給料日、おうちで焼肉パーティーをすることになった。
ちょっといいお肉を買ってきて、ホットプレートで、じゅう、じゅう。
牛肉一キロ、豚肉500グラム、ソーセージ二袋にハンバーグ二個、エリンギ一パックにシイタケ一パック、ピーマン一袋にもやし一袋、サニーレタス一株。
「さーどんどん食べよう!!」
「肉肉!!」
「きのこたべたい。」
「とりあえず焼いていこう!!」
じゅう、じゅう、じゅう、じゅう。
どんどん焼けていく肉。
もうそろそろいいかなと手を伸ばすと!!
「いただきい!!」
旦那がすぐに取っていく。
じゅう、じゅう、じゅう、じゅう。
どんどん焼けていく肉。
もうそろそろいいかなと手を伸ばすと!!
娘がすぐに取っていく。
息子はキノコが大好きなので、焼けるのをじっくり待っている。
私はピーマンが大好きなので、焼けるのをじっくり待っている。
待ってる間に肉を食べたいと手を伸ばすものの、全然食べられない。
焼けたかなと思う前に、全部根こそぎ取られてしまう!!
「ちょ!!まだそれ赤いとこあるじゃん!!食うな!!」
「食える食える!ハフハフ!!」
「ちょ!!それ私が狙ってたやつなのに!!」
「ほかにもあるある!あ、ピーマン焦げ始めたよ!!」
全然肉を食うチャンスが来ない!!!
息子はキノコをもぐもぐ食べながら今度はハンバーグが焼けるのを待っている。
「ちょっと!!ハンバーグはとっちゃだめだよ?!」
「わかったわかった!!」
のせる肉のせる肉すべてをあっちゅーまに食らいつくしていくこの家族。
違うな、娘と旦那だ!
ようやく焼けたハンバーグを見て、娘が息子に声をかける。
「ねーねー、ちょっとだけ食べさせて!」
「いいよ。」
息子がやさしすぎて自分の食べる分を減らしている!!!
「あんた肉食ってんだからハンバーグくらい取ってやりなや!!!」
「くれるって言ってるからいいじゃん!!」
あかん!!食い気がシャレにならん!!!
結局自分は三枚の牛肉しか食べることができず、ほぼほぼ野菜で腹を膨らませることになった。
息子はキノコとハンバーグしか食べてない。
肉の恨みイイイイイ!!!
というわけで、私は息子と一緒にへそくりで焼肉屋に行くことにした。
「ええと、カルビと、ハラミと、ロースと、とんトロ、ハンバーグにキノコ盛り合わせ、しし唐にサンチュ、コーンバター、あと白いご飯一つ。」
「はい。」
食えなかった肉の恨みを晴らそうと、いつも食べられない肉をここぞとばかりに注文した。
次々に運ばれてくる、肉!肉!肉!!!
今日は焼き網も独り占めできる!!いや息子もいるけど!!
大喜びで肉を並べていく。
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
うーん、この肉の焼けていく、いいかおりぃーん!!!
息子は肉が焼けるのが待ちきれないようで、ご飯を食べ始めた。
カルビが食べごろだ!!
一枚取って、タレにつけていただく。
むぐっ、はむはむ、むぎゅむぎゅ。
「うまいっ!!!」
うまい、うまいぞ!!
しし唐もいい感じに焼けてきた!タレにつけてガブリ。うんまい!!
キノコが焼けてきたので、息子のタレ皿に入れて差し上げる。
「たべられる?」
「焼けてるからいいよ!ふうふうして食べな!!!」
「ふう、ふう!!」
大喜びで、次から次へと、焼き網にのせていく!!
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
息子はコーンバターが気に入ったようだ!!
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
次々に焼けていく肉に、私の食べるスピードが追い付かない!
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
あれ。
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
おかしいぞ。
じゅう、じゅう、ぱち、ぱち、じじゅっ!!
箸が進まなくなってきたんですけど。
「もういらない。」
息子はコーンバターとキノコ、ごはん、ハンバーグを食べて終了らしい。
ちょっと待て。
私の目の前には、焼けた肉があと10枚残っておりますが。
正直、腹がいっぱいで、食えん!!!
私ってこんなに食細いの?!
こんなにも食べられない人だったの?
ヤバイ!残すのは嫌だ!!
食うしか…ない!!!
無理やり肉を食べ切った私はおなかを壊す羽目になり、反省し、学習した。
3500円で私は学習したのですよ。
もう肉はそんなに食べられない。
野菜中心で行こう。
肉は食べなくてもいい。
肉にこだわるから腹が立つのだ!!
幸い野菜は誰も取らない。
ピーマンなど見向きもされない。
食べ放題だ!!
キノコだってそうだ!!
息子は食べ放題だ!!
まあ、ハンバーグは多めに用意しておくことにしよう、うん。
かくしてうちの焼肉パーティーは、争いの火種を消火することに成功したのであった!
…ちょっと待って、私、肉食べないのに、焼肉パーティーって、おかしくない?
…まあ、いいか。
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