「イケメン。これを飲むウサ」
「ん?」
イタクァがペットボトルを投げてよこした。
「なんだ、これ」
「黄金の蜂蜜酒ウサ。それを飲んで、イアイア・ハスターと唱えるウサ。そうすると、お前の足元に従魔が現れるウサ」
「そうか」
俺は素直に飲んだ。で、唱えた。
「イアイア・ハスター!」
ぼん、と煙が現れて、俺の下に、羽根の生えた巨大なアリみたいな生き物が現れた。
「そいつの名はバイアクヘー。宇宙空間を飛翔する力を持っているウサ」
「なるほど」
俺はバイアクヘーに自分の意思を伝えた。どうすると伝わるのかは、なんとなく分かった。
「イケメン。お前、このあとどうしたいウサ?」
「一つだけ夢が叶うなら。人間の寿命の限りだけ生きて……リオンと添い遂げたい」
「うん……」
と呟いたのは、俺にしがみついているリオンだった。
「その方法は分かっているウサか?」
「ああ。行ってくるよ。リオン、お前は一緒に来てくれ」
「分かった」
俺たちは凶星ペレグリヌスの元まで、超高速で飛翔した。バイアクヘーの力はすごいものだった。
「……母さん」
俺は脈動する意思の塊に向かって、そう呟く。
「リオン。こいつの神威を、俺たちで乗っ取る。ダンタリオンの知識のすべてを、こいつに流し込んでやれ。できるな?」
「あなたと生きるためなら」
「よし」
俺たちは『着陸』した。ものすごい力の脈動を感じる。俺のすべてが乗っ取られようとしている。俺の意識が。だが、俺にはリオンがいた。俺はリオンと手を繋いでいた。そして、どちらからともなく抱き合い、唇を合わせる。星の上で。
「——————————————————」
ペレグリヌスは音もなく咆哮した。母は強大な神威を持っているが、全知、という性質は持っていなかった。俺とリオン、すなわち悪魔ダンタリオンの知識が、その意識を塗り潰した。その瞬間、俺は『ペレグリヌスを乗っ取った』。
俺は意識を持つペレグリヌスとなり、その神威の全てを支配下に置いた。
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