時は、外壁にぶつかった背中の激痛を耐えながらも少女の安否を確認した。
少女は無事なようで、何が起きたのかわからないような顔で時を見つめていた。
「な……何で……」
少女は、時の行動が有り得ないと言わんばかりの顔で口を開いた。
時はなんとか起き上がると、少女を睨み付けた。
「おまっ……っ……馬鹿か?!もうちょっとで死ぬところだったんだぞ?!」
時は、少女に怒鳴る。
すると、少女の表情が険しくなり時を両手で突き飛ばした。時は突き飛ばされた衝撃で体に痛みが走る。
「いっ……!」
「何で助けたのよ!後、少しだったのに!誰も助けてって言った覚えはないわ!貴方何なの?!」
少女は怒鳴りながら立ち上がると、制服の埃をはたき時を睨み付けた。
同い年なのだろう、少女は時と同じ学生服を着ており1年生専用の白いリボンを着けている。髪は透き通るようなアクア色で、一本の細い三つ編みと一緒に左右に白いリボンであげており、後ろに少し残った髪を細い同色のリボンで軽く結んでいて、風がさらさらと靡かせていた。体型も、時の腕の中に丁度収まるくらい小柄で足がスラリと伸び、スタイルは良い。
印象的だったのは、吸い込まれるかのような深い光を纏うワインレッドの瞳だ。少しつり上がった瞳はルビーのように光沢を放っている。
「何、ジロジロ見てるのよ」
少女の声に時は、つい少女を伺うように見つめていた事に気づいた。
「……べ、別に……ただ怪我がないか見てただけだ……」
時は髪を弄りながらフイッと顔を背け、素っ気なく言い放った。
内心は、自分の行動に理解が出来ず少し焦っていた。
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