「ファイア!」
ロロコの放った炎魔法が、樹のモンスターを焼き尽くす!
「ウィンドスラッシュ!」
クラクラが剣を振って生み出した風魔法が、四肢から炎を出す犬を斬り裂く!
「ひああああああっ!」
アルメルは金槌を振り回り、まとわりついてくるスライムを振り払う。
「とりゃああああああ!」
ラファは義腕をふるって、トカゲのようなモンスターをぶっ飛ばす。
……すごいな、真っ当なファンタジー系のRPGみたいな光景だぞ。
四人以外にも、オークたちが協力して、モンスターに対処している。
え、俺とドグラはなにしてるかって?
みんなに指示を出してるんですよ。
〈ロロコ、一匹右に逃げた!〉
「わかった」
ロロコは森の中に逃げ込もうとしたモンスターを炎魔法で誘導する。
「クラクラ! 美しいぞ――じゃなくて、群れがまた出現したぞ」
「……了解!」
ドグラはなんか余計な一言が入ってるな……。
ともかくクラクラはその指示で位置を移動して、モンスターの一群を追い込む。
いや、これべつにサボってるわけじゃないんですよ。
指揮官ぶってるわけでもない。
俺とドグラにはこの後ちゃんと役目があるのだ。
「そろそろ良いのではないか?」
〈……そうだな〉
ドグラの言葉に俺は、モンスターたちの配置を見て頷く。
そして決めていた合図の言葉を叫ぶ。
〈退避! みんな退避してくれ!〉
一気に身を引くみんな。
四人とオークたちは安全な場所に避難した。
大量のモンスターは俺とドグラの正面にほぼ一直線上に群がっている。
ついでにその奥には天空塔ダンジョンがそびえている。
よーし、いくぞ!
俺は両手を前に差し出す。
マジカルアーマーである鎧の全身に刻まれた術式を意識。
そこに魔力を流し、指先に集中させるイメージを描く。
一方でドグラは人間態からドラゴン態に変身。
それに気づいたモンスターたちが慌て出すがもう遅い。
〈発射!〉
俺の手の先から眩い白光が放たれる。
同時にドグラは渦巻く業火を口から吐き出す。
グオオオオオ! と大気が渦を巻くような音が響き。
白光と業火はモンスターの群れを呑み込んだ。
その後には……なにも残らなかった。
属性も相性もガン無視。
二人の攻撃はその場にいたほとんど全てのモンスターを消滅させた。
草原にはまっすぐに、草が消失して土の露出した道が出来上がっていた。
すげえ……。
前に撃ったときはちょっと加減してたけど、こんなに威力あるのか。
そしてそんな攻撃がぶち当たったはずなのに。
天空塔ダンジョンはまったくの無傷だった。
まあ、あんな高い塔に倒れられても困るしな。
「よし、行くぞ」
いつの間にか人間態に戻ったドグラが言ってくる。
俺はうなずき、天空塔ダンジョンへ向けて歩き出した。
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