どうも、リビングアーマーの俺です。
こっちはゴブリン娘のラファ。
そしてこっちは巨大なゴーレム団子。
――ギュイイイイイイイイイイイイン!
団子はすごい勢いで回転しながら俺たちを追いかけてくる。
〈ぎゃーーーーーーー!〉
「うわーーーーーーー!」
俺とラファは洞窟を必死で逃げ回る。
ゴーレム団子は俺たちを追いかけながら、洞窟の壁をどんどん破壊していく。
高速回転してると普通の球体みたいだけど。
あの団子、あっちこっちから腕やら脚やらのパーツが飛び出している。
それが洞窟の壁にぶつかって、どんどん削っていってるのだ。
しかも動きが安定しないもんだから、あっちにぶつかりこっちにぶつかり。
おかげで洞窟はどんどん広がって、変形していってる。
「ど、どうする?」
〈どうするもこうするも、逃げるしかないないだろ!〉
洞窟がどんだけ変形してもいいけどさ。
あんなのに激突されたら人体なんかきっと一瞬でバラバラだ。
俺も削れてすりつぶされて巻き込まれて、あの団子の材料にされてしまうだろう。
というわけで逃げるしかない!
――ギュイイイイイイイイイイイイン!
スピードアップしやがった!
ちくしょう!
さっきまで土に埋まってたくせに、ずいぶん元気だな!
だいたい、ゴーレムって動力はなんなんだ?
なにを燃料に動いてるんだよ。
……まあ、さまよう鎧の俺が偉そうに言えることじゃないけどさ。
――ギュイイイイイイイイイイイインギュイギュイギュイギュイ!
ん?
なんか音が途中で変わったな?
逃げながら後ろを振り返ると、ゴーレム団子は思ったより離れたところにいた。
なんか、途中で俺たちを追いかけるのをやめた様子だ。
その場にとどまって、なにやら天井にゴンゴンぶつかってる。
〈なんだ?〉
「ひょっとしてべつの獲物を見つけたのかな?」
なるほど、その可能性はあるな。
〈よし……今の内に逃げよう〉
「うん」
俺とラファはその場を離れようとする。
――ギュイギュイギュイギュイ!
まあせいぜい新たな獲物を攻撃してくださいよ。
――ギュイギュイギュイギュイギュギュギュギュギュギュ!
音がどんどん激しくなってく。
チラッと見ると、もう半分くらいが天井に潜り込んでいた。
すごいな。
まるでトンネルを作る掘削機みたいだ。
――ガラガラガラ。
…………ん?
――ゴゴゴゴゴゴ……。
…………えーと。
なんか不吉な音が聞こえますね。
俺知ってるよ。
これまで何度も聞いたことあるからね。
洞窟が崩れる音だー!
〈逃げろー!〉
俺は叫ぶが、手遅れ。
ガラガラガラ! と天井が崩れ。
ついでにグラグラグラ! と足元も崩れ。
『危険です危険です危険危険危険ですですです』
ええいやかましい!
危険にしたのはお前じゃ!
と、故障中のゴーレムに文句を言っても仕方ない。
俺とラファは崩落に巻き込まれ落下していく。
〈ぬわーーーーー〉
「うわーーーーー」
「きゃーーーーーーー!」
ん?
なんか今三人目の声が聞こえなかった?
それも、聞き覚えのある声。
えーと…………。
「ロロロロロロロコさんどうしましょう!」
…………アルメルの声だ!
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