クーネアさん=魔王の攻撃でぶっ壊れた神聖大要塞ガルシラ。
そこら中にヒビが入ってゆっくりと崩壊していくのがわかる。
エドが余裕たっぷりに言ってくる。
「焔狼族のお嬢さんの魔力とガルシラを接続したのはわかっていましたからね。魔王陛下の魔力を消すことができないように対策させてもらいました」
なるほどな。
探ってみると、ガルシラ内部の術式もズタズタに破壊されているのがわかる。
これじゃガルシラ自体が焔狼族の魔力を放出することはできない。
そしてロロコの動きはエドに止められている。
これで魔王は焔狼族のロロコに浄化される心配はないってわけだ。
その上俺たちはこのままだとガルシラの足場を失ってしまう。
大ピンチだ!
どうしよどうしよ!
……なんてね。
実はここまでのことは予測済みだ。
さすがにガルシラを初っ端からぶっ壊されるとは思ってなかったけど。
それでもこれは充分に対応可能な状況。
〈変・形!〉
俺はちょっとタメを作って声をあげる。
――ゴゴゴゴゴゴゴ……!
と音が鳴り響く。
ガルシラの崩壊がちょっと早まったくらいにしか感じられないかもしれない。
まあ、なにしろこれだけのデカブツだからな。
崩壊なのか変形なのかなんて一見わからないだろう。
けど、これは紛れもなく『変形』だ。
6000体のマジカルアーマー。
それがガルシラの各所に取りついて。
神聖大要塞を都市の姿から別の姿へと変えていく。
「な、バカな……そんなバカげたことが……!」
なにが起こっているのか気づいたらしい。
エドが驚いた声をあげる。
〈そんな驚くことないだろ? あんただってあの世界のあの時代から来たんだったら、こういうのは常識じゃん〉
「ふふ、ふざけるな! あれはあくまでフィクションだろ! 実際にやるなんてどうかしてる!」
エドさん、口調が崩れてますよ?
まあ動揺するのもしょうがないか。
俺だって突然見せられたら「はぁ!?」ってなる。
なにしろ要塞が人型ロボットに変形してるんだからな。
しかしエドには元ネタが通じたようで嬉しいよ。
形はだいぶ違うけどな。
魔王の攻撃で破壊されたガルシラの術式。
そこにこの変形用の術式を仕込んでおいたのだ。
ついでに変形することで『主砲』を発射できるおまけ付き。
もちろんただの攻撃じゃない。
ロロコの焔狼族の力を放出する『浄化砲』である。
てなわけで、さっそくいってみようか。
「っ! 陛下!」
「わかっておる……が、これは……」
エドとクーネアさんが慌てるがもう遅いぜ。
そう簡単には避けられないだろうからな。
〈発射!〉
左右腕部の第一主砲および第二主砲。
肩部の第三主砲。
バックパックの第四主砲。
それらが一斉に白光を放った。
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