その夜は車中泊をした。車中泊といっても、いちおうはキャンピングカーなのだからそれなりにそれらしく寝るところがある。といってもイタクァは空の上で寝ると言ったので、俺はリオンと身を寄せ合うようにして眠った。
昨日やっていたテレビ番組によれば、ペレグリヌスが地球に最も接近するのは、午前4時5分頃だそうだ。別に特にそんなものに興味はなかったから、寝ていたのだが、俺は夜中に突然目を覚ました。時計に目をやる。午前4時、ほぼちょうどだった。
俺は外に飛び出し、空を見上げた。真っ赤な小さな星が夜空に輝いていて、そして、俺には分かった。そいつは俺を呼んでいた。
何故って。
俺はペレグリヌス……いや。ペレグリヌスと地球で呼ばれている星、そして名も魂も持たない神であるその存在の、一部であるのだから。……思い出した。すべて思い出した。
俺は。俺たちは。この惑星にやってきて、地上の情報を収集し、そしてペレグリヌス神に情報を持ち帰るために作られた、その情報端末だったのだ。
【名も無き神】本作品オリジナル
遠い宇宙の彼方で生まれた、自我を持たない、しかし地球で言うところの創造神クラスの神威を持った神霊。神性界と物質界の双方を含む地球の全てを吸収し、自己の一部にすることを目的として、長い年月をかけて太陽系にやってきた。
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