【完結】慰霊の旅路~試練編~

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内の倉ダム(新潟・新発田市)

公開日時: 2022年2月27日(日) 01:43
文字数:8,987

千眼堂吊橋を後にした一同は、次の心霊検証地でもある新発田市内の内の倉ダムへと向けて車を走らせていた。


弁当を食べ終えた侑斗は藤村に対し「行きそうな感じがあったのに、少女の御霊が出るとされるホワイトハウスとか凄く興味があったんだけどな。土地の所有者の撮影許可が下りなかったのには理由があったってことだよね。」と不思議そうに訊き始めると、藤村は「新潟のホワイトハウスに纏わる話で今の段階で分かっていることは現存している建物は別荘であって、精神異常者を隔離するための施設ではないという事がわかっている。都市伝説にもあった、精神に異常をきたした少女を二階に隔離した末に病状が深刻化した少女が自らの手で家族を惨殺後、ブラックハウスにあったフックで首吊り自殺を図った、以降ブラックハウスは近くに電波塔があることからその電波塔から発する電波によって新たな自殺者を誘発するのでは?という理由で自殺電波塔と言われているが仮にもしそんなことがあったら犯人がこの世の人間じゃなかったとしても報道されているはず。その場合昔過ぎて記録に残らなかったとしても、調べたらこういう出来事があったぐらいは分かる。惨殺事件があったのは嘘とみて間違いない。ホワイトハウスから車で23分の所にあるブラックハウスに、徒歩で彼女が異動したとしても新潟市から徒歩で向かおうとしたら3時間半はかかってしまう。突発的に行ったとしても場所があまりにも遠すぎる。それを精神病患者が本当に行えるのか非常に怪しい点が残ってしまう。新潟でも非常にポピュラーな心霊スポットでもあるからこそオカルト好きにとっては噂の内容を信じたいところだろうけども、あれは間違いなく別荘を建てる前に何かあったかを怪しんだほうが良い。」と語ると続けて政井が「実際に足を運んだことはないけど数々の投稿された映像や写真などを拝見していると、ホワイトハウスで事件があったのはデマとみて間違いない。ブラックハウスも何かの会社の作業小屋がたまたまあそこにあっただけに過ぎず自殺があったとは思えない。フックはそこに設置されてあっただけに過ぎない。」と自分なりの意見を語った後に二人の話を聞いた侑斗は「なるほどね。事件性がないと分かれば、都市伝説の話の一つに過ぎなかったってことになるね。でもだとしたら、ホワイトハウスの女の子の霊はどう説明するの?別荘だとしてもかなり中は荒れ果てているし今も所有している人が分かっているのなら、その点はどんな考えなのか教えてほしい。」と藤村と政井に対して訊ねると、藤村は「どうだろうね。別荘にしては誰にも使われることなくその間に誰かが入ってきて荒らされたとしても、物が盗まれた可能性も含め、動画にもあがっていたあの人が本当に所有者なら侵入されたままの状態を放置したりしないよね。きちっと所有者として手入れが出来ないようなら手放すぐらいのことをしていてもおかしくないのにそれすらせず土地の管理者として税金を払い続けているのならお金が勿体ない他言いようがないぐらいのお金の使い道じゃん。だから俺はあの人は本当にそうなのか投稿した側にも疑った見方を持ったほうが良いとは思った。」と話した後、政井は「可能性として挙げられるならかつては診療所だったんじゃないかなというのが可能性としてある。あの作りならば、2階が入院する患者のための病棟として使われていてもおかしくないし、それに映像に写っていたあの女の子が喘息をしていたのが妙に目に留まった。乾いたような咳をずっとしていて、それが妙に引っかかった。考えたくもないけど、結核の隔離病院だった可能性も捨てきれない。」と話すと侑斗はスマートフォンを片手に画像を調べると「その可能性はあるね。結核が不治の病だったときに全国に隔離施設というのが作られ、実際に入院している患者に対して”大丈夫だよ、大丈夫だよ、ちゃんと元気になって戻れる”という医師や看護師の言葉を信じて治療の甲斐も虚しく旅立たれたとしたら未練が残っても不思議じゃない。かつてのかもめ荘が恐らくそうでは?という話があったように、やはり病院っぽい作りの施設は結核を疑ったほうが良いかもしれないね。闘病の末お亡くなりになられているのだから強い未練を残しいて当たり前だからね。」と語り終えると、一同が乗る車は内の倉ダムに到着すると車を駐車させるために湖畔公園に隣接する駐車スペースまで行って駐車をしてから内の倉ダムの方向へと徒歩で移動することにした。


