どうも、リビングアーマーの俺です。
ロロコ、ドグラ、皇帝陛下と一緒に廃都ダンジョンに潜入中。
地上部に出て、ここからは少し警戒を解いていいかなと思ったところ。
大量のゾンビと幽霊を引き連れたネクロマンサーみたいなやつが現れた。
そいつらが通り過ぎるまでとりあえずやり過ごす。
〈……なんだ今の?〉
「群れていたのはアンデッド系の魔物のようじゃったの。そいつらを従えていた先頭のは魔族か?」
ドグラの言葉に皇帝陛下が頷いた。
「もともと廃都ダンジョンにはアンデッド系の魔物が生息していた。魔族との戦いの際に亡くなった者たちの霊体が魔力としてダンジョンに残留したものだな」
「物理攻撃でも魔法攻撃でも倒せないから厄介。基本逃げるしかないってラッカムさんが言ってた」
なるほど。
それで廃都ダンジョンは難易度が高いって話だったのか。
「しかし先頭を歩いていたのは魔物ではないようじゃったの。あれは魔族ではなかったか?」
先頭のネクロマンサーみたいなやつな。
うん、そうだった。
ドグラの問いに皇帝陛下は頷く。
「その通りだ。魔族として覚醒してここにやってきた者の中には魔物を操る力を持つ者がいた。そういう者たちは特にアンデッド系モンスターとは相性がいいようだ。それでああして配下を引き連れ見回りをしている者が大勢いる」
それじゃ先頭のは魔族――つまり現ヴォルフォニア帝国の住民というわけだ。
だったら隠れることはないのでは?
なにしろこっちにはその帝国の元首、皇帝陛下がいらっしゃるんだから。
そう言ってみるが、陛下は首を横に振った。
「いや、それはやめたほうがいい」
〈どうしてです?〉
「あの者たちはライレンシアの言うことしか聞かない。私のことは守るべき対象とは認識しているが、命令に従うべき相手だとは思っていない。だから私が姿を見せればそなたたちを殺して私を捕らえ、元の部屋に閉じ込めようとするだけだろう」
……マジか。
傀儡もいいところじゃないか。
なんか切なくなってくるな……。
「ふん、我を殺す? そんなことができるはずなかろ。代わりに瞬殺してくれるわ」
わー待て待て。
今にも飛び出していきそうなドグラを慌てて止める。
騒ぎを起こすのはマズい。
それに魔族は元は普通の人間なのだ。
なるべく傷つけたくない。
「めんどくさいのう……」
慣れたとは言っても本質はやっぱりエンシェント・ドラゴンだな。
「わたしがなんとかできるかも」
え、本当かロロコ?
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