ノベリズムでは初投稿となります。よろしくお願いいたします。
それは突然の事だった。
私ミンシア・ハールスはレガシア王国の公爵家の長女として生を受け幼い頃に王太子であるハルシア・レガシア様と婚約した。
そして、その日から王妃教育を受けマナーや知識、ダンスレッスンに明け暮れていた。
貴族学院に入学してからも忙しい日々は続き生徒会長であるハルシア様を支える為に副生徒会長としてサポートしてきた。
自分で自分を褒めてあげたいぐらいに頑張ってきた。
特にハルシア様に近づくようなご令嬢もいなかったし残り少ない学園生活を楽しみ卒業後のハルシア様との結婚生活に淡い期待をしていた。
しかし、今日王妃教育を終えた後、家に帰ってきた後、お父様に呼び出された事で状況が一変した。
「すまんっ!ミンシアっ!ハルシア王太子との婚約は解消となった!!」
入ってくるなり早々土下座しながらそう言ってきたのだ。
「お父様、仰っている意味がわかりません。ハルシア様との婚約が解消とはどういう事ですか?」
内心の荒ぶる心を押さえながら私は冷静に言った。
「実はな······、レイジオン帝国のミザリー姫が王太子様を気に入られたみたいでな······『どうしても婿にほしい』と言われたのだよ」
頭をハンマーで殴られた様な気分だった。
そういえば前に外遊で帝国に行った時、ミザリー姫に挨拶をした事があった。
あの時気に入られたのか。
と言う事は婚約者がいるのは知っていたはず。
「ハルシア様は承知されたのですか?」
「あぁ、明日には帝国に向かう事になっている」
「それじゃあ私はどうなるんですか? 私の今までの努力が全て水の泡じゃないですか」
「わ、わかっているっ!しかし、相手は帝国だ······、下手に断り睨まれたら我が国が無くなる可能性がある」
その事情はわかっているつもりだ。
帝国は戦争をしない変わりに周辺国と同盟を結んでいる。
しかし、その同盟も帝国に有利な物で我が国の様な小国は帝国の言う事を聞く事しか出来ない。
「それでミンシアの事なんだが······、帝国の命によりこの家から籍を抜く事になった」
「······はい? それって勘当と言う事ですか?」
「いやいやっ!? 勘当ではないっ!! 今回の婚約解消はお前に非は無い。だが王太子の婚約者だったお前を帝国は気にしているみたいでなぁ······」
あぁ~、つまり『邪魔物は徹底的に潰す』と言う事ですか······。
「私も本当は心苦しい、しかしこの国の為だ······、出来る限りの援助はさせてもらう」
此処で私が泣きわめいてもこの流れは止める事は出来ないだろう。
「わかりました······、お父様、今までお世話になりました。今日を限りにこの家を出ていきます」
私はお辞儀をして部屋を出た。
この日、私は今まで築きあげた物を全て失った。
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