内の倉ダムへと向かおう道中に遭った”常盤新田トンネルの前で先を歩いていた藤村が何かを感じ取ったのかふと立ち止まると、侑斗と政井に対して「左手にあるこのトンネル。ただならぬ気配を強く感じる。さっきトンネルの奥のほうから”うう”という呻き声なのか動物の泣き声なのか判別が出来ないんだけど何か声が聞こえてこなかったか?」と訊ね始めると、政井は「わたしも聞こえた。2月のこの時期で熊が出没するとは非常に考えにくい、多分冬眠の時期に入っているよね。穴持たずなんて熊は出てこないかとても心配だ。」と話すと、藤村が思わず「え?穴持たずなんて熊は出てこないと思いたいけど、でもまさか熊が出るとは思ってもいなかったから熊対策の熊鈴とか何も持ってきていないのに!?ってか熊が出るって幽霊が出る以上に深刻な問題だと思うけど!」と言った途端、二人の目は侑斗に向けられた。


二人の熱視線を強く感じた侑斗は「何じっと見ているんだよ。俺猟銃免許持っていないし、それに熊と対戦するスキルやノウハウは悪いけど持っていない。それに冬眠に入っているから、人の気配を察知して山から下りてくることは今の時期なら考えられない。だから多分大丈夫。それにふと心配になって画像検索で調べたら動物注意の看板に書かれている動物って熊じゃなくて猿だね。襲う危険性もそんなにないだろう、むしろ猿のほうから俺たち人間の姿を見てさっと山へ帰るだろうから撃退の必要性もないよ。」と自信満々に話すと、政井が「熊じゃないと分かって安心はしたけど、でも猿も人を襲うのはあるよ。そんなときに侑斗君かなって思った。だって警官一族だから銃の扱いに長けて熊退治が出来るイメージがあったんだけど違ったね。お父さんから息子には必ず”銃の扱いを必ず身に着けなさい”って物凄く言われ怒られたとかそんなイメージがある。」と政井の話を聞いた藤村は驚きの表情を見せつつ侑斗の顔を覗くと侑斗は苦笑いをしながら「警察官一族だからって銃の指導を受けているとか、銃の扱いに長けているとかって思うなよ!それに俺達は至って普通の家族だ。それに父さんは子煩悩で息子たちの勉強につきっきりで教えてくれたりして、休みの日は家族で必ずどこかへ遊びに行ったりして、警官一族だからって他の家族と違うなんて思うなよ。」と突っ込むと、一同は常盤新田トンネルの中へと入っていくことにした。


トンネル内は外の空気と打って変わってかなりひんやりしていた。


あまりにも場の空気が変わり始めたことに侑斗が感じ始めると、後ろを歩く綾羽と飯塚に対して「車の中にいたときにある程度打ち合わせをしていたから大体の検証しなければいけない内容は分かったんですけども、ところで今僕達がいるトンネルが最初に検証してほしいと仰っていたプレートにも書かれてあった常盤新田トンネルですよね。往復し終えたら内の倉ダムでの心霊検証で、23時過ぎぐらいまでに終わらせるという内容でしたね。一応確認のために聞いてみました。」と質問をし始めると、飯塚が「そうだよ。このトンネルは常盤新田トンネルで、ここで伝わる怖い話としてはダム周辺で最も霊が現れるとされるトンネルで水が滴る音に紛れ女性の啜り泣く声が聞こえてくるというのがある。この常盤新田トンネルで往復して検証を行った後に、内の倉ダムで心霊検証を行う。内の倉ダムで伝わる内容としては自殺者が多いために男女の霊が出ると言われており、釣り人が死体を吊り上げることもあるとも伝えられている。あと車で通った際に多分何かしらの違和感を感じたと思うけど、角石原隧道では付近に角石原古戦場跡があるため落武者の霊が出るとも言われていたが霊能者が来て御祓いをしたと言う話がある。ダムに入るまでにある七滝隧道では老婆の霊が出るとも言われている。新潟でも屈指の最恐ランクではホワイトハウス以上の怖さを誇っているんじゃないだろうか。」と意気揚々に語りだすとそれを聞いた古森は「一応補足説明なんですけどね、僕達が通り過ぎた角石原では、明治元年8月14日薩長連合軍と会津藩が正面衝突の大激戦地で最後は会津藩が崩れ、中々山、赤谷の民家を焼いて潰走した戦いだったがこの戦いは領内が戦場となり新発田藩も多くの犠牲者を出した戦いであったとされています。戊辰の役後70周年を記念して戦場跡の角石原に角石原戦跡という石碑があります。今先程僕が伝えた内容はそこの掲示板に記載された内容を伝えただけなんですけどね。」とケロッとした口調で話すと、藤村は「いやいや。それはもうちょっと早く言ってほしかった。そうじゃなければトンネルの今を検証することも帰り道に改めて事実を知って検証することぐらいしかできない。あのとき、角石原隧道を目の前にしたときにトンネルの入り口の上部というのかな、ふと何かの視線を感じて見上げると武士のような姿の男達がそこにいた。あれがひょっとすると戦没者だとしたら平和な世の中であってもまだまだ戦いを続けようとする御霊が彷徨っているという事なんだな。それにダムでは自殺者が多数ときたら、ほぼ高い確率で御霊と遭遇することになるな。」とため息をつきながら話すと、侑斗はきょとんとした表情である質問をした。


