「でも、その婚約者には悪いがこの国にとっては帝国と繋がりが出来て良かったんじゃないか?」
「いや、そうでもないみたいだぞ。その帝国の王女様ってかなりの男好きらしくてなぁ、今までも似たような事をしてきたらしい」
えっ!? そうなのっ!?
「帝国に住んでいる友人から聞いた話だけど有名らしい。惚れるのは早いけど飽きるのも早いらしくて中には結婚式もせずに破棄になった男もいるらしい」
「じゃあ捨てられた男は戻されるのか?」
「ところがだ、他の女に取られたりや元サヤに戻られるのは嫌らしい。城内にある別邸に放り込まれて夜な夜な王女の夜のお相手をさせられるらしい」
私はその話を聞いて血の気が引いていくのを感じた。
今の話が本当だとしたら帝国の王女はクズだ。
そんな人にハルシア様を盗られるなんて······。
やっぱり悔しい。
帝国に殴り込んでハルシア様を奪い返しに行きたい。
だけど平民になってしまった今の私には何も出来ない。
私に特殊な力があったり帝国に抵抗出来る力があれば今すぐにでも行きたいけどそんな力は持っていない。
(私が今出来るのはハルシア様の無事を祈る事と帝国の王女を呪う事ぐらいね)
きっと帝国の王女は私みたいな女性に恨まれているに違いない。
塵も積もれば山となる、と言う言葉もあるし、いつかは不幸な事が起こるだろう。
(思うぐらいはしてもいいよね?)
私は1人密かに決意して広場を後にした。
広場を出て家に戻って来た私は家の前に誰か立っていた。
「あの、何か御用でしょうか?」
声をかけた私にその人物は振り返った。
「ミンシア様でしょうか?」
「えぇ、そうですが」
「私ハルシア様付きメイドのルアンナと言います」
その人物、多分私と同い年の少女はペコリとお辞儀をした。
「ハルシア様付きの?それだったらハルシア様に付いて帝国に行った筈では?」
普通は他国に嫁入りや婿入りする時はお付きの者を連れていくのが習わしである。
これは慣れない他国での生活でストレスの解消の為でもある。
「······帝国からの要望で執事だけは連れてきても良い、と」
うん、その一言でわかってしまった。
「貴女も被害を受けたのね」
「はい······、おかげでメイドの仕事をクビになってしまいました。実は王妃様からミンシア様のお手伝いをする様にと言われまして」
「私のっ!?」
「それとハルシア様からミンシア様宛にお手紙を預かっております」
手紙っ!?
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