「ん······」
窓から光が射し込んで目が覚めた。
「······やっぱり現実なのね」
1人きりのこの家を見ると改めて現実なんだなぁ、と痛いほど実感する。
昨日までは公爵令嬢として何不自由無く暮らしていたのに今日からはただの平民······。
「考えてもしょうがないわ、とりあえず食事でもしましょう」
私は食料が入っているだろう、地下の収納庫を開けてみた。
「入っているのは野菜とお肉、調味料も入っているわね······、やっぱり自分で作らないとダメなのね」
食料はたっぷり入っているけど当たり前だが調理前の状態だ。
調理は貴族学院の家庭科の授業でやった事はあるけど基本やった事は無い。
それに公爵家となるとお抱えのシェフがいるしたまに貴族御用達の高級レストランに行く。
つまり、やる機会が全く無いのだ。
「とりあえず、パンでも食べましょう」
私はパン、野菜をキッチンにあった包丁で切ってサンドイッチにして食べた。
コレくらいは流石に出来るけど焼いたり煮たりするのは不安だ。
「誰かに料理のやり方を教えてもらわないとダメよね······、と言うか近所に誰か住んでるのかしら」
昨日着いた時は夕方で疲れがあったのでそのまま寝てしまったので外の様子がわからない。
私は外に出た。
「う~ん、王都では無いよね······」
賑やかとは言いきれない、何処かの小さな町なんだろうか。
人もいるけど疎らだし······。
「とりあえず散策してみましょうか」
私は町を散策する事にした。
「『トレア』って言うのね······」
町の看板からこの町はトレアと言う名前がわかった。
私は町の中心地らしい広場にやってきた。
広場には掲示板があり人が集まっている。
私も掲示板を見た。
掲示板には『ハルシア王太子、帝国の王女と結婚』とデカデカと貼られていた。
「おいおい、帝国の王女と結婚、て確か婚約者がいたんじゃなかったのか?」
「何か急な事みたいらしいぞ、帝国の王女の一目惚れ、て書いてあったな」
「それじゃあ婚約者は盗られた、って事か、さぞかしショックだろうな」
私は町の人の噂話を聞きちょっと苦笑いした。
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