鳥のさえずりが部屋へ響き渡り、窓から差し込む光が朝を伝える。
「ん……んん……」
時は、カーテンの隙間から差し込む光の眩しさに手をかざし目を覚ました。
眠気が残る中、ベッドの棚に置いてあるデジタル時計を確認すると時間は5時43分を表示していた。まだ目覚ましが鳴る時間ではない。
「なんだ……まだ6時前か。久しぶりに早起きしたな」
目覚まし時計を止めると布団から出て、準備をしておいた制服にさっさと着替え支度をする。
着替え終えると机へ向かい、椅子に置いておいた藍色の革製の鞄を開け中身を確認する。
「あ、歴史忘れてる。危なかった」
歴史書を棚からとりだし鞄に入れると、鞄の付け根を取り自部屋を出た。
階段を素早くおりると風呂場へと向かい、顔を洗って歯磨きをし、リビングへ向かうと居間の椅子に鞄をかけてキッチンに向かい、畳んでおいたエプロンをそそくさと身に付ける。
「さて、今日は早く起きたし魚のホイル焼きにしとくか。となると……、人参……ごぼう……」
冷蔵庫から必要な材料を順々に取り出していき、キッチン台に乗せていく。
「時さん料理できたんですね」
「当たり前だ。一人だから自分の……こ……と……は?」
聞きなれた声の方を振りかえるとそこには昨日の翠髪の青年、ライトが立っていた。
「な?!なんでおまっ?!」
時は驚きのあまりに手にしてたごぼうを突きつける。それをライトはあっさりと避ける。
「危ないですよ。刺さったらどうしてくれるんですか」
「刺され!てか、なに勝手に人ん家に上がってんだよ!」
ごぼうをキッチンに置くとライトを睨んだ。
ライトは時の視線を気にもとめずキッチン台に置かれた材料をまじまじと見ている。
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