純文学風の筆致で薄く重ねるように少しずつ恐怖を盛り上げていく本作、主人公の独白という体裁を取りつつもむしろ骸(むくろ)としての家こそが存在感を発揮している。そこに現代的な感覚の息苦しさ……読者によってはジェンダーに結びつけるかもしれない……からの解放を謳いつつも、古典的な演出に帰結・収斂していく構成を楽しめた。
詳細本作。