炎を纏う長剣に変えて炎心から放たれる爆撃の爆破で、船が燃え上がると空気の酸素濃度を急上昇させて二酸化炭素黒焔状態でハマショーが咽せた。

「瞬間・・・ああああっ!」

瑤子が鉄の鋼を打ち直した大剣で焔を斬りハマショーが長島の海に堕ちて海の藻屑となった。

村上家は《天照菰野流》の継承者で、剣を自在に変えられる。

将司は、戦艦をぶった切ると、アルテミシアが飛び込んできた。

「海のCODEだ!」

海のCODEを持つアルテミシアのエンハンスソードで、幽華が出撃した。

「翡翠黒焔乱舞乱打拳!」

ベルゼブブとベルフェゴールの焔を纏い光速の連打と拳の一撃で、アルテミシアは交わして短剣で幽華を斬りつけた。

(・・・・チッ)

長島の海は大きく荒れて船が何百隻の艦隊が現れて大小の艦隊や戦艦・空母が出現して長島の沖では、《アルヴァートレ・サルヴェッペッリオ(Alvar sopra la testa problema )号(Pellio Tre Salve)》に居る幽禅は、船員達と共に、船を動かしていた。

「誰か船の舵を取れ!左旋回右舵一杯!砲撃!」

「おう!」

和雪が舵を取って沖から砲撃を放った。

その頃郷土研究会の残党で歴戦の英雄達は、長島の中州で久瀨流來栖と戦っていた。

「皇帝の器だ。皇帝の名。私は・・・・覇のCODEを持つ。」

久瀨流來栖の大剣が十字に変形した。

「んっ!なっ、あっ・ああ・・なっ!菰野天照鬼覇の使い手!」

「将司!気をつけろ、こいつやる気だ!」

将司は刀を抜き瑤子も剣を変えた。

「菰野鬼覇“第玖之剣”《羅刹鬼天王剣》」

禍々しい威圧の魔力の剣を握り瑤子が真紅の目で性格も豹変して銀髪に覇気を纏い、剣鬼から伝わる殺気に久瀨流來栖も唖然とした。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!行くぞ!行くぞ!ハッ!ハアアアアアアアアアアアアアアッ!」

狂気に満ちあふれた姿で敵味方問わずに斬りつけてくるのに友禅が止めた。

「殺気鬼天斬(Genki Geist töten Kill Devil )魔昇天(Christi Himmelfahrt)ッ!」

「ハッ。煉獄武神葬(Fegefeuer Wu Schwert Gottes )天掃滅神剣(Gott abgewischt Beerdigung Tag)」

「獄門鬼翔(Yumen zerstören Geister )天滅剣(Sky Schwert)!」

三回の真紅と漆黒の大剣で久瀨流來栖と友禅と将司と御比賂とアルテミシアが巻き込まれて止めようとするも圧巻の威圧に苦しんだ。

(息苦しい・・・息苦しい・・・・息苦しい・・・)

瑤子の精神の瀬戸際に全員が歪んだ空間に裁いた衝撃の一閃で斬られた。全員瞬殺で、瑤子も元に戻るが精神の境界線がズレて吐血した。

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・・ハハァ・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ァアッ!」

中州で倒れるが、瑤子を抱き抱えた森が水を飲ませた。

「危ない!友禅助かったわ・・・」

友禅が別次元で飛ばして残り全員無残に斬られて意識も失い、首を討ち取ったのは長島だった。

今回一番の手柄を立てたのは、瑤子だった。

将司は苦渋の決断で、瑤子に自分の息子との縁談を申して更に、自分が菰野鬼覇を教えると伝えた。

「師匠!何から何までありがとうございます!」

「良いのだ。御前の強さは俺達よりも上だ。あの鬼覇をコントロールに長けるのは親父だ。瑤子?親父と一週間尾髙高原に俺の家がある。其処に行っていろ。御前は俺が認める女だ。勿論、俺は菰野鬼覇の正統な当主だが、人斬りの剣じゃない。護る為の剣だ。」

