転生したら鎧だった

〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します
三門鉄狼
三門鉄狼

109 ゴーレム・イン・ザ・ダンジョン

公開日時: 2022年3月26日(土) 16:12
文字数:1,358

 どうも、リビングアーマーの俺です。

 こっちはゴブリン娘のラファ。


 二人で、トカゲウオの狩場に降りてきたところ。

 元・狩場って言うべきかな。


 なにしろラファのビーム砲連射で原型を留めてないからな。

 岩は崩れて、水場は蒸発し、トカゲウオは焼きトカゲウオになっている。


「うわー! いい香り。美味しそう! 食料食料!」


 ラファはルンルンなノリでその焼きトカゲウオを集めている。

 俺はものを食べられないのでいまいちノれない。

 いいなー……。


 まあ、俺は俺で目当てがあるからいいけどさ。


 片足でビョンビョン飛び跳ねながら、目的の場所に到着。

 邪魔な岩を退ける。

 ビームで崩れたので、片腕でもなんとかなった。


 お、出てきた出てきた。

 ……けど、これ、トカゲウオに取られた俺のパーツじゃないな。


 さっきトカゲウオから逃げるとき、俺は左腕パーツと右脚パーツを奪われた。

 その奪われたパーツが落ちてるのかと思ったんだけど。


 そこにあったのは、アルメル謹製の俺の鎧とは別物だった。


〈これ、ゴーレムのパーツだよな……〉


 現在、俺の頭パーツと右腕パーツはゴーレムのパーツになっている。

 そこに埋まっていたのは、それらと同じような材質のパーツだった。


〈えっと、これが腕か? こっちは胴体か? ん、また腕?〉


 右と左ってわけでもないな。

 あれ?

 また腕が出てきた?


 次は脚。

 胴体。

 胴体。

 脚。

 脚。

 腕。

 頭。

 頭。


 なんだこれ!

 どんどん出てくる!


〈なんだこれ……〉


 俺はいったん発掘を止めて辺りを見回す。

 今俺が掘り進めたところだけでも、山のようにゴーレムのパーツが埋まっている。


 ここはなんだ?

 ゴーレムの製造工場か?

 あるいは倉庫か。

 ゴミ捨て場か。


 なんにしろ、ちょっと掘ったくらいじゃ掘りきれないくらいのパーツがある。


「どうかしたリビタン? ……うわ! なにこれ!?」


 ラファもトカゲウオ集めを中断して見にきた。


「すごーい。これならリビタンの鎧がどんなに壊れても交換し放題じゃん」


 ……うん。

 まあそうだけど。

 そんなに壊れたくないです。


 でも、失ったパーツを補充できるのはありがたい。


 俺は目につくパーツの中から比較的綺麗な左腕と右脚を引っ張り出した。


〈えーと、起動すればいいんだっけ〉


 前は、たしかこうやって……。


 ガイン! とぶん殴る。

 すると、


『起動します』


 お、うまくいった。


『自動補助機能が作動しています。左腕、及び右脚を補助します』


 ギュイン! とゴーレムパーツが動いて俺の身体に接続した。


「どう?」

〈おお、いい感じだ〉


 違和感は特にない。

 じゃっかん重くなった感じはあるけど、逆にスムーズに動くようになった気もする。


 ゴーレムはオリハルコン製だ。

 数値としてはさらに丈夫になったと言えるだろう。


〈よし、それじゃ先に進もう〉

「待って、もうちょっと食料を確保しておきたい」

〈あ、そうか。オッケー〉


 なんて言葉を交わしていると、


『起動します』


 ――ん?


『起動します』

『起動します』

『起動します』

『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』『起動します』


 ――んんんんん?


 そこら中の地面の下から声が響く。

 そして、どばしゃ! と岩や土砂を突き破って大量のゴーレムパーツが浮き上がった。


 のわーーーーーー!?


読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート