【完結】慰霊の旅路~試練編~

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平和の滝(北海道・札幌市)

公開日時: 2022年3月20日(日) 01:09
文字数:10,046

支笏湖を後にした明るい肝試しのメンバーは次の目的地である平和の滝へと向かおう道中にある人気YouTuberからの思いもしないコメントが寄せられていたために、すぐさまコメントの内容の確認を行っていた油井が投稿された内容を読み上げた。


「明るい肝試しのメンバーの皆さん、そして油井さん御憑かれ様です。心霊革命でお馴染みの藤村です^^;今回奇遇なことに僕も北海道での心霊スポットの心霊検証を行っており、現在札幌市内にいます!もしよろしければ、唐突なお願いにはなるのですが明るい肝試しと心霊革命のコラボを行いませんか?星弥さんが19日じゃないと北海道に来れない事情も考えると、降魔師の僕と一緒に可能な限り回ったほうが明るい肝試しのメンバーの皆さんの身を守ることにも繋がります。収録時間さえ教えて頂けたら、明くる日の神居古潭での心霊調査もコラボ企画として共に行いましょう。前向きな返事を期待して待っています!それでは!」


まさかの藤村からの書き込みを見た油井は杉沢村に対して「まさか降魔師の藤村さんが帯同したいなんて言ってくれるなんて思ってもいなかった。これはとてもありがたい話だし、藤村さんが僕達の都合に合わせてくれるというのであれば、神居古潭での心霊調査も藤村さんにお願いして何かあれば藤村さんに御祓いをして貰うことだって出来る。これは前向きに捉えて心霊革命さんとのコラボレーション企画を急遽行うのもありなんじゃないかな。そのほうが、霊感が強いだけの俺達が集って霊をおびき寄せる内容の動画になるよりも明らかに幽霊たちの心の声に対して寄り添って霊能者としてのしっかりとしたジャッジを下せる人がいるのといないのとではやっぱり違ってくるから、監督これはお願いをしてもいいと思うけどどうかな?」と切り出すと、杉沢村が油井の説得に「うーん。」と考え込みながらも、その様子を見た村田は油井の意見に対し同調するように「これから先、饗庭さんたちがいなければ危険度がかなり高いところばかりだよ。霊能者が一緒になって付いて来てもらえるだけでも俺達にとっては有難いの他言いようがない。監督は俺と油井が単独で心霊調査を行ったことに対して自分もしなければいけないって考えがあるから後ろめたい気持ちになっているんでしょ。俺達は別に単独で心霊調査を行ったからって、俺達は俺達で出来る御祓い方法で穢れを取り除くことは出来たと思っているし、今回の平和の滝での単独リポートも監督が本来ならただ一人で行うつもりだったが藤村さん帯同の元で行っても俺達は怒ったりしない。逆に今までの心霊スポット、専門家が居なければ答えに辿り着けない所ばかりだった。だから藤村さんの心霊革命とコラボをしてもいいと思う。」と強い口調で訴えると、杉沢村が両腕を組み考え込み始めると、車を運転していた後藤が杉沢村の様子をバックミラー越しに見て「別に頑なにならなくても良いんじゃないの?俺だってし無ければってわけじゃないんだから。せっかくの、こんな貴重なチャンスなんてないと思うし俺は喜んで”お願いします”って言うべきだと思うよ。」と語ると、杉沢村は「わかった。次の収録時間を藤村さんに伝えて、明るい肝試しと心霊革命さんのコラボ企画を行おう。」と言い切ったところで、油井は「了解!」と元気よく返事した後、さっそく藤村のTwitterのダイレクトメッセージに平和の滝で行うライブ配信の時間などを伝えたところ、すぐさまダイレクトメッセージに返事があって、そこには”14時からの心霊ロケね。つまり13時55分頃にはライブ配信が始まるってことはそれまでに平和の滝に到着しないといけないね!2日間お世話になりますがどうぞ宜しくお願いします。”と書きこまれてあるのを見た油井は大きな声で「藤村さんが平和の滝の明るい時間帯での肝試しに参加してくれる!それだけじゃない!神居古潭にも同行してくれるって書いてあった!藤村さんの心霊革命、そして俺達が誇る明るい肝試しのコラボ企画!これは再生回数が伸びること間違いなし!」と嬉しい口調で語り始めると油井の語った内容に斧落が疑問に思ったことを質問し始めた。