「は・・はあああい!」

瑤子は長島海戦から菰野市に行き龍艶の元でコントロールするのに一年も耐えた。

あれから一年が過ぎて高校進学の時に、幽禅・英矢・和雪・綾将の四人は海虎の高利貸し付金で学校法人倉津田学園に進学した。

CODEを隠して四年が過ぎ去った。

神天暦三年

四年が過ぎて暦が天照暦から神天暦に代わった時に友禅達一部の郷土研究会は、戦場に命懸けで戦っていた。

幽禅も二年前に母親を失った。

病気だった。

琥御架は安らかに眠った。

四年前に幽華は、久々に自宅に帰り琥御架と過ごした。

「まぁ。あれだよな・・・えぇ・・ああ・・琥御架?」

「そうね。今までお疲れ様。幽華の苦労は知っているわ。」

「琥御架?俺は生きてみせる。エンペラーは俺のCODEを知っている。EDを習得したのは牢獄内で俺が自然に覚えた。」

「そうね。」

琥御架はソファーで寝込んでいた。

幽華は黒コートを着て腕には火傷の痕が目立っていた。

KGUの禅十朗と淳親二人は今後の学校方針について話し合っていた。

エンペラー達も来ていた。

KGUでは、城壁の補修工事を続けていた。

「争乱続きだが、いつカオルとの戦いになるのかも分からない。」

「ああ。そいつは言える。」

エンペラーは椅子に座りカオル近辺を調べていた。

(彼奴は可笑しい。八剣神将軍・・・カオルは確かにそう呟いた。彼奴は神に創られた者。と言うことは、神のCODEクラスの者が後数人程度。菰野に頼るか)

エンペラーはタンブラーを飲み澪が来ていた。

「澪?菰野鬼覇見せてくれないか?所謂本家を」

溜息を吐き澪は刀を抜いた。

本来の菰野鬼覇はCODEを斬り人も斬り無重力で無効化の剣術である。

澪は鬼覇で最凶の剣一筋で、CODEも効かない。

澪は、椅子に腰をかけてKGUを見ていた。

四条小路家と土方家とは血が繋がった者同士親戚の親同士の人間で、澪は鬼覇を極めた人物である。

「鬼覇は・・・」

刀を抜くと剣が変わった。

「菰野鬼覇“第壱之剣”《初鉄剣明鏡(Der frühe Eisenschwert)》」

通常の刀を澪が手にして鬼覇を纏い覇気を纏うだけで大剣に変形して鋼を打ち直した剣に鬼覇を纏うだけでCODEを斬る剣。

「菰野鬼覇“第弐之剣”《焔爆焔(Feuer Explosionsflamme)神剣(Gott Schwert)》」

紅蓮の炎を纏い橙色の長剣に焔を纏った剣。

燃え盛る高温の剣にEXPLOSION系が得意。

「菰野鬼覇“第参之剣”《無斬力鬼翔(Kein Zhanliguixiang)》」

翡翠色の双剣でCODEを斬り、人体に影響なく力を無効化する剣。

*対象者のCODEが弱ければ或いは力が均等的なら一瞬の閃光で斬る。

「菰野鬼覇“第肆之剣”《天幽光(Tag leuchten)重魔斬(Magic Cut Gewicht)》」

群青色と蒼白色の長剣で音速神速光速の速さで軽く衝撃波を放つ剣。

「菰野鬼覇“第伍之剣”《双焔氷炎(Twin Flamme Eis Flamme)雷風神滅剣(Ray Fengshen off Schwert)》」

焔の剣と氷の剣の双剣で焔と氷の双極技の剣。

鬼覇の分だけ威力を増す。

「菰野鬼覇“第陸之剣”《重撃鐵魔(Zhongjitiemo)滅血剣(Blutschwert Off)》」

大剣で重力の剣。銀製の紫色と藍色の大剣。

重力・無重力・引力の変換圧縮の剣。

「菰野鬼覇“第漆之剣”《太陽光輝剣(Die Sonne scheint Schwert)斬翔閃(Xiang-Flash-Schnitt)》」

黄色の剣。太陽のように輝き光の剣。

全ての闇を払い常世の闇を斬る剣。

「菰野鬼覇”第捌之剣”《払闇魔天(Aufgelaufene dunkle Magie Tag)鬼覇(Ghost-Pa)無明剣(Unwissenheit Schwert)》」

