どうも、リビングアーマーの俺です。
神聖大要塞ガルシラの一角。
アンデッド系モンスターを率いた魔族の見張りがいて身を隠してます。
どうしたもんかと考えているとロロコが、
「わたしがなんとかできるかも」
とのこと。
マジで?
「わからないけど、大丈夫」
いやほんとに大丈夫それ?
しかし、そういえば魔王になったクーネアさん。
彼女は焔狼族の姿になったロロコに警戒心を抱いていた。
焔狼族は魔族や魔王への対抗手段を持っているのかもしれない。
そして先祖返りしたロロコにその記憶が蘇りつつあるのかも。
〈よし……じゃあ、あそこにいる数が少なめの集団で試してみよう。なんかあったらすぐに援護する〉
「わかった」
ロロコは頷くと目を閉じた。
やがてロロコの周囲で魔力が渦を巻き始める。
それがチリチリと焦げ付くような音を立て炎に変質する。
その炎はロロコの身を燃やすことはない。
ロロコ自身も熱そうな様子はなく、むしろ心地よさそうな顔をしている。
やがて炎がロロコを包み込んで姿を隠す。
炎がパッと拡散すると、そこには狼の姿があった。
「誰だっ!」
今の炎で気づいたのか、魔族たちがこちらへ向かってくる。
ロロコは物陰から出ると、そいつらに向かって前脚を一振り。
ごぉっ!と炎が地面を走り、魔族に激突!
大炎上!
ぎゃーーーー!
〈お、おいロロコ!?〉
死ぬじゃんあれ!
殺しちゃダメじゃん!
「よく見て」
え?
炎は魔族を包み込んだが燃やすことはせず、そのままたち消えていった。
そして残った魔族は、
「え、オレ何して……うわ、なんだこいつら!?」
普通の人間に戻った!?
闇色の肌が普通の色に戻り、髪や目の色も変化していた。
そして周りにいるモンスターたちは獲物を見つけたと言わんばかりの態度。
今にも彼に飛びかかりそうだ。
俺はとっさに飛び出した。
えーと。
アンデッド系モンスターは物理攻撃も魔法攻撃も効かないんだよな。
じゃあどうすれば?
「リビたん、原初魔法」
あ、そうか。
魔法と言っても原初魔法はちょっと質が違う。
魔力を高濃度に圧縮して放出するみたいなもの。
なので霊体が魔力に置き換わったっていうアンデッドには……。
――ヒュゴッ……!
「おおおお……!」
「うああああ……!」
効果てきめん!
原初魔法ビームを浴びたアンデッドたちは成仏するみたいに消えていった。
成仏かな?
昇天かな?
わからないけど、とにかくなんとかなったようだ。
俺たちは人間に戻った男性のところへ駆け寄る。
ロロコはもう人間態に戻っていた。
「大丈夫か?」
「こ、皇帝陛下!? これは一体……」
どうやら魔族になっていた間の記憶はないみたいだ。
ってことは大陸がえらいことになってることとかも知らないのか。
それを全部説明してる時間はさすがにない。
かといってこの辺に適当に放置してくのも危険だし。
どうしようかと思っていると、声がかかった。
「陛下っ!」
見れば軽装鎧を身にまとった偉丈夫がこちらに駆けてくる。
え、だれ?
「ガイアン、無事だったか!」
あ、この人が騎士団長のガイアンさん!?
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