どうも、リビングアーマーの俺です。
リビングアーマー……?
それにしちゃ、なんか変だな。
こんなパーツ、鎧にあったか?
どうもおかしい。
自由に動くこともできないし。
いや、鎧が動けるほうが本来はおかしいんだけどさ。
しかも声も出せない。
おかげでさっきから、俺を抱えているアルメルに話しかけることができない。
「もー……みんなどこ行っちゃったんですか? わたし、戦闘要員じゃないんですから、一人にしないで欲しいんですけど……」
そんなことをブツブツ言いながら、ドワーフ嬢は歩いている。
あたりは真っ暗闇だ。
それが、本当に暗いせいで見えてないのかはわからない。
俺の視界が確保できていないせいかもしれないからだ。
声が聞こえるわけだから、五感が失われたわけではないと思う。
抱えているアルメルの感触もあるし。
しかし……。
アルメルは抱えているものが俺だと気づいていないのか?
気づいてたら、自分一人だとは思わないだろうしな。
それだけ鎧っぽくないパーツってことか。
そんなパーツあったかな……?
考えてみたが思い当たらない。
バラバラになった他のパーツを探ってみるが、感知できなかった。
このダンジョンの妨害機能でも働いているのかもしれない。
もし感知できたら、消去法でこれがどのパーツかわかると思ったんだけどな。
まったく、不便極まりない。
まるで、転生して最初の、バラバラの鎧の状態に戻っちゃったみたいな気分だ。
「ぎゃーーーーーーー!!!!」
わ!
な、なんだ!?
〈いてっ!〉
アルメルの悲鳴に続いて、身体全体に衝撃が走った。
なにに驚いたか知らないけど、いきなり落とさないでほしい。
ん?
いま俺……。
「冒険書がしゃべった!?」
そう、しゃべれた!
〈あ、あー、あー、あー〉
おお、声が出る!
ラッキー。
え?
冒険書?
ってどういうこと?
まさか……。
と、思ったとたん、俺は、今の俺の状態を認識できるようになった。
…………。
俺……。
冒険書になってるーーーーー!?
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