予定外に晩御飯のおかずがなくなってしまった。
こうなったら仕方がない。
そうめんパーティーでごまかそう。
我が家には流しそうめん機が三台ある。
遊園地のアトラクションみたいな奴と、くるくる回る奴、一人用の小さい奴。
…今日は、それを、フル稼働させる。
そうめんつゆは四種類用意。
自慢のかつおだしつゆ。
コクが半端ないマヨネーズだしつゆ。
風味豊かなゴマだしつゆ。
たまねぎの甘みと歯ごたえがたまらないねぎだしつゆ。
箸休めはバンバンジーと鶏皮甘辛煮、とろとろ味たまご。
デザートは流しタピオカ&ボバだ!!!
サイダーを小さい流しそうめん機に入れ、そこに細かく切った缶詰のフルーツカクテルとシロップ、タピオカ、ホッポングボバを流すのである!!
コレがまた見た目に華やかでしかもすくう楽しみもあり、なかなかの好評でね、いや、私が好きなだけなのかもだけど!!
鳥胸肉を二キロゆで、皮をはいで身をほぐす。キュウリ五本は乱切りにして少し叩いておく。特製バンバンジーたれとほぐした胸肉、たたきキュウリをざっくりあわせて冷蔵庫へ。
皮はごぼうと一緒に甘辛くしょうゆで煮付ける。たまご十個は固めの半熟にゆで、慎重に殻を剥いて特製漬けだれにいれて冷蔵庫へ。
大量にお湯を沸かしておいて、準備は完了だ。
後は…食い散らかす奴らが帰ってくるのを待つのみ!!!
私は一人、ややこしいアトラクションタイプの流しそうめん機を組み立て始めた。
「ただいま。」
お、息子が帰ってきたぞ!!
「ながしそうめんやるの。」
「うん、大きい机出してもらっていい?」
「わかった。」
息子が手伝ってくれるので、食卓の準備がどんどん進む。
「「ただいまー!!」」
娘と旦那が帰ってきたぞ。
「わあ!!流しそうめんやるの!!」
「肉ないの!!そうめんだけじゃ腹膨らまないじゃん!!」
「バンバンジーとか色々ある!!!」
「とりにくおいしい。」
あっという間ににぎやかしいな!!!
じゃあそうめんゆでるか!!
「ねえねえ!!コレ動かないよ!!」
「電池ないんじゃないの?!」
「電池の予備どっかにないの!!」
「どこにもない。」
なにー!!
「ちょっとコンビニで電池買ってくるわ!!」
「あたしも行くー!」
娘と旦那はコンビニへ。
…いやな予感しかしない!!!
「かんづめあけたい。」
「ああ、じゃあね、コレあけてね。」
とりあえずゆでるのは後回しにして、箸休め三品とつゆをテーブルに並べる。一番小さいそうめん機にサイダーとシロップを入れてと。
カットしたフルーツと汁を切ったボバとタピオカをまとめて小さめのボウルに移してテーブルへ。
後は電池を入れて、まわして、そうめんをゆでて流すだけ!!
「ただいまー!」
「電池あったよー!」
げえ!!何で電池だけ買ってきたはずなのに、そんなにでかい袋持ってんだ!!!
「ついでにハンバーグとお菓子とアイスとケーキとシュークリームと肉まんと…買って来ちゃった!!」
「食うもんあるって言ってんじゃん!!何散財してんだ!!」
「腹減ってるときに買い物行くとこうなっちゃうんだって!!!」
「アイスほしい。」
テーブルの上はいっぱいだ!!
おかしいぞ!!かなり大きなテーブルだというのに!!
のり切らないほど…食材が、食べ物があふれているとは!!!
私はそうめんのゆでる量を半分に減らすことにした。
「ギャー面白いははは!!すくえなーい!!」
「ちょ!!早く食べないとのびるって!!」
「じゃんじゃん流してー!!!」
「ぼくながす。」
「おおおこのバンバンジーめっちゃうめーバクバク!!」
「たまごうまー!」
「かわおいしいねえ。」
「ちゃんとキュウリも食えやあアアアア!!!」
「ねえねえマヨネーズのたれなくなった他のにマヨ入れていいー?!」
「たまねぎだれめっちゃうめー!!!」
「にくまんたべていい?」
「そうめんなくなったけどもうゆでなくていいよね?!」
「デザートくおー!!全然すくえないじゃん!!」
「だれ!!ハンバーグ全部食べたのは!!」
「アイス溶けてるじゃん、飲んじゃえあはは!!!」
「アイスほしかった…。」
・・・なんだろう、そんなに食べてないのに、この満腹感。
正直おなかいっぱいだよ!!この騒がしさに!!!
私はげっそりしながら、くるくる回転するタピオカをすくって…ボバをすくって…フルーツをすくって…すくえないんですけど!!!
うぎぎ…デザートまでもが好き勝手にそうめん機のなかを縦横無尽やりたい放題だとぅ…?!
許さん!
「ちょっと!回さなかったら面白みがないじゃん!!」
「すくえない苛立ちのほうがでかい!!」
小さな流しそうめん機のスイッチを切った私は、大きなレンゲで豪快にフルーツ&タピオカ&ボバをすくって口に運んで…やっと!
一息つくことができたのであった。
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