それから数日、俺はマジカルアーマー旅団の操作訓練を続けた。
最終的には、俺本人不在でも作戦行動が取れるくらいに向上した。
なにしろ本拠地の建物でみんなと雑談しながら操作できるようになったからな。
とはいえ、実際の作戦の際にはそうはいかない。
万が一、マジカルアーマーがエドに乗っ取られたりしたら困るからだ。
だから俺はある程度、例の洞窟に近づかなきゃならない。
しかし、実は話はそれで終わりではない。
クーネアさんによると、洞窟の周りには妙な魔力の乱れがあるらしい。
そのせいで、俺の意識が一時的に途切れる可能性があるという。
その際、モンスターから俺を守る者が必要になる。
そのためにロロコが抜擢されることになったらしい。
理由はよくわからないが、魔力の量や戦闘力の関係で、彼女が最適とのことだ。
クラクラやラファ、ドグラだと魔力が高すぎる。
かといってアルメルでは戦闘力が心許ない。
ラッカムさんとかリザルドさんはどうか?
洞窟には魔王の瘴気が充満していて、普通の人間では保たないらしい。
みんなで検討した結果、ロロコが最適ということになった。
とはいえ、もちろん人身御供というわけじゃない。
ロロコも嫌がってたりはしない。
それにそもそも、俺とロロコだけが危険なわけではないのだ。
俺たちが洞窟に突入する間、他のみんなは補助に回ってくれる。
マジカルアーマーをサポートしてモンスターを倒したり。
俺たちの帰路を確保してくれたり。
みんな危険を抱えながら、それでも覚悟を決めて、この戦いに臨んでいる。
◆◇◆◇◆
そして、作戦当日。
◆◇◆◇◆
そこら中から喚声が上がっている。
エドが引きこもっている洞窟がある山。
その周囲に展開したマジカルアーマー6000体。
それを俺は、クーネアさんが指定した地図の通りに配置していく。
そこへどこからかモンスターが湧いて出て妨害しようとしてくる。
それをみんなが討伐していく。
クラクラが率いるエルフの皆さん。
アルメルたちドワーフの皆さん。
ラファとゴブリンたち。
ドグラとマグラ。
オークさんたち。
ラッカムさんが率いる傭兵部隊。
リザルドさんと冒険者のみんな。
みんなのおかげで邪魔が入ることなく、俺はリビングアーマー旅団を配置できる。
〈――よし!〉
何体か破壊されたけど、問題なく所定の位置に配置できたぞ。
術式、起動!
眩い光が山全体を取り囲むように発される。
かと思うと、すぐにそれはガラスが砕け散るように割れた。
「リビたん、どう?」
〈いけたみたいだ……〉
なんだかびっくりするくらい呆気ないな。
しかしこれで、エドの張った魔法障壁は消えたはずだ。
〈よし、行こう、ロロコ〉
「うん」
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