大剣で水色の長剣で相手のCODEや闇を無に還す。

「菰野鬼覇“第玖之剣”《斬神(Gott gehackt)祈鬼(Betet Geister)魔利支(Magie Lee Zweig)覇翔剣(Pa Xiang Schwert)》」

禍々しい圧倒的威圧を誇る魔力を帯びた剣。

敵味方問わず全てが攻撃的で圧倒的力の解放と鬼と化してバーサーカーの化身で、真紅と漆黒の大剣で相手を斬る。

「菰野鬼覇“第拾之剣”《真倉田天照大神(Wahre Kurata Amaterasu)鬼覇天斬剣(Geist Tyrant schneiden Schwert)》」

十字の剣。

薄いピンクの刀身に金の桜と菊の柄と鞘の金細工。

鬼覇で出来た剣は、万物の最凶の剣でどんな攻撃でも斬り返す特性とバリアの剣は跳ね返す。

澪が全ての鬼覇を見せた。

この鬼覇を見た禅十朗が目を泳がせて溜息を吐き、黒コートに手を突っ込み立ち上がってグラスに手を伸ばしワインを飲んだ禅十朗が部屋を出た。

「今回の件はそれで行こう。だが、カオルは間違いなくKGUを潰す。KGUを護る為には、若手を育てる。鬼覇に似た類型系統の能力者は居るのか?」

「居るわ。噂で噂を聞く。十人居る。十人ともカオルの子。カオルから生まれた者と魔女の子供が鬼覇に似た者が居る。アッハハハハハハハハ」

澪が答えると龍纖・ジョー・エンペラーが頷き水を飲んだ。

「同意に相違なし。」

「ああ。」

「これが鬼覇の剣。噂だ。噂でも構わないが、覇には種類がある。俺は天覇澪とジョーは、鬼覇。龍纖は人覇・・・・カオルは神覇魔覇の闇の覇を纏う。初めて拾之剣見た気がする」

エンペラーが手を突っ込んだままポケットから懐中時計を見ながら澪もこの時に人前で全ての剣を見せた時に淳親が笑った。

「澪姉は相変わらずだ。覇を持つ人間なんてざらに居るが、鬼覇は菰野武士の特徴。澪姉?菰野の郷に帰ればいいのじゃねぇのか?ん?俺個人の意見だけど、覇を持つ人間が十二人揃い時に郷土研究会の最終進化の覚醒だ。」

(覇を持つね。将司と瑤子と脩爾が鬼覇を持っていた。三度KGUに来ないかどうか迷うが、恐らく菰野市の仕事で無理だろう。)

淳親はスーツを着ていた。

禅十朗の子で倉田中学の高校の学長を務めているが、職務がハードすぎて滅多にKGUに帰っていない。

澪も鬼覇を解いた。

覇を持つ人間は、特殊で自動再生治療力を持っている。

エンペラーは、澪を連れて屋上に行くと、遠くから眺める伊勢湾の景色を見ながら話し合った。

「御前と出会って数百年ちょい。もっと経つな・・・・」

「最初の頃超ビビッタシ。そもそもエンペラーさんギンギラギンに尖っていたから私も怖かったのよ。あの頃奥さんを亡くして苛つき荒れていたエンペラーさんと今とは五四〇度違うわ。」

