ノーライフは人類の敵だ、と、おおむね人類を代表する存在が宣言しているニュース画面を前におれたちは考える。
「どういうことだ? まさか、アマテラスが手を回したのか?」
「馬鹿な。いくらなんでも手回しが早すぎるし、そもそも人間界にそこまで強大なコネクションがあるとも思えん」
ニュースの内容をざっとだが読む。ノーライフという“人類の敵”はどういうものであると、アメリカ大統領は主張しているか、だが。それは寄生体であり、人間の意識を奪い取る性質を持つもの、であるという。その正体、どこから来たか、などのおれが知りたい肝心な情報は、アメリカ大統領が押さえているかどうかはともかく報道はされていなかった。そしていつまでも、空港のフロアの中で突っ立ってケータイとにらめっこしているわけにもいかない。
「この調子だと何があるか分からん。すぐにここを発つぞ」
「いい加減腹が減ってるんだが……」
「余も本当は新千歳空港で海老ラーメンを食べる予定だったのだがな、我慢しろ」
「海老ラーメン?」
「えびそば七弦という札幌の名店の支店がこの空港にはあってな……いや、そんな話はいい。行くぞ」
「どこへ」
「レンタカー屋」
リオンが大股でずんずん進んでいくので、おれは小走りでついていく。
「レンタカー屋なんてそこにあるじゃないか。ほら、日乃本レンタカーって書いてある」
そこで借りるんじゃダメなのか、とおれは思ったのだが。
「足になり、宿にもなる拠点が必要だ。よって、ここだ」
リオンが辿り着いたカウンターには、こういう看板が出ていた。
「キャンピングカーのレンタルなら、サンライズレンタカーにご用命を」
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