どうも、リビングアーマーの俺です。
天空塔ダンジョンを攻略中。
途中、バラバラになってしまう事態もあったけど、今は無事合流できた。
そして俺はなぜかモンスターを吸収し、四属性魔法を身につけた。
その上『霊体*#&%変換』という詳細不明の謎スキルも。
気にはなるけど、この場でじっとしているわけにもいかない。
そもそもこのダンジョンに挑んだのは、異常事態の解決のためだ。
ダンジョンの入り口にあるはずの『館』がなくなってしまった。
そしてモンスターが外に溢れ出してきてたのだ。
さらに言うと、天空塔ダンジョンの最上階にある高純度の魔鉱石。
それに、ヴォルフォニア帝国の研究者がなにかの装置を取り付けた。
十年前の話。
その研究者の名前はライレンシアというらしい。
それも気になるところだけど。
ともかく、その装置のせいで、周囲に住むオークたちが理性を失ってしまった。
天空塔ダンジョンを管理していた方のオークたちは困ってしまった。
装置を取り外そうとしたのだが、さらに困ったことが起きてしまった。
ダンジョン最上階にドラゴンが住み着いてしまったのだ。
そのドラゴンはマグラ。
ドグラの双子の妹である。
つまり、俺たちがやるべきことは。
最上階まで行き、ドグラに妹を説得して退けてもらう。
オークをおかしくしている謎の装置を取り外す。
可能なら、ダンジョンからのモンスター流出を止める方法を探す。
……ってことになる。
そんなわけで、とりあえず最上階に辿り着かないと話にならない。
めちゃくちゃ面倒だ。
この塔、すごい高いし。
エレベーターとかなさそうだし。
でもまあ、やるしかないよな。
〈そろそろ出発しよう〉
美味しそうな貝を食べ終わったみんなに向かって告げる。
みんなそれぞれに頷いた。
腹ごしらえをして、気力は充実したようだ。
よーし、行くぞ、タワーダンジョン攻略!
――やっと、見つけた。
……ん?
〈今、誰かなんか言ったか?〉
みんな首を横にふる。
おかしいな。
気のせいかな?
――どうぞ、ここまで来てください。
いや、気のせいじゃないぞ!
今度はみんなにも聴こえたようで、辺りを見回す。
しかし、周りには俺たち以外に誰もいない。
大体、声も妙に反響していた。
四方八方にあるスピーカーから発してるみたいな……。
〈うわ……!〉
な、なんだ!?
急に床が揺れ出したぞ!
「これ、上に登ってってる」
ロロコの言うとおり、俺たちが立っている床が上昇を始めたようだった。
いや、床だけじゃない。
この巨大なフロアが丸ごと、上に移動してってる。
……あるんじゃん、エレベーター!
◆◇◆◇◆
やがて、俺たちを乗せた巨大エレベーターは停止した。
そこはまさに最上階。
周囲は、城壁とかによくある、ギザギザした形の壁がぐるりと取り巻いている。
最上階っていうか、屋上だな、これは。
「すごい」
ロロコがその外側を覗き込んで、感嘆の声をあげる。
「我でも、なかなかここまでは飛ばぬな」
ドグラも吐息を漏らす。
「すっごーい! ハーレンファラスとどっちが高いかな?」
ラファがぴょんぴょん飛び跳ねながら言う。
ちなみに、ハーレンファラスは絶海の孤島ダンジョンの巨大樹のことだ。
「な、なんで私たち、こんなところに連れてこられたんですかね……?」
アルメルは遠くを見てはしゃぐことなく、俺の隣でビクビクしている。
まあ、これが普通の反応だよな。
俺も一応警戒は解いていない。
「気をつけろ、誰かいるぞ」
反対側の隣に立つクラクラが剣を構え、言う。
え?
どこどこ?
周囲を見回していると、フロアの中央あたりの床に穴が空いた。
そしてそこから、人の乗った床が競り上がってくる。
全体がエレベーターになっているこのフロア。
その中央がさらに舞台のセリみたいな昇降装置になってるのか。
ややこしい……。
それはともかく、現れたのが、俺たちをここに呼び出したやつなんだろう。
一体誰なんだ?
「……え!?」
真っ先に驚いた声を上げたのはクラクラだった。
俺も驚く。
その顔は……。
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