放課後、
「それでは一緒に帰りましょう」
叶向《かなた》にそう言われ、僕は彼女と帰路につく
なんであれだけ拒んでいたのに、今日の叶向はすんなり自分が僕の彼女だと認めたんだ...
その答えを僕はもう分かっている...
それは...
今日の僕の髪型がイケてるからだ!!!
昨日、女の子に初告白、初振られしたのがショックで、まずは見た目から改善しようと人生初の美容院に行った
「どうなされますか?」
「ツ...ツ...ツーブロックで!」
美容院などとは縁がなく、普段は1000円カットでサクッと切ってもらっている
よく分からないので、とりあえず唯一知ってる髪型を言っておいた
昨日の僕と今日の僕の違いといえばそこしかない!
昨日は振られて、今日は認められたということは、美容院デビュー作戦が功を奏したんだ!
「だって...」 叶向のあの意味深なセリフ... その続きは...
「だって凜真《りま》の髪型、素敵なんだもん!」に違いない!
クソッ!叶向め!思ったより見た目重視なんだな...!
ちなみに九院《くいん》さん *1話参照 には
「だっさ 横の髪禿げてるじゃん」と言われた
よっぽど僕がかっこよくなったのが悔しかったんだろう
素直に認めればいいのに
「あの~黙ってないで何か話しません?」
「え...あ...あ...」
あれ、何喋ればいいんだ?
そう言えば付き合って初日、叶向と話していた時はほぼ叶向が話題を振っていてくれていた
女の子と話すって何話せばいいんだ~~~!!!
「今日の僕の髪型どう思う?」
「横の髪、禿げてませんか?」
え? あ、なんか、聞かなかったことにしよう。
「好きなアニメってある?」
「アンパンマンとか見てたことしか覚えてないです」
「ゲームとかするの?」
「人生ゲームとか小さい頃してましたね」
「あ、デジタルのゲームで」
「してないです」
「ユーチューバーとか誰見てるの?」
「ゆーちゅーばー?」
「Youtubeってスマホに入ってるでしょ?」
「すまほって何ですか?」
叶向はガラケーだった
え、ちょっと待って、やばい... 今までの会話...
僕めっちゃつまんないやつじゃん... やばい...
その後も、ぎこちない微妙な会話を繰り返しているうちに別れ道についてしまった
「叶向~僕こっちだからまた明日ね... また明日、僕たち付き合ってるって伝える~~」
「待ってください!」
満身創痍でトボトボ歩く僕に
「私の家に来てくださいよ!」
さらなる猛攻。
女の子と会話すらろくにできない僕が、女の子の家に...!?
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