「藤村さん。降魔師として忙しいはずなのにどうして札幌にまで来ているんだろ?撮影のために来ていたとしても、心霊革命で投稿されてある再審の動画なんて札幌が関係しているわけじゃない。住んでいるマンションが建つ前がお墓だったとされる場所に住んでいるために、霊障のようなものに悩まされている人のお宅に潜入したとあるけど、でもこれは場所が北海道ではない、仙台市内だ。仙台から札幌に行く理由がなければわざわざ来たりしないと思うし、謎しかない。」


斧落の話を聞いた村田が確認のために心霊革命で投稿した動画の一覧を確認し始めると「言われて見ればそうだな。最近の投稿が仙台なら何で北海道にまで来たんだ?意味がよくわからない。」と首を傾げると、油井が「撮影のために札幌にまで来たと考えるのが筋じゃない。藤村さんって御祓い以外にも、心霊スポットの危険度をジャッジしたりして色んな所を行ったりしているし、そのために札幌に来ていてもおかしくないと思うけど。」と思ったことを話すと、斧落は「まあ、その可能性もあるよね。札幌市内だけでも今回私達が行く平和の滝以外にも旧小別沢トンネル、西岡水源地や定山渓大橋、藻南公園の花魁淵、星置の滝など、あげれば色々あるしね。」と理解を示したところで、一同の乗る車が休憩を挟んだ後に13時40分頃に平和の滝駐車場に到着すると、いったん油井が車の外に出て藤村が到着しているかを確認するために辺りを注意深く確認していると、明るい肝試しの車が到着したと分かったのか続けて駐車場内に入ってきた車が藤村が運転する車だった。


その様子を見た油井が藤村の車が駐車をしたと同時に近くへと駆け寄ると、油井のほうから藤村に対し「今回はお忙しい中、コラボ企画を持ち掛けてくれて嬉しいです!本当にありがとうございます!」と深々とお礼を言うと、藤村は「星弥君から連絡があった。ちょうど俺が17日、18日の予定がオフなのを知っていて、それで星弥君が俺に対して明るい肝試しのメンバーが行い北海道の心霊スポット巡りに霊能者として帯同をしてあげて欲しいってお願いされていたんだ。上磯ダムと支笏湖は申し訳なかった。他に予定が入ってしまって現地にはいけなかったが、平和の滝から神居古潭までは俺が皆さんの身を禍から守るために協力できることはしてあげたいと考えているし、ここは昔から何かあると思っていたしずっと来たかったところだったんだ。今回はこんな形で来れたことが光栄だよ。」と話すと、油井は「まさか、饗庭さんが俺達のために藤村さんに依頼をしてくれていたなんて思いもしなかった。でも神居古潭まで同行してくれるなんて、御祓い能力のない俺達からするとこれほど有難い話はないから本当に本当に宜しくお願いします。」と語った後に、後ろからこっそりと杉沢村が二人のやり取りに対して介入しようと近付こうとした際に藤村が杉沢村に対し「平和の滝での心霊調査は俺藤村と杉沢村の二人で行おう。単独ではないが霊能者が一緒について行ったほうが身の安全を保障できる。」と杉沢村に対して助言を行うと、杉沢村は「そうだね。それでお願いしたい。時間が13時55分になったと同時にニコニコ動画とYouTubeでのライブ配信を行うための軽い打ち合わせを今のうちに行いましょう。ここで伝わる心霊に纏わる噂も検証しよう。」と話した後に、藤村を交えてのミーティングを行うことにした。


村田が平和の滝に纏わる心霊の噂を説明し始めた。


「平和の滝で伝わる怪談としては、主に滝壺への投身自殺、公衆トイレでの焼身自殺や男子高校生の首吊り自殺などの数々の怪奇的な事件が起きていることから霊障と思える報告が多数寄せられている。近くには手稲平和霊園という墓地もあることから霊が集まりやすい環境が揃っていると言っても過言ではない。噂される内容としては、滝を見つめたまま全く動かぬ不気味な人や、ある樹木に無数の浮遊霊が集まりだす、深夜のバス停には亡霊が出るというものがある。」