「戊辰戦争って何の為にトップ同士の話し合いでは解決できずに争いになったんですか?すみませんね、日本史が疎くて何せ苦手ジャンルの一つです。」


侑斗の思いがけない質問に、綾羽が「小学校でも中学校でも学習したはずだろ!」と勢い良く突っ込んだ後に戊辰戦争について簡単な説明をし始めた。


★戊辰戦争(ぼしんせんそう)★

旧幕府軍と新政府軍による日本統一戦争のことを指します。戊辰戦争は1868年から翌年にかけ行われ、”鳥羽・伏見の戦い”から”函館戦争(五稜郭:ごりょうかく)の戦い”までの日本各地で行われた一連の戦いを総称して戊辰戦争と呼びます。この戦いで勝利を収めた新政府軍は倒幕を主導した薩摩藩と長州藩を中心に動いていく流れとなる。


綾羽の説明を聞いた侑斗は、「あ。それ聞いたことがある。でもやっぱりさっぱりわからない。」と答えると、政井は失笑しながら「それでも公務員試験には合格したのが不思議でしょうがない。語学だけで認められたのかな?」と侑斗を見ながら日本史のあまりにも無知さに呆れるばかりだった。


歩き進んでゆくにつれ、次第に水の滴る音が大きくなる。


藤村が「所々待避所のような広い場所には出てくるが、現役で使われている割には水漏れが凄いな。噂にもある水の滴る音から女性の啜り泣く声に聞こえてもおかしくないところだな。」と語ると、続けて侑斗は「これだけ水漏れが凄いと、補修工事でも行わない限り地震などが来たときに持ちこたえられないと思う。霧のようなものが立ち込めているがこれは恐らくあちこちに水漏れが発生していること、またトンネル内には換気する設備そのものもないために水漏れから生じた冷気の逃げ場がなく広い場所に溜まってしまう、御霊によるものではない。霊視を行えば微かに感じる程度だが禍を齎すものとは言い切れない。」と断言すると、政井が「もうすぐ出口ね。出てきそうな雰囲気はあったがそれだけに過ぎなかったね。しかしあの入り口近くで聞こえた動物の泣き声とも男の呻き声にも聞こえたあの声は一体、霊視を行ったがあっという間で姿まで確認をすることが出来なかったのが悔やまれる。」と語ると侑斗は「あれは一瞬過ぎて、まさかというところに潜んでいたので、俺も後ろを気にしながらは歩いてみたけどやはりあの時、あの一瞬だけで姿をくらましたとしたらそれは野生の動物の仕業じゃない。自殺者の御霊と考えるのが筋だろう。」と言い切り、常盤新田トンネルの出口まで来たと同時に再び入ってきた入り口を目指して戻ることにした。


