どうも、リビングアーマーの俺です。
オークの群れに船を沈められ。
ポローナニアの街に入ってもオークに追われ。
なんとかたどり着きました、郊外の古代遺跡。
いやーしかしすごい広い空間だな。
俺たちがやってきたのは地下だった。
地上にも遺跡はあったんだけどね。
そこはほんの入り口に過ぎない。
階段を下った先にある地下遺跡こそがこの遺跡のメインみたいだ。
ドーム球場かコンサートホールかってくらいの空間だった。
そこにたくさんの人が避難してきているようだった。
「あんたら、ずいぶん遅れてきたな。大丈夫だったか?」
入り口近くにいた男の人が俺たちに声をかけてくる。
〈ええ、なんとか……市民の皆さん、ここに集まってるんですか?〉
俺はそう答えつつ質問する。
男の人は、そこで俺たちがこの街の人間ではないと気づいたようだった。
まあそりゃそうか。
リビングアーマーの俺。
人犬族のロロコ。
エルフのクラクラ。
ドワーフ嬢のアルメル。
忍者のヒナワ。
どう見ても普通の集団じゃない。
「あんたら冒険者か? じゃあこの遺跡のことは知らなかったんだな」
そう言って男の人は教えてくれた。
この遺跡は昔から災害の際の避難場所に使われてきた。
そして、避難『経路』としても。
なんでも、この地下遺跡はこの辺り一帯に広がっているそうだ。
通路だけならさらに広大。
ヴェティアンやフィオンティアーナ、天空塔ダンジョンにまで繋がっているらしい。
アルメルが言ってくる。
「待ってください。あのオークたちって、その天空塔ダンジョンからやってきてるんですよね? だとしたらここにいるの危険じゃないですか?」
「いや、天空塔ダンジョンへ通じる道は封鎖してあるから問題ないんだ」
なるほど……。
待てよ。
この地下遺跡、フィオンティアーナまで通じてるってことはさ。
ここを通れば、オークに遭遇せずにフィオンティアーナまで戻れるってことか。
「それ、歩きってことですか……」
アルメルが嫌そうに言う。
俺、ロロコ、クラクラ、ヒナワ――みんなそういうの平気そうだけど。
アルメルだけはインドア派だからな。
「じゃあオークを倒しながらがんばる?」
「…………歩くほうがマシかなー」
ロロコに言われ仕方なさそうに答えるアルメル。
〈ところで、地上のオークたちは大丈夫なんですか? 退治する傭兵とかもいないようでしたけど〉
俺が問うと、男の人は難しい表情で答える。
「そうなんだよ。今年はいつになく数が多くてな。契約と違うってんで、傭兵たちがごねてるんだ。今、奥の部屋で商業組合の代表と傭兵たちが話し合ってるところなんだけど、なかなかまとまらないみたいでな」
ヴェティアンと同じような問題がここでも発生してるっぽいね。
しかし、街の問題は街の問題だ。
俺たちが関わりすぎてもしょうがない。
どうしようもなくて困ってるっていうならまだしも。
そういうわけじゃないみたいだしな。
〈じゃあ俺たちは地下を通ってフィオンティアーナに戻ろうか。あの、その各都市を結ぶ地下通路って一本道ですか? それとも入り組んでたりします?〉
「あー、そう複雑じゃないが、初めてなら案内役はあったほうがいいだろう。紹介料格安でいいやつを紹介してやるぞ」
と男の人がちゃっかり商売を始めたその時だ。
「お、お、お、オークだぁー!」
奥のほうから叫び声が聞こえてきた。
俺たちは急いでそちらへ向かう。
〈どうしたんです?〉
「天空塔ダンジョンに通じる通路からオークが現れたんだ! あそこは封鎖されているはずなのに!」
俺たちはさらに人をかき分けて前に出る。
そこでは短剣を持った市民たちと、数人のオークたちが対峙していた。
緊迫した空気が流れている。
あれ?
……でも、なんか変だな?
〈あのオークたち、すぐに攻撃してこないな〉
ヴェティアンやこの街に出現したオークは、とにかく暴れてる感じだった。
でもこのオークたちは、人間に対して警戒心を抱いている。
「それに私になんの影響もないぞ。本当にオークか?」
あ、クラクラが正気に戻ってる。
ってことはあのオークたち、催淫効果を持ってないってことか。
違う種族なのか?
そう思っていると、通路の奥から、また新たなオークが現れた。
他のオークよりも大きくて、立派な牙を生やしたオークだ。
オークキングって雰囲気だな。
剣を構えた市民たちがその威圧感に、思わず数歩あとじさる。
すごい。
雰囲気がまるで別物だ。
街で暴れているオークと同じ仲間とは思えないほど、威厳と知性を感じるぞ。
そのオークキング(仮)は、ゆっくりと人々を見回すと――
――深々と頭を下げた。
「この街の人々に助けを乞いたい」
ええええっ……?
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