どうも、リビングアーマーの俺です。
大陸南端の商業都市群の地下に広がる古代遺跡。
そこを、オークの案内でフィオンティアーナへ向かっています。
「あの階段から出れば、フィオンティアーナの近郊に出ます」
あ、もう終わりみたいです。
はや!
いや、時間的にはそこそこかかってるんだよ。
遺跡を徒歩で移動して、途中で二泊ほどしてるからね。
なんだけど、これまでの旅に比べると、障害がなさすぎてめちゃくちゃ呆気なかった。
なにしろモンスターが全然出ないんだよな。
途中で、食事の匂いを嗅ぎつけた野犬を追い払ったくらい。
まあ、そりゃそうか。
ここはただの遺跡で、ダンジョンではない。
そんな危険な旅にならないからこそ、こっちのルートを選んだわけだ。
そんなわけで久しぶりに戻ってきました、フィオンティアーナ(の近郊)。
俺の他にいるのは、
人犬族のロロコ。
エルフのクラクラ。
ドワーフ嬢のアルメル。
クノイチのヒナワ。
「では、我々はここでお待ちしております」
と、ここまで案内してくれたオークの若者が言う。
〈街まで来ないのか?〉
「我々が行くと、人間がパニックになる」
そう言われてみればそうか。
俺もリビングアーマーだから、本来ならモンスター扱いなんだけどな。
幸い中に人間がいる設定で押し通せるんだよなぁ。
〈わかった。それじゃしばらく待っていてくれ〉
俺たちはオークの皆さんにお礼を言って遺跡を出た。
階段を出ると、森の中。
とはいえ、すぐ森の外に出られた。
「リビたん、見て」
ロロコに言われて目を向けると、チェインハルト商会の実験施設があった。
こりゃいい。
まずはこっちと話をつけよう。
俺たちはその四角い灰色の建物に向かった。
◆◇◆◇◆
「お待ちしておりました」
実験施設では、エドの秘書のクーネアさんが待っていた。
「ただいまエド様は所用で出かけておりまして……こちらを皆様にお渡しするようにと言いつかっております」
そう言ってクーネアさんは一抱えくらいの箱を差し出してくる。
〈これは?〉
「実験に使用していた最高純度の魔石です」
やった!
これでラファが助かるぞ!
〈でも、どうして急に? 俺たちが逃亡者を連れてくるかどうかはまだ分からなかったでしょう?〉
「どちらにせよ、実験は中止していましたからね。エド様は、リビタン様と皆様の実力を信頼なさっておいでです」
〈そうですか……では遠慮なくお借りします。それで、逃亡者なんですけど〉
と、俺はヒナワに目を向ける。
ヒナワは頷くと、クーネアさんに向かって言う。
「拙者を人質に、帝国から賠償金を受け取ろうという考えだと聞いた」
「はい、エド様はそのように考えておいでです」
「残念だがそうはいかんぞ」
「どういうことでしょう?」
「この施設にあったあの巨大な物体――エドが魔王と呼んでいたアレについて、世間に知らしめねばならない。ことは、商会と帝国の関係だけでは済まないだろう」
「…………」
さて、どう出る、クーネアさん?
商会が帝国に賠償金を請求するなら、魔王のことを世間に公表する。
それは冒険者相手に商売をしている商会にとっては手痛いはずだ。
ところが、クーネアさんは平然とした顔で言ってきた。
「魔王? いったいなんの話をされているのですか」
………………え?
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