エドが潜んでいる洞窟の中を進む俺とロロコ。
〈洞窟の中は案外普通だな〉
霊力の密度は濃い気がするけど。
クーネアさんが言ってた意識の途切れが発生する様子はない――
「――リビたん。リビたん!」
――ん?
〈どうした、ロロコ。そんな大きな声出して〉
「リビたん、今急に動かなくなってた」
〈え、マジで?〉
全然気づかなかった……。
意識が途切れるのってこんな感じなのか。
あっけなさすぎてむしろ怖い。
これはロロコについてきてもらって正解だわ。
〈それにしても、なんか懐かしいな〉
そんな場合ではないのだが、そんなことを思ってしまう。
俺がこの世界に転生して、最初に出会ったのがロロコだった。
いや、正確には盗賊さんだけどね。
あの人たちとは会話とかしたわけじゃないから。
ロロコはバカ領主の部下から逃げ回っていて。
成り行きで一緒に行動することになった。
「うん。リビたんがいなかったら私は生き延びれなかった。感謝してる」
〈それは俺も同じだ。ありがとう〉
照れくさいな。
なんだかもうすぐ最終回を迎える漫画かアニメみたいじゃないか。
でも、ノリとしてはそういう感じなのかもな。
エドを倒して、ヴォルフォニア帝国をなんとかする。
そうすれば、この世界の魔王と魔族の問題が片付く。
世界が平和になる。
そうなったらちょっと落ち着いて、改めて冒険したりしたいよな。
成り行きでダンジョンに潜るんじゃなくて。
装備とかをちゃんと整えてさ。
「私も連れてってね」
〈ああ、もちろんだ〉
ロロコがいいなら大歓迎だ。
なんて考えてると。
――グルルルルル……。
洞窟の奥から唸り声が聞こえてきた。
やがて姿を表したのは犬のような狼のような外見のモンスター。
洞窟の外にもたくさん出現しているやつだ。
それが、10体はいるか?
〈ロロコ?〉
「大丈夫。これくらい、私一人でも倒せる」
頼もしい限りだな。
よし、それじゃ久しぶりに二人で洞窟攻略と行こうか――
――ドスッ。
不吉な音に横のロロコを見る。
どこからともなく現れた、槍のような形の触手がロロコの腹を貫いていた。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!