どうも、リビングアーマーです。
今回は胴体だけでお送りしております。
具体的に言うと、胸部パーツと腹部パーツだな。
本当はもっと細かく分解されるんだけど。
幸いそこまでは苔モンスターに引っ張られなかった。
で、一緒にいるのはゴブリン娘のラファ。
一緒にっていうか、ラファが俺を着てる状態だ。
苔モンスターに押し出されて、俺たちは別のフロアに飛び出した。
苔どもはそこまでは追ってこられないようだった。
ようやく一息つけた、と思いきや、俺たちが迷い込んだのは洞窟みたいな場所。
その地面がそこらじゅう水浸しなんだが、これがただの水じゃない。
触ると溶ける溶解液の池だったのだ。
硫酸だか塩酸だか消化液だかなんだかわからんが、とにかく危険極まりない。
そこで、ラファが俺を着て、俺が宙を浮いて移動することにしたのだ。
俺は他のパーツがどこにあるか探ってみたんだが、全く反応がなかった。
鎧のパーツ扱いできないくらいバラバラに壊されてしまったのだろうか……。
仕方なく、次の出口を探してしばらく飛んでいると、
「ねえリビタン。前の方からなんか飛んでくるよ」
ラファに言われて目を凝らすと、たしかになんか見える。
ちなみに俺は実際に目があるわけじゃなくて、魔力で視界を得てるって感じだ。
なので洞窟の暗闇でもものが見える。
ラファはもともと洞窟暮らしだったのでこれくらいは平気だ。
ともかく飛んでくるものを見る。
暗い中でなんか黒っぽいからすごく見づらいな。
ええとあれは……。
――キィキィキィキィ!
コウモリだ!
それもものすごい数。
数えきれないコウモリの群れがこっちに向かってきてる。
「あれはヤバいって! リビタン引き返して!」
もちろんだ!
俺は方向転換。
元来た道を戻る。
――キィキィキィキィ!
ぎゃー!
後ろからも来たー!
なんでだよ。
さっきまでいなかったじゃん。
どっから湧いたんだ?
と、文句を言ってもしょうがない。
どうする。
どこに回避する?
別れ道はない。
地面近くにはコウモリはあまりいないけど、そこは溶解液の海。
俺は一瞬潜るくらいなら平気かもしれないが、ラファは無理だろう。
――キィキィキィキィ!
――キィキィキィキィ!
――キィキィキィキィ!
うおおおお!
迷ってる間に一気に迫ってきた!
ばし!
べし!
ぼす!
とコウモリの先頭集団が俺にぶち当たる。
ちょっ、やめ、うわ……ん?
なんか様子がおかしいな。
「リビタン、なんかコウモリを吸収してってない?」
うん……俺もそう思う。
俺に体当たりしてくるコウモリが、鎧の中にどんどん消えてってる。
なにこれ!?
どういう現象!?
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