「リビたん、リビたん!」
懐かしい声で俺は目を覚ました。
ゆっくりと身体を起こす。
ガチャガチャという金属音。
どうやらこの身体は相変わらず鎧のままのようだ。
鎧だ、と思った瞬間、身体感覚が戻ってきた感じがした。
兜。
胸部。
両腕。
腹に腰。
両脚。
全てのパーツが揃っているのがわかる。
そして、それと同時に視界が開けた。
目の前に犬耳の少女が立っていた。
〈ロロコ?〉
疑問形なのは、俺の記憶の中の彼女とちょっと違ったからだ。
顔立ちがちょっと大人っぽくなった。
犬耳がピンと立って大きくなっているし、尻尾も長くなったようだ。
なんとなく、ロロコにお姉さんがいたらこんな感じかなという雰囲気。
でも、俺の名前を呼ぶときの、独特のイントネーションがロロコだった。
〈久しぶり……でいいのか?〉
「リビたん、よかった!」
そう言って抱きついてくるロロコ。
なんだか照れるな……。
俺はロロコを抱きとめながら周囲を見回す。
そこは薄暗い空間だ。
床に壁、そして天井も石積みで、窓はない。
地下空間といった感じ。
そしてその床にはたくさんの鎧が転がっていた。
新しいものも古いものも。
綺麗なものも壊れているものも。
パーツが揃っているものもバラバラのものも。
いろいろな鎧があった。
なんだか、神殿で神に捧げられた生贄のようだと思った。
〈ここは……どこなんだ? 今、世界はどうなった……?〉
ロロコがいるということは、とりあえず滅亡はしていないんだろう。
しかし、周りがこれでは何もわからない。
「ついてきて。詳しくは、みんなに会ってから」
おお。
ロロコ、前に比べて喋るようになったんじゃないか?
そう言うと、ロロコはちょっと頬を膨らませて言う。
「それはそう。私も成長する。リビたんがいなくなってから、二年も経ってるんだから」
二年……。
……そうか。
とりあえず十四年とかじゃなくてよかったよ。
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