村田の話を聞いた藤村は、「自殺者が多い。他にも何かあるような気がする。特に駐車場脇のあの公衆トイレには何かあるような気がする。造りは新しいほうだと思うけど薄気味悪いんだよね。ちらっと、若い男の子を見かけたが、顔は明らかに青ざめて血の気が引いており生きている人間ではないことは間違いない。まあ近くまで行かないと分からないことだし、ここではこういう噂がありますよというのを頭の片隅に入れておいた状態で心霊検証を行おう。」と切り出した後、杉沢村が藤村に対して「さっき油井から預かったけど、このばけたんのわらしの空君と桜ちゃん、何か感じてくれると思うので俺が空君、藤村さんが桜ちゃんを持った状態で肝試しを行いましょうか。」と提案すると、藤村はきょとんとした表情になって「ばけたんのわらしか。それなら俺もばけたんのわらしのすみれと闇を持っているよ。一応疑心暗鬼ではあるけどお世話になったメーカーの方からプレゼントされたものだから、検証のためにも持ち歩いているんだ。ちなみにばけたんのわらしのすみれが紫色で中にアメシストという直感力を高め精神を深く癒すだけでなく自己成長を促す効果のあるパワーストーンが、黒いほうが闇でこちらにはブラックオニキスという感情をコントロールして信念を貫き未来を開拓するという効果があるとされているパワーストーンが埋め込まれている。まあ何かに感知していることには間違いないだろうし、せっかく空と桜を持ち歩いているのなら、俺もこのばけたんのわらしのすみれと闇を用いて検証しようか。多分面白いことになると思うよ。」と苦笑いをしながら話すと、杉沢村が「ばけたんのわらしたちで賑やかなことになると思うね。でもそれでばけたんのわらしの秘める力を発揮できるのならそれはそれでどう判断するのかも非常に興味深い。時間ももうそろそろライブ配信を始める時間に近づいたから俺達は自然歩道のところへとボチボチ移動しようか。」と切り出すと、二人はばけたんのわらしを大事そうに持ちながら駐車場を後にして自然歩道 平和の滝~手稲山ルート(平和の滝入口)へと徒歩で移動することにした。入り口を前にスマホの時計が13時55分になったのを確認してから杉沢村が元気よくライブ配信用のカメラを前にリポートを開始した。


「皆さん!こんにちは!杉沢村です!今回降魔師として活動されている藤村操さんと共に札幌市内の心霊スポットと言えば絶対に名前が上がる平和の滝へと伺わせていただきます。平和の滝で伝わる怪談話といえば、滝を見つめたまま全く動かない不気味な人や、無数の浮遊霊が集まる樹木があるなどの噂、その他滝壺への投身自殺、公衆トイレでの焼身自殺、駐車場内での練炭自殺、首吊り自殺が起きた等の怪奇事件が多数発生しており、また近くに墓地があることからも霊が非常に集まりやすい環境が揃っていると思われます。藤村さんの霊能者としての専門家としての知識を伺いながら平和の滝に纏わる怪談話が噂なのか真実なのか、景勝地としても知られている場所の一つですので、名誉を傷つけぬようにリポートをさせて頂きたいと思います。」


杉沢村が話し終えた後に、杉沢村が持つカメラを前に藤村が軽く会釈をした後に挨拶をし始めた。


「どうも、皆さん。はじめましての方もいらっしゃるかと思いますのでご挨拶をさせて頂きたいと思います。主に東北地方で降魔師として活動をさせて頂いています藤村と言います。今回ご縁があって僕が立ちあげている心霊革命と杉沢村さんが所属する明るい肝試しのコラボレーション企画として、平和の滝とあす3月18日に伺う予定の神居古潭(かむいこたん)で明るい時間帯の肝試しに同伴してもらう霊能者として参加をさせて頂く流れとなりました。霊能者の僕なりに思ったこと、感じたことを今ライブ配信を見て頂いている方に分かりやすく解説が出来るように心がけます。今ですね、僕達はマップ上で言う平和の滝~手稲山ルート(平和の滝入口)にいますが撮影の成功祈願のために少し行った先にある龍神堂のお地蔵様に手を合わせてから平和の滝の近くへと足を運んでみましょう。」


藤村の話す内容に杉沢村が「そうですね。御祓いのためにも先ずは拝んでから平和の滝へと向かいますか。」と返事をすると、二人は進行方向左手にある龍神堂の敷地内にある御地蔵様の前にまで辿り着くと深々と頭を下げ両手を合わせ拝み終えると、滝の近くにまで近づくことが出来る遊歩道階段がある方向へと移動した。


藤村を中心に杉沢村が撮影を行う中で、杉沢村が藤村に対して「今のところ、霊能者として何か感じることはありますか?」と聞き始めると、藤村は「今のところ、霊視をしないと分からないほどの微弱なレベルではあるが何名か浮遊霊の姿を確認することは出来ました。ただ今の現時点で僕が確認できた浮遊霊は、この地でお亡くなりになