どうも、リビングアーマーの俺です。
こっちは人犬族のロロコ。
それにエルフのクラクラ。
それとドワーフ嬢のアルメル。
そしてドラゴン娘のドグラ。
ついでに忍者のヒナワ。
さらにお腹を空かせたオークさん。
うわああああああ!
オークは壁を打ち破って建物の中から現れた。
どうなってんだ!
街を襲撃してきたばかりだろ!
なんでもうこんなところにいるんだよ!
「ハラ、ヘッタアアア!」
うお!
あぶね!
オークが斧を振り下ろしてくる。
俺はそれをなんとかかわした。
いや、べつに痛いわけじゃないし。
そうそう傷がついたりはしないと思うけどね。
オークさん、すげえ馬鹿力なんだもん。
万が一ってことはありそう。
なにしろ、オークはその斧で石造りの壁を破壊してるのだ。
「クイモノオオオ!」
あ、また。
――ドガラアアアアン!
オークが斧を振るたびにそれがぶつかって、建物がどんどん破壊されていく。
「と、とりあえず逃げましょうよう」
アルメルが言ってくる。
その通りだな。
オークは俺たちを狙ってるわけじゃない。
標的にされる前にさっさと立ち去っちまおう。
と思ったら、オークがこっちを見てきた。
正確にはクラクラを見てる。
ヤバいぞ。
オークはエルフから派生した種族って話だ。
俺の世界のフィクションじゃ、醜いオークはエルフに激しい憎しみを抱いている。
このオークの攻撃目標がクラクラに向かうかもしれない。
「……チッ、エルフハ、アイカワラズ、ミテラレナイクライ、ミニクイ、ナ」
舌打ちして視線を逸らすオーク。
お前いきなり流暢になったな!?
っていうかなに、この世界のオークはエルフに対してそんな感じなの?
……まあでも、そもそも、オークはエルフと外見が違いすぎる。
大昔はエルフと同じ種族だったかもしれんけどさ。
だからって、子孫まで憎み続けるなんてことはないのかもしれない。
オークから見れば、エルフが醜く見える。
そもそも美の基準が違う。
ありそうな話だ。
〈と、とにかく逃げよう。チャンスだ〉
オークがこっちに興味を失ってる今がチャンスだ。
「か、カッコいい……っ!」
〈クラクラ!?〉
エルフの側からはそんな感じなのかよ!
「クラクラさん、出てかないほうがいいですよ!」
フラフラ~とオークの方に行きそうになるクラクラをアルメルが慌てて止める。
そこまで!?
「チッ、コッチクンナ、ウットオシイゾ、エルフノメスメ」
すげえな。
俺の世界のフィクションとまるで立場が逆だ。
なにはともあれチャンスだ。
俺たちはオークから離れる。
まずはどこか落ち着ける場所を探したいな。
街の住人たちはどこに行ったんだ?
「おおい、あんたら、こっちだこっち」
お、誰ぞ俺たちを呼んどる。
見れば、お城みたいな高い壁に小さな扉がついていた。
そこから顔を出した男の人が俺たちを手招いていた。
「早くここに入れ」
どうやらあそこは避難所らしい。
助かった。
俺たちはそこに走っていった。
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