転生したら鎧だった

〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します
三門鉄狼
三門鉄狼

204 世界は三つに分かれ、混沌を極めていた……!

公開日時: 2022年7月19日(火) 16:12
文字数:1,201

 ロロコに連れられた俺は、廃墟と化していた宮殿を歩いていく。


 廃墟ってのは言い過ぎだったかもしれない。

 外から見たときはボロボロに見えてたんだけど。

 中に入ると、案外無事なところが残っている。


 とはいえ、全体的にかなり埃っぽい。

 それに人が全然見当たらない。

 そんなところは、ここがもう国の重要機関じゃないことを物語っているようだ。


 ロロコが話を続ける。


「リビたんは、どこまで覚えてるの?」


〈あー、そうだな。天空塔ダンジョンが倒壊しないように、ゴーレムたちを集めてる途中くらいまでかな〉


「じゃあ、本当に最初の方だけだったんだね。ヘルメスさんの言ってたとおり」


〈あの後、天空塔はどうなったんだ?〉


「倒れなかったよ。リビたんのおかげ。破片は少し降ったけど、大きな被害も出なかった」


〈そうか……〉


 ホッとしたぜ。


「ただ、ヘルメスさんは消えちゃった。元々消える寸前だったみたいだけど、術式を書き換えたことで、存在が維持できなくなったみたい」


 ……彼女の代わりに俺が天空塔の制御システムになる、ってことだったからな。


 ヘルメスさん本人ではないとはいえ。

 何も言えなかったのはちょっと残念だ。


〈しかし、俺、今は全然天空塔と繋がってる感じがしないんだけど。どうなってるんだ?〉


 それどころか、元の通り、この鎧だけしか自分の身体がない感じがする。


 って、よく見ると、これ、普通の鎧じゃね?

 マジカルアーマーですらない。


 これじゃ本当に平凡なリビングアーマーじゃん。


 いや、リビングアーマーがそもそも平凡じゃないかもしれないけどさ。


「それはね、リビたんの意識を取り戻すためにそうしたの。クーネアさんの助言で」


 クーネアさん。

 エド・チェインハルトの秘書の?


〈ってことは、エドは……今、俺たちの味方なのか?〉


「ううん。あの人は今、世界を滅ぼそうとしてる」


〈なんだって!?〉


 と言ってはみたものの、そのこと自体はそれほど驚きじゃないな。

 なにしろ魔王を復活させようとしてた奴だ。

 救世主になるのも断ってたらしいし。


 うーん、しかし、やっぱり何がどうなってるのかわからないな。


「今、世界は三つの勢力に分かれている」


 ふむ……。


「一つは、ヴォルフォニア帝国。皇帝のフィルシオール十七世と、実は魔族だったライレンシア博士が、魔族による大陸の支配を主張してる」


 ライレンシア博士が魔族!?

 また新情報が出てきた……。


「もう一つは、エドと、彼の魔王の力で操られたモンスターの軍団。これが大陸中に増殖して、魔力バランスが崩れて、世界は滅びかけてる」


〈ん? エドが魔王――魔族の王の力を持ってるなら、その二つは同じ勢力じゃないのか?〉


「最初はそうだったけど、途中で分かれたの」


 そっちはそっちでややこしい事情がありそうだ。

 それは後回しにしたほうが良さそうだな。


〈残りの一つは?〉


「私たち」


 とロロコは、ちょうど目の前にきた大きな扉を潜った。


 後に続くと、そこは玉座の間だった。


 そして、そこには――。


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