どうも、リビングアーマーの俺です。
こっちは人犬族のロロコ。
それと巨大な火吹き鳥。
その炎攻撃を防いでくれた謎の壁。
え、なにこれ?
俺が出したの?
しかしタイミング的にはそうとしか思えない。
ロロコを助けるために壁を出したい! と思ったら出てきたんだもん。
「リビたん、魔法使えたの?」
〈魔法? え、これが?〉
「土属性の魔法。ちがうの?」
どうなんでしょうか?
わからん。
しかし土属性魔法と言われるとたしかにそんな感じがするな。
壁は床から生え出ていた。
床っていうか地面だな。
塔の中なのに周りはサバンナみたいな景色。
足元も普通の土だ。
その土が盛り上がって壁になったのだ。
「リビたん」
ん?
どうした?
――ふごおおおお!
うわ!
てめ、鳴き声出さなくても火吹けるのかよ!
さっきのリズムはなんだったんだよ。
火吹き鳥はちょっと位置を変えて、壁を避けるように炎を吹いてきた。
ヤバいヤバいヤバい!
壁壁壁壁壁壁壁壁!
壁よ出ろ……!
――どーーーーーーん!
やった、また出た!
しかもさっきより大きくて分厚い。
炎をあっさり防いでくれた。
〈よし、逃げるぞロロコ〉
「りょうかい」
俺たちは一目散にその場から離れる。
兜だけの俺はフヨフヨ宙を飛びながら、後ろ側にも視界を追加。
前方を見ながら、同時に追いかけてくる火吹き鳥の様子もわかるようにする。
――ふごおおおお!
とやつが火を吹いたらとっさに、
壁壁壁壁壁壁!
――どーーーーーーん!
壁を発生させて火を防ぐ。
――ふごおおおお!
壁壁壁壁!
――どーーーーーーん!
――ふごおおおお!
壁!
――どーーーーーーん!
いいぞ。
だんだん簡単に壁を出せるようになってきた。
そしてわかってきた。
この土魔法は、鎧に刻まれた術式とさっきの苔モンスターが反応して発生してる。
たぶん、苔が兜のどっかにちょっとだけ残ってるんだ。
それが、さっきのフロアを出たので増殖を止めた。
あと、ドグラみたいにこの鎧自体が苔の力を抑えているのかもしれない。
とにかくその苔の力が術式で変化して、土魔法発生装置みたくなってるんだ。
……たぶん。
実際のところどうなのかはわからないけど。
とにかく助かるんならなんでもいい。
「出口」
ロロコが指差す先を見ると、たしかに扉があった。
さっきとは反対方向のはずなので、その先は別のフロアのはずだ。
〈よし、飛び込め!〉
火吹き鳥の最後の攻撃も壁で防ぎきって、俺たちはこのフロアを脱出した。
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