藤村が「それにしてもなぜ呻き声だけを上げて俺達の前に姿を現さなかったのか不思議でしょうがない。救済を求めるのなら姿を現すはずなのに、まるで成仏することに怯えている、いやまだまだ闇の世界に居留まりたいという考えの御霊なら俺達は非常に危険な御霊と遭遇したことになる。そういう御霊が生者に禍を齎し、同じ闇の世界へと引き摺り込むのだろう。」と話すと政井は「音で威嚇して”これ以上近付くな”というサインを発しながら、わたしたちとの接触を拒んだということはそれなりの理由がないと普通の浮遊霊ならまずありえないことだね。命あるわたしたちに、残した家族に対して伝えたいことを伝えてほしいと訴えることはあれど、”いる”と分からせておいて脅かすようなことをするのは邪心でしかない。」と語るとじっくりと二人の話を頷きながらじっくりと聞いて居た侑斗は「いや。他にもいる。答えは内の倉ダムへと向かえばわかることだろう。本当に自殺者が多いのなら、気配をあちこちに感じることが出来るだろう。それに来るまでにGoogleマップのストリートビューで調べていたんだけど、俺達が今歩いている対岸にある三つの赤い橋、水谷トンネルも何かしらの噂があってもおかしくないな。」と話すと、それを聞いた綾羽は「説明していないことなのによくわかったな。そうだ、その通りだよ。因みに赤い橋で伝えられている怖い話は飛び降り自殺が多い場所として知られ白いワンピースを着た女性の霊が出るという噂があり、オーブが飛んでいるのが度々目撃されているというもの。水谷トンネルでは、霊の目撃情報が多いトンネルで車で来た場合は霊が憑いてくるために決して車から降りてはいけないと言われているそうだよ。」と話すと、侑斗が「一つ気になる赤い橋があったんです。ストリートビューでは女性の霊を確認することが出来たあの橋が妙に引っかかる。ひょっとするとそこが多い身投げのポイントなのかもしれません。噂の真偽を確かめるためにも、内の倉ダムへと辿り着いたと同時に車でぐるっと対岸の検証を行いましょう。22時を過ぎていますし流石にこんな時間帯に現れる車も肝試し以外の目的しか現れないことでしょうし、邪魔にならぬように停めておいたら問題はないと思います。それに仮にもし通行する車があったとしたらそのために車を動かすことが出来る人間を二人は残しておく、街灯もない真っ暗闇なので誘導役がいないとかなり厳しいと思いますからね。対岸での検証には音声の古森さんとカメラマンの鳥井さんに同行してもらう形で僕と政井さんと藤村さんの5人で行いたいと思っていますが、綾羽さんとしてはどうでしょうか。車の中でモニタリングして無線で指示を出すのもアリですよ。」と冗談を交えながら提案すると綾羽は「ああ。それね。某有名怪談家の心霊ドキュメンタリーシリーズだね。”今向かうから待ってろ”って悲鳴を上げて叫ぶ女の子のところへと言って”大丈夫か、大丈夫か”ってお決まりのパターンだね。そんな過剰な演出は行わない。でもこれから先ずっと歩くとなると内の倉湖が結構な大きさもあるので、徒歩では限度があるのは分かっている。なので俺と飯塚で車のところまで戻ってくるから、俺達が来るまで戻ってくるまでに侑斗君と藤村君とみねちゃんの三人で内の倉ダムの心霊検証を行ってほしい。」と侑斗の意見に納得を示したところで次の指示を出した。


そして、常盤新田トンネルの入り口のところにまで戻ってきた一同は、内の倉ダムがある方向へと懐中電灯の灯りを頼りに歩き始める。


内の倉ダムのところへやってきたと同時に早速侑斗、藤村、政井の三人がその場で霊視検証を行い始める。5分間の沈黙の末、藤村が「さっきから周囲からの視線を強く感じる。これが噂される自殺者の御霊なのかもしれない。あそこの茂みになっているところから、じっと注意深く複数名の男女がチロチロと見ているんだよね。あれが凄く気になった。」と話すと、侑斗は「自殺の名所ならではの特徴だね。自分たちと同じ場所で旅立つのか、御迎えの体勢に既に入っているのかもしれない。今迄色んな、長崎の西海橋、長野の軽井沢大橋、島根県の深谷大橋、神奈川県の打越橋や虹の大橋、宮城県の八木山橋と色々な自殺の名所を見てきたりした、勿論熊本地震で崩壊するまでに阿蘇大橋にも行ったことがあったが、ああいう人目につくような場所をあえて死ぬ人の心情というのは人目があると分かっていて身投げをしたとしても誰にも発見されないことはないというのがあって選ぶ傾向がある。亡骸を何日も経って発見されるぐらいならというのが心の奥底にあるのかもしれない。だから命ある俺達の動きに対して敏感に反応を示すんだ。まあ打越橋に至っては、元々は市電が通っていた時に飛び込みが多く発生した背景も考えると車しか走らない今の現状を考えるとそれでも飛び込もうとする人は少ないように見て取れた。きっとここでも同じ傾向にあると思う。しかし、自殺者以外の霊も多く見受けられる。これが戊辰戦争の戦没者の、武士の霊とでもいうのか。色々な時代の霊が交錯している、これはある意味で霊場とも言うべき場所なのかもしれない。」と話すと政井は「この辺一帯が墓場と言ってもいいかもしれない。今改めて内の倉ダムについて調べてみたけど、遺跡が見つかる、平家の落人伝説もあれば、戦国時代には新発田氏(会津の葦名氏系列の金上氏だったとする説もある)の城があった、そして戊辰戦争時には戦場と化した。色々な因縁が渦巻いているとしたら、ここで今確認できるとしたら噂される落武者の御霊、老婆の御霊、男性・女性の恐らく自殺者であろう御霊といったところだろう。落武者については笠萱城があった時代に遡って考えても、実際に戦闘が行われたわけではないみたいだし、やはりここの落武者の大方は戊辰戦争時ということだろう。」と話すと、侑斗が「あの身なりはそうかもしれないね。俺が熊本の田原坂(たばるざか:一の坂から三の坂とあります)で見た薩軍の兵士たちを彷彿させる格好だ。しかし、それよりも明らかに自殺者の動きがよりちらちらと見ていて何かしらのサインを示しているとしか思えないな。」と語ったときに、後ろから飯塚が運転する車が近付いてくると、一同は車に乗り込んで対岸にある赤い橋と水谷トンネルを目指し出発した。


