萌美ちゃんの案内で、美雪たちは親玉の小屋にたどりついた。
ベルシュタイン「あそこにサルの王様がいるのね?」
萌美「うん!」
美雪「ちょちょっと、合体してたらどうするの?」
ベルシュタイン「知りませんわ! 巨大化(?)でもなんでもしてればいいでしょ! おらっ!!」(小屋のドアを蹴り破る)
門平「うわっ!? なんだよっ!?」(ベッドの中にいて毛布で裸を隠す)
ベルシュタイン「えっ? きゃっ! ごっごめんなさい!」(ほほを赤く染めて目をそらす)
美雪「おいおい。さっきのいきおいはどーした? なんで急に乙女になった?」
恥ずかしがるベルシュタインを通りすぎて、中に入る美雪。
美雪「助けにきてやったぞ。親玉はどこよ?」
門平「あっああ、敵がきたからって……お前らのことか?」
美雪「何素直にベッドで待ってんのよ? 逃げるわよ」
萌美「ねー、何この布?」
美雪「うわっ!? 何これ!? 下着? 真ん中に穴があいてるじゃん! えっろ!」
門平「やだー、見ないで!」(両手で顔を隠す)
ベルシュタイン「まっまあ、親玉がいないのなら、別にいいですわ。早く服に着替えて!」
恥ずかしがるベルシュタインが家の外で言う。
なんのためにドア蹴り破ったんだか。
美雪は後頭部がかゆいからかく。
服に着替えた門平の案内で、美雪たちは村の洞窟にたどりついた。
サルたちはいない。
門平は暗い穴を指さし、
門平「この洞窟を通って外に出るんだ」
門平が美雪たちを案内する。
美雪「くわしいのね」
門平「王……というか、あいつが教えてくれたんだよ」
美雪「へー」
ベルシュタイン「萌美ちゃん! 明かりを!」
萌美「ラジャー」
萌美が洞窟内を明かりの魔法で照らす。
手に持ってる紫のステッキがまぶしい。
あれで何人をあやめてきたのか。
美雪「えっ? 何これ?」
洞窟内は頭のつぶれた死体だらけだった。
サルの王によって目を潰された罪人たちだ。
一歩間違えば、美雪たちもこうなっていた。
ベルシュタイン「何か重いもので潰されたような跡……どういうことですの?」
手に武器を持ってかまえていたベルシュタインが首をかしげる。
洞窟の外に出る。
敵のサルたちも頭をつぶされていた。
死体が村中に転がっている。
美雪「あっ、あいつがいたわ!」
美雪が指さす方向に、2人の人物が見える。
サルの王「ままままってくれ! とにかく弁護士を通して話、ぶっ!?」
地面に倒れていた王の頭が、岩みたいなもので潰された。
立っていたのは女性。
うつろな目でこちらに振り向く。
ベルシュタイン「あなたは……」
女「この人の妻です」
ベルシュタイン「奥さんいたの!?」
女「いつからかこの人、かわいい男の子ばかり連れ込んで、私から離れていったので……女王の座を与えられても、私、我慢できなくて」
死んだ王を見下ろす女。
鼻を、かんでいる。
花粉症なのか。
美雪「どろっどろだな、おいっ!」
門平「というか、この人がすべてのサルを殺したのか!?」
女「岩があればなんとかなるので」(別名『岩使い』)
ベルシュタイン「岩でなんとかなるもんなの!?」
女は両腕を差し出し、
女「私が犯人です。警察に連れて行ってください。もう疲れました。人生に」(最後の岩を王の股間に落とす)
サルの王「アウチッ!!」(死す)
ベルシュタイン「……あっ、よくぞ白状してくれましたわっ!」(何かを思いつく)
ベルシュタインはさっと、ナイフを後ろに隠し、
ベルシュタイン「この人がすべての犯行を重ねた犯人だなんてっ! なんという悲劇でしょう! でもよく白状してくれましたわ! この山の殺人がすべて『あなた』だってね!」
美雪「あっ、萌美ちゃんが破壊した人も、この人のせいにするつもりだぁ、へぶっ!?」(ベルシュタインから喉に手刀をくらう)
ベルシュタイン「言い訳はやめて! もう聞きたくないわ! さっそく警察に電話して、ヘリで迎えにきてもらいましょう!」
警察に電話するベルシュタイン。
美雪「けほっ、けほっ、ちっきしょー。いつかやって……ん?」
門平「……王」(死んだ王の手を持って涙)
美雪「あっ! さてはオメー、もう王にやられちまったんだな!?」
萌美「にゃー!!」(猫のマネ)
門平「しくしく」(号泣)
女「…………」(元嫁、門平を冷たい目で見下ろしている)
美雪「おい! 言えよ! ケツの穴を広げられた感触をよ! どうだったんだよ!」(門平の両肩をゆさぶる)
萌美「みゃー!!」(猫のマネ)
ベルシュタイン「うるっさい! 警察がきたから、家に帰って、ピザ食べるわよ!」(おなかが鳴る)
美雪「やったー!」
萌美「わーい!」
泣いている門平を尻目に、美雪と萌美は飛び上がって喜んでいた。
門平は今日、また一歩、大人になった。
その後、サルの王の妻は裁判にかけられ、死体の数を上げられたが、人数が合わなかったようだ。
なんと自分が殺した数を、『王とのラブラブ日記』に書いていたのだ。
謎の死体は誰が殺したのかわからず――クライモリの中に埋められていた。
(完)
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