ほのぼの家族…ってどの家族のこと言ってんだ!!!

お母さんはね、お母さんはね、お母さんはねえええええええ?!(怒
たかさば
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あしのうらのにゅるにゅる

公開日時: 2021年2月19日(金) 18:00
文字数:2,173

ずいぶん気温の低い朝。

…吐く息が、白い。


ああ、今日は、雪雲が空を覆っている。

まだ、お日様が見えないから、余計に寒いのか。


玄関の、階段を、一歩づつ、降りると。


道端の端が、凍っているのが、見えた。

昨日の夕方、お隣さんが流した水が…乾く前に凍ったんだ。


ああ、今日は、本当に、寒い。

…寒い、けれども。


私は今日も、ウォーキングに、出かける。


毎日の日課だから、行かずには、いられない。


風が吹いていないのに、朝の空気が突き刺さる。

冷たすぎる空気が、私の頬に、突き刺さる。

まだ薄暗い、朝の空気の冷たさが、私に突き刺さる。


いつもなら、公園に着くころには、頬も暖かくなって、来るのだけれど。

寒すぎる空気が、私の体が温まるのを阻止してくる。


ああ、今日は、本当に、寒い。


公園の中ほどにある、健康コーナーに着いた。


ぶら下がり棒、ツイストマシン、エビぞりベンチ、平行棒、反復横跳びスペース。

公園内をジョギングする人たちが、ストレッチをするのにうってつけの場所だ。


今日は、寒すぎるからか、誰もいない。


私は、いつものように、ツイストマシンに向かった。


直径30センチほどの円盤に、両足を乗せ。

腰の高さにあるバーを握り。

正面を見据えたまま、下半身を左右に、ひねる。


ウェストシェイプに有効だとか、ストレッチに有効だとか。

ツイストマシンの説明がいろいろと書いてあるけれど。

私は、効能など気にせずに。


ただ、無心に、腰を、ひねる。


一回、二回。


三回、四回。


五回、六回。

時折、腰の骨がぽきっと音をたてるのは。


七回、八回。


九回、十回。

寒すぎて、体がかたまっているからかも、知れないな。


十一回、十二回。


十三回、十四回。

決して、年老いて。


十五回、十六回。


十七回、十八回。

体が硬くなったからでは…。


十九回、二十回。

ない!!!


バーを持ったまま、円盤の上から降りて。


ゆっくり、手を放し。


一歩、二歩。

にゅる、にゅる。


三歩、四歩。

にゅる、にゅる。


五歩、六歩。

にゅる、にゅる。


七歩、八歩。

にゅる、にゅる。


九歩、十歩。

にゅる、にゅる。


十一歩目には、普通の歩みが私のもとに。


…この、十歩が。


私は、大好き、なのだ。


…どういう理屈かはわからないが。


ツイストマシンから降りた後の十歩は、おかしな感覚が付属するのだ。


…平衡感覚が刺激されるのかも、知れない。

…血行が良くなって、足の裏が活性化するのかも、知れない。

…こんな感覚があるのは、私だけかも、知れない。


この、足の裏の、にゅるにゅるを…求めてしまうのだ。


今日も、実に良い…にゅるにゅる、だった。


私は満足して、公園内を、巡る。


公園の出口に差し掛かる頃、お日様がようやく、顔を出した。


明るく色付く空には、いつの間にか、雲がなく。

どこまでも、青い、青い空が、広がって、いた。


私は、今日の晴天を、予感した。


目に、眩しい…お日様の、光。


…お日様の恵みで、冷たくなった頬も温まるはず。


そう、思ったが。


いつの間にか、私の頬はほんのりと、温かさを蓄えて、いた。

私の中の血液が、私の中を巡って、熱を与えて、くれたのだ。


ああ、そういえば。


凍えていた指先も、温かい。

強張っていた体が、ほぐれている。


心地よい暖かさが、私を包んでいる。

どこまでも歩いていけそうだ。


…行けそう、だけれど。


家に帰って、しなければいけないことが、たくさんある、から。


私は、家に、向かって。

玄関から、家に、入って。

リビングの、ドアを開けると。


む、むわっ・・・


とびきりの、熱風が、私を、襲った。


「ちょっと!!寒いじゃん!!閉めて!!!」

「ちょ!!この部屋、めっちゃ暑い!!!」


私は、着ているものを次々に脱ぎ捨てて…半袖になって。

ゴミだらけのリビングの、掃除を、始め・・・


にゅる、にゅる!!


?!


足の裏に、おかしな、感覚が!!!!


「ちょ!!なんかある!!!」


ラグをめくると、ポリ袋が出てきた。

箸袋が出てきた。

輪ゴムが出てきた。

つまようじが出てきた。

綿棒が出てきた。

たこ焼き屋のスタンプカードが出てきた。

年賀状が出てきた。

寿司パックのしょうゆの小袋が出てきた。

アメリカピンが出てきた。


「なにこれ!!!」


「あ、もう学校行く時間だ、行ってきますー!」

「行ってきます。」

「お父さんも行くー!」


慌ただしく、家族が出かけてゆくのを、見た、私は。


キッチンのテーブルの上を見て、息を、飲んだ。


パンくずだらけの皿、空っぽになったスープ鍋、バナナの皮、空っぽのヨーグルト容器、飲み散らかされたコップにほんのちょっぴり残っている牛乳パック、食べ終わったみかんゼリーの容器にフタの閉まっていないバター、スプーンがツッコまれたままのジャムの瓶、一枚も残っていないハムのパックに、なぜか丸ごと残っている昨日の残りのちくわの煮物!!!


「なんで食ったら片づけない!!なんで食ってほしいものを食わない!!なんでちょっとだけ残す!!なんで全部使いっ放しにする!!なんでごみを捨てない!!なんで、なんで、なんで!!!」


私は、怒り心頭で、ヒートアップ、して、しま、い。


「あんのクソどもがああアアアアアアア!!!!」


…相当、体が熱くなってしまったのでね!!!


リビングのファンヒーターのスイッチを切り!!!

部屋の窓を開け!!!

冷たい空気をお招きして!!!


掃除を、掃除を!掃除を!!!


片付けを、片づけを、片づけを!!!


やらせていただいたという!!!


お話ですよ!!!!!!!

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