走り始めて数分が経過して第一の赤い橋の付近に辿り着くと改めて侑斗、藤村、政井の三人が車から降り赤い橋へと移動すると真ん中あたりで立ち止まった。


藤村が侑斗と政井に対し「ここが最初の橋だけど、でもここが一番自殺が多く行われたのはここなんじゃないかな。他の橋も見てみないとわからないのはあるが、でもここだけ俺達の動きに敏感になって反応する御霊が増えてきたような気がする。これはもう自殺者の霊で間違いないだろうと思う。侑斗君と政井さんはどう感じた?」と聞き始めると、侑斗はうんうんと頷きながら「だと俺は思った。明らかに俺達の動きに敏感に反応を示している。場所的にもダムの入り口からすぐの場所でかつ衝動的な場合はこういう場所を選びやすい。言い方が悪いかもしれないが分かりやすく表現するならパッと行ってパッと逝けるところにこの橋は該当する。その上赤い橋というのもこの場合は街灯がなく夜は暗闇になりやすいからこそ夜間時でも目立つように赤色を採用しているのだろうけど、これはかえって逆効果を招いたのかもしれない。」と自分なりの見解を話したときに、女性の呻き声のような声が聞こえてきた。


”ああああああ”


侑斗と藤村はその瞬間にじっと政井を見つめ、藤村は「陰陽師の割には臆病だな。」とボケたつもりで切り出すと、政井は真剣な表情になって「違う!わたしの声じゃない!あの声は木々に潜んでいた女が発したものよ!あの木見て!あの木の枝の下には足場の一つも何もありゃしない。つまり人が立っていてはおかしなところに人がいるってことよ!」と怒り出すと、藤村は「わかってますよ、わかってます。冗談を真に受けるなんて思ってもいなかった。」と話しているうちに、侑斗は「藤村さん、政井さん、益々俺達囲まれていますよ。自殺者のみならず付近にいた武士の霊も集結してしまったら俺達の手でさばきようがない御霊達が集結する結果になる。ここは退散して、二の橋、三の橋、水谷トンネルへと向かいましょう。」と切り出すと一同はその場を後にして、二の橋、三の橋の付近で再度車から降りると徒歩で橋の方向へと向かって霊視検証を行うも一の橋程の御霊の気配を感じなかったためにさっと調査を終えて心霊の噂がある水谷トンネルへと向かうことにした。


水谷トンネルを前に侑斗が「気配を強く感じる。」と話し、正体を確かめるために真っ先に車から降りるとトンネルを早歩きで歩き始めた。侑斗の後を追うように、藤村と政井が侑斗の後を追うようにして歩いていく。出口へと向かっていくにつれ次第にひんやりとした空気に包まれ、ポタポタと水滴が落ちる音が聞こえるだけに過ぎなかった。何事もなく出口にまで辿り着くと、侑斗は「あの茂みのほうからか、気配も感じたし視線も感じた。しかしそれで言ってしまえばこのダムの一帯が”いつどこで出てきても不思議じゃない”そういう場所に該当するのかもしれない。」と語ると、政井は「そうかもしれないね。禍を齎す可能性は皆無に等しいので、緊急の御祓いも必要はないと見て間違いないだろう。あとは時間の流れと共に心の傷が癒えるのを願い続けるしかない。」と話すと藤村も「そうだな。危険度で言えば、猿が出る、ひょっとすると熊が出る、それぐらいかもしれないね。」と語った後に、内の倉ダムでの心霊ロケを終了し予約していた新発田市内のビジネスホテルへと向かうことにした。

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