アルイライム領のアルイライム街につけば馬車はミレナと荷物を置いて走り去って行くのでした。
辺りを見回せばこじんまりとした庭園と小さなお屋敷がそこにあるだけなのです。
「領地を預かる領主なのに何でこんなお屋敷が狭いのよ!!!」
そう思わず叫ぶと
「はぁーーー」
っと自然と溜息をつくのです。
しかも、街っと言うわりには領地が広々と広がるばかりのド田舎で
これでは美味しいご飯も村人との会話も街を上げての活性化を図って功績を上げる事も出来ないのです。
「あぁぁぁぁ、もう、何でこんなことに……お父様、お母様、改心しますから、私をどうかお助けください」
そう神頼みの様に祈ればクスクスっと笑う声に戸惑いながらうっすらとその瞳を開ければ第二王子のスティラが立っていた。
「これはこれは、兄さんに振られたミレナ譲ご機嫌はいかがかな?」
そう言われてミレナは俯くのでした。
「冷やかしならご遠慮願いたいわ、どうせ言い気味とでも思って居るのでしょう?」
「たしかに、そう思ってやる事が出来れば俺も大人なんだろうがな? 残念、俺はお前のよしみとしてだな?」
「どうせ、妹君が大好きでぞっこんのお兄様の代わりに様子を見に来たのでしょうけど……こんな寂れた所、貴方達、王族が気に掛ける度の物では無いわよ」
そう言われて溜息を付くのです。
「俺は王子で少なくともここの管轄を取り仕切っているんだよ言わば、お前の上主なのさ、さっ、いろいろ忙しく
なるぞ? まずは、この屋敷周辺の顔合わせからだな」
そうは言われてはいてもまだまだ仲間だと素直に認める事が出来ないミレナは立ち止まったままその場から動けずにいるのです。
「どうした? ミレナ譲?」
そう言われてすぅーっと息を吸い込むと勢いよく泣き始めると
「おいおい、これは想定外だぞ?」
本来ならば、第一王子の妃と言う地位を確約できるはずが人生を棒に振った代償が、こんな辺境の領主とは名ばかりの追い出しだった事にイライラよりも悲しくなっていたところに張り詰めていた糸が切れるかのようにスティラ王子の優しい言葉よりも分け隔てなく接してくれる事で塞き止めていた重圧から一気に解放されてミレナは王子に抱き着くと号泣するのです。
「マジかよ?」
そう言いながらミレナの好きにさせてくれているのですが
それは……ただの甘えになりそうなのです。
「もう、大丈夫だから、でっ、スティラ?」
そう言いながらスティラが首をかしげると
「貴方のお兄様に文句が言いたいのだけど、貴方のせいで私はこのような人生を送らないといけなくなったっと」
そう言えば微笑むと
「領地主総会議が近い日取りであるからその日になれば嫌でも会えるよ」
そう言われて少しだけ元気になり頷くと
「なら、少しでも活動して、治安を良くして活性化させてお城の連中をあっと言わせないとね?」
そう言いながら微笑むとスティラが大きく頷くと
「いいぞ、その調子だ、所で、お前の所は世話役は誰も来ないのか? お前1人では、身の回りの世話なんて出来ないだろう?」
そう聞かれて俯くと
「単身なの」
そう呟くと溜息を付くと
「あああああ、何でそう言う事は早めに言わない、俺のつてで、なら誰か寄こすか?」
そう言いながら悩んだような顔をしていたがやがて微笑むと銀色のハト笛を取り出すと強く吹くのです。
すると笛の音に誘われて
1匹の白いハトが来るとそのハトが何故かミレナの頭の上に止まったので
「ちょ、私は止まり木じゃ無いってば」
そう言いながらワタワタするのだがそれを見て笑いながら手紙を書いて行くのです。
「よし、出来た……オイ」
そう言いながらすっと白いハトに手紙を差し出すとハトがそのまま手紙を銜えると
空高く羽ばたき出したのでほっと息を撫でおろせばミレナが歩きながら
「なんて書いたの?」
そう聞けば
「んっ、一級従者と一等護衛、と給仕を城に要請した、手紙は必ず届くから、城から要請した人達が早馬で来るだろう? こちらも、城の仕事をしてもらうのに、領主ミレナの元に誰もいないのは職務怠慢だろう?」
そう言われて頷けば
「顔合わせは後でいいや、皆事ないと出来ないだろう?」
そう言われて頷くと屋敷の中に二人で入って行くのであった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!