休み時間のチャイムが鳴り生徒たちは一目散に解散していく。
時は、朝から走った為か少し喉が乾いたのでジュースを買いに行こうと席を立とうとすると、向日葵が即座に反応した。
「ふぇ?時、何処か行くの?」
「さてはサボりか」
冬樹も気づき悪戯笑みを浮かべる。
「自販機」
時は素っ気なく返答すると、鞄からグレーの折り畳み財布を取り出し席を立つ。
「あ、なら私も行く!」
向日葵は、可愛らしくジャンプして席を立つ。
が、時は呆れたように見つめ、手をかざし制止の合図を送ると向日葵の机の横を指差した。
「ストップ。向日葵はmy水筒持ってきてるだろ」
指差した先には、白いハート柄の巾着袋が鞄と一緒に吊るされている。
向日葵は、いつもお手製のブレンド茶を水筒に入れてきて持ってきているのだ。まだ一講目が終わったばかりなので、中にはまだまだ入っているのは誰にでも分かることだ。
「むー、ジュースが飲みたいの!ほら行こ行こ」
向日葵は頬を膨らますと、お構いなしに時の袖を引き二人は教室を出た。
時は出る間際、冬樹が苦笑いで手を振っているのを見逃さなかった。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!