ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハカタ

「社会復帰、やらないか!?」
味噌村 幸太郎
味噌村 幸太郎

おまけの、テクニック!

公開日時: 2022年5月15日(日) 15:56
更新日時: 2022年5月16日(月) 15:14
文字数:824


 僕とボーくんは仕事もないし、毎日ヤマジュンパーフェクトで遊んでいた。


「うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃとことんよろこばせてやるからな」

 それをわざわざイケボで言うから、僕は爆笑する。

「ちょっ!  ボー、やめろって。腹痛い!」

「やりますねぇ~」

「はははっ!」


 すると後ろにいたローリーさんが怒り出す。

「二人とも! もう、ここは職場だって言ってるでしょ!」


 だが、僕とボーくんはお構い無しに、名セリフで遊び出す。

「あのさ。ヤマジュンの読み上げを録音して、ニコニコにあげたら、面白いと思わない?」

「ああ、『精神障がい者がく●みそテクニック読んでみた』みたいな?」

「そうそう。そんな感じであげたら、おもしろいと思うんだよ」

「いいねぇ」

 僕と彼が結託しようとしていると、ローリーさんが怒る。


「二人ともダメですって! ここは職場ですよ!」

「え、でも、ローリーさんのニコニコ動画におすすめでサムネイルが出てきたら、クリックしませんか?」

 僕がそう言うと彼は苦笑する。

「お、押しちゃいますね」

「なら、やりましょうよ。ここで」

「ブラック過ぎる! ここは一応福祉事務所なんですよ! 俺が上の人に怒られますよ! やるなら、裏でコソコソやりましょう」

「えぇ、つまんない……」


 そんなこんなで、作業所はヤマジュンパーティーになった。


 僕はボーくんと毎日、博多に向かって。

「「イキスギィ~」」

 とか連呼して。


 金持ちの運営の幹部たちが来た時に、ヤマジュンを見せつけてやろうと、事務所の目立つ所に置いておいた。


 ある日、通所すると、その棚になくなっていた。

 僕は腹を立てて、ボーくんに叫ぶ。

「ボー! 目立つ所に置いとけったろ!」

「俺じゃないよ……」


 すると熟田さんが申し訳なそうに、僕に頭を下げる。

「すいません、味噌村さん。来賓の方が来たので、私が隠しました」

「あ、そうでしたか……」


 だが、また僕とボーくんは懲りずに、もっと目立つ入口あたりに置いておいた。

 その度に熟田さんが、あとで隠したとかどうとか……。


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