「この手紙は帝国へ向かう直前に書かれて私に託された物です」
私はルアンナから手紙を渡されドキドキしながら封筒を開け折りたたまれた手紙を開いた。
『拝啓、婚約者ミンシア・ハールスへ。
君に手紙を書くのはこれが最初で最後の事になるだろう、だから僕の本音を書き記す。知っての通り僕は帝国の王女に婿入りをする事になった。いきなり父上からその話を聞いた時は僕は戸惑った。僕は君と結婚してこの国を支える物だと思っていたからだ。今だってそう思っている。しかし現実は残酷で僕達は引き裂かれる事になった······。父上達は色々対策を考えてくれていた様だけど下手な事をしたら帝国と戦争になってしまう。この国を護る為には帝国の要求を飲むしかなかった。君を公爵家から籍を抜かせたのは僕の案だ。帝国は邪魔者を徹底的に排除する主義だ。このまま君が公爵家にいたら危害が及ぶかもしれない。一応、この国、そして君に手を出さない事を条件に出したが帝国が果たして聞いてくれるかはわからない。何とか僕も頑張ってみる。だからミンシア、君は君で幸せになってほしい。君とは幼い頃から一緒にいて君の性格を一番理解しているつもりだ。君はドロドロした貴族社会の中で真っ直ぐで優しい子だ。君だったら平民になっても大丈夫だと思う。最後になるけどミンシア、君の事はずっと愛している、これからも君の幸せを願い続けている。ハルシア・レガシアより』
「ハルシア様······」
私は手紙を読んで涙が頬を伝っているのを感じた。
「······ハルシア様はずっとミンシア様の事を心配されていました。『婚約者』と言う立場は関係なくミンシア様個人を心から愛していらっしゃいました」
その言葉を聞いて私は手紙をギュッと握った。
まだ心がゴチャゴチャになっていて整理が追い付いていない。
だけど、これだけは言える。
私もハルシア様を心から愛しています。
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