どうも、リビングアーマーの俺です。
天空塔ダンジョン攻略にやってきた俺たちは、だいぶ手前で馬車を降りた。
塔のすぐ近くまで馬車でのんびりといくわけにはいかない。
塔からはモンスターが溢れ出している。
それを抑えるため、オークたちが戦っているのだ。
まずはそれをどうにかしなければいけない。
「皆さんは塔の周りにいるモンスターは無視して塔の入り口を目指してください」
と思ったら、俺たちを先導するオークの一人が言ってくる。
ええと、この人はビオだったかな?
ビオ(仮)は武器の鉄斧を構えながら続ける。
「邪魔なモンスターは我々が蹴散らします。皆さんはどうか、塔の攻略に集中してください」
〈でも大丈夫なのか?〉
「問題ありません。そもそも我々オークは、天空塔ダンジョンにいるモンスターたちに対しては相性がいいのです。だからこそ管理者に選ばれたのでして――」
と言うビオ(仮)の言葉が途中で途切れた。
「な、そんな馬鹿な……」
え、なになに。
このタイミングでその発言ってすげえ不安になるんだけど。
〈――うおおおお!?〉
天空塔ダンジョンの手前で、オークたちがモンスターと戦っている。
しかしその数が多すぎて、もう手に負えなくなりつつあった。
なにしろモンスターたちは増えすぎて、なんか塊みたいになっている。
遠目からは、一体のスライムが流れ出てきているように見えてしまう。
これもう、モンスターたちも自分の意思じゃないよな……。
「なんてことだ……これでは、我々の力では止めようが……」
と絶望的な声をあげるオークのロブ(仮)。
どうするんだ、これ?
ダンジョン入る前からゲームオーバーになりそうなんだけど……。
「まったく、仕方ないのう」
おお、ドグラ!
「我の力で一掃してやろう」
「待ってくれ!」
と声をあげるクラクラ。
大声なのは、オークの催淫効果に当てられないように離れたところにいるからだ。
「それではオークの皆も巻き込まれるのではないか!?」
そうだな。
ドグラの炎攻撃は強力だが、加減はきかない。
この前だってフィオンティアーナの街をぶっ壊したばかりだ。
「ということは、まずはモンスターを牽制しつつ、オークの皆さんを避難させていかないといけませんね」
とアルメル。
やれやれ。
大変な作業だが、やるしかない。
「いこう、リビたん」
そう言ってくるロロコに頷き、俺は身構える。
これまでの戦いに比べればずいぶんとマシだ。
なにしろ突然の遭遇戦じゃない。
準備は万端だし仲間もいる。
よーし。
じゃあいっちょ、行きますか!
読み終わったら、ポイントを付けましょう!