俺はラファを抱えて、垂直の岩壁を上っていく。
以前の横移動よりはずいぶん楽だった。
なにしろ今の俺は、ゴーレム腕を伸ばすことができるからな!
壁に杭を打ってそこに捕まる。
腕を伸ばして上の方でとっかかりをつかむ。
ワイヤーを回収してそこまで上る。
その繰り返しだ。
ちなみにラファは俺の胴体にしがみ付いている。
〈それにしても天井が見えないな〉
どんだけ縦長な空間なんだ。
前に入り口の館の床が崩れて落ちたところもこういう縦穴だったけど。
このダンジョンはそういう場所が多いのか?
「こういう穴はドラゴンの寝床って呼ばれるんだ。このダンジョンのあちこちにあるよ」
へー。
さすが、ドラゴンの巣って言われているだけのことはあるな。
まあ実際のところ、ドラゴンが寝床にしてるわけじゃないんだろうけど。
主であるドラゴンに因んだ名前がつけられてるってことなんだろう。
そうそう、忘れないようにしないとな。
俺たちの目的はそのダンジョンの主であるドラゴン。
正確には、そのドラゴンにさらわれたエルフのクラクラの救出だ。
そして、そのためにも、はぐれたロロコとアルメルと合流しないとな。
合流地点は孤島の地上部。
俺たちはそこ目指して、ダンジョンを上っていかないといけないのだ。
今のところ、同じような場所を行ったり来たりしてる気がするけどな……。
「ん、見えてきたね」
お、本当だ。
縦穴の最上部。
岩がドームのように丸い天井を形成していて、そこに蛇がびっしり……。
〈ってなんでだよ!〉
聞いてないぞ。
こんなところにも蛇がいるなんて!
あ、でも、そういやここの下にいたとき。
上からボタボタ蛇が降ってきてたな。
あれ、ここにいる奴が落ちてきてたのか。
謎は全て解けた!
解けたらどうだって話だけど。
〈どうするんだ?〉
俺はラファに問う。
見たところ、天井には、蛇が群れている以外に特になにもない。
突破口になりそうなものはなにも。
しかしラファは、
「あそこに飛び込もう」
〈はぁ!?〉
なに言い出すのこのゴブリン娘!
〈えーと、どういうこと?〉
「ここまでくる岩壁に蛇は一匹もいなかったでしょ」
ん?
まあ、そうだな。
「ということは、天井にたむろしてるあいつらは、壁を登ってあそこまで行ったわけじゃないってことでしょ」
ふむ。
そうなるな。
「ということは、蛇に埋まって見えないけど、天井にここから出られる穴がある可能性があるってことでしょ」
おお!
なるほどな!
あの蛇をどかせば、ここから脱出する道が現れるってわけだ。
「まあ、もしかしたら、蛇しか通れないような狭い穴かもしれないんだけど」
ああ……。
そうか、それで一か八かって言ってたのか。
いや、でも仕方ない。
あのままじゃ蛇とナメクジの挟み撃ちだったんだ。
挑戦してみる価値はあるだろう。
ぶっちゃけ、あそこにいる蛇を全部落とせばいいんだろ?
べつに空飛ぶわけじゃないし。
そんなに難しい仕事じゃない。
よーし。
見てろよ。
俺はゴーレム腕を飛ばし、端の方で一匹離れてる蛇を掴む。
ぶん!
蛇は暴れるけど、構わず下に放り投げる。
――しゅるるるる……。
蛇は恨みがましそうに音を立てて落ちていった。
よし!
行けるぞ!
いったん腕を回収して、狙いを定めてまた飛ばす。
一匹掴んで放り投げる。
――しゅるるるる……。
また一匹掴んで放る。
――しゅるるるる……。
はっはっはー!
こりゃ楽ちんだ!
「すごいすごい、どんどん数が減ってくね」
はっはっはっは!
今度から俺のこと『蛇落としのリビタン』って呼んでもいいぜ!
――しゅるるるる……。
――しゅるるるる……。
――しゅるるるる……。
――シャーーーーーーーーー!
ぬお!?
蛇が宙を飛んでこっちに突っ込んできた!?
ナンデ!? ヘビナンデ!?
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