エンペラーは苦笑いする。

澪も薄紅色の着物にコートを着て覇を持つ人間として幽華にも教えていた。

エンペラーは知らされなかった。

幽閉後の短い期間で、天覇を取得EDも習得した幽華は最前線で活躍していた。

エンペラー達はその後KGUを去り倉津田学園最後の年に、息子である幽禅は菰野市に来ていた。

神天暦3年12月8日

菰野市で俺達は招待を受けた。

将司の息子綾将と瑤子の結婚式兼披露宴だ。

将司の妻脩爾も来ていた。

かつて郷土研究会に所属後結婚して鮮魚主婦だが、今でも道場で若手を育てている。

森・長島・榊も同席して息子達も娘も来ていた。

菰野市(旧菰野藩)右大臣南無陀楼優人と左大臣中山佑都が前列に出席していた。

十五年前宮中の天皇家の仕事で、東京に居たがカオルとの避けられない戦で菰野に帰ってきた。

二人ともCODEを持つ者で、菰野四天王の異名があった。

南無陀楼と中山は綾将に礼をした。

「この度はご結納おめでとうございます。綾将殿下」

「殿下なんて冗談は止せよ。叔父さん。」

「はっ!素晴らしい奥方を娶り拙者も有り余る感激とこれからの未来に乾杯」

綾将は元服後にワインを飲めるようになった。

二人とも三十五歳で、将司の同期でCODEの覇を教える塾を開校。

門弟は七百億人を超す。

南無陀楼は日サロで焼けて黒くして、CODEは不明。

綾将は瑤子の兄に挨拶した。

「兄上。素晴らしい瑤子さんを俺なんかに良いのですか?まぁ。市長の子ですが、俺は腕で護ってみせる。侍のCODEは土方伝来っす。」

「ほほう。綾将?姉ちゃんを幸せにしろよ。俺は村上家を残す為なら汚れ仕事でも引き受ける。姉ちゃんは鬼覇を持つ者。俺も・・・覇はある。」

村上新五は酒を飲みながらバイキングでメシを食べていた。

「幽禅。美味いな・・・肉」

「え?あ?ううん。美味いな。」

和雪は肉メインと寿司を頼んでいた。

ここ、菰野ニューロワイアルリッツホテルの35Fの海上を貸し切って結婚式は県内県外から多く来られていた。

海虎や深早妃も出席して大樽の葡萄酒を飲み大酒飲みで、深早妃は礼儀良く将司に挨拶した。

「倅の晴れ舞台や。顔を上げろ」

深早妃は綾将を呼んだ。

「息子だ。ヘッ・・・いい話がある。覇を持つ人間が見つかった。息子共以外に居たとは。私が海を征した時に居たぞ。CODEが。流石神世界の猛者だ。」

「え?待てよ。鬼覇以外に?」

英矢が聞く。

「ああ。御前の親父が死に際・・・・っつうても英矢でもシラねぇが、私もビックラこいた!だった。鬼覇以外に天覇魔覇神覇人覇地覇の六つある。闇の覇では、魔覇と神覇だ。英矢?公に言えないが、順調か?」

「まぁな。俺の本業は幽禅の監視。郷土研究会の人材の集めだ。マジ言えないが、アンタも来いよ。仮にでも海のCODEを持つ大海賊が、近々賞金首一京の額だぜ。額。アンタは怖すぎるわ。」

深早妃はベランダ越しでタバコを吸い賞金首のファイルと郷土研究会のデータでも見ながら海虎はバイキング活用で元が取れる食べ方をしていた。

菰野ニューロワイアルリッツホテルは、菰野市で県内最大級の超高級ホテルで、54F層のホテルで、全面大理石と水晶と西洋式のバロック建築とルネッサンス・和式の寝殿造り・神明造り・書院造りの様式で菰野市が超一流リゾートの一等地に建設されて、龍艶が会長を務める。

「マー君?マー君!来てよ、来てよ、来てよ」

瑤子に呼ばれて席に着き綾将はケーキを頼んでいた。

「瑤子?お色直しの時間か?悪い。俺は居るよ。」

「うん。うん。じゃ・・・・」

瑤子は控え室に戻っていた。

「では、スピーチをお願いできますか?誰か?」

「居ますよ。」

和雪に引っ張られた幽禅が壇上に立った。

「ああ・・ああ・・ああ・・テス。テス。テス。テス。テス。テス。テス。テス。こんばんわ~新郎の友人代表としてスピーチします。天神幽禅です。此度の綾将殿の結婚式は大変な盛り上がり。付き合いは中学一年の頃でした。昔からモテモテの色男で、イケメンで俺等みたいな非モテの男からして見れば最高の友です。まぁー、御二人ともおめでとう」

スピーチが終わりメシを食べていた。

瑤子との結婚式終了後に写真を撮った。

「いよいよ、KGUに行くときだ。これから壮絶すぎる時代にも赴く。俺達はカオルに勝つ。カオルに・・・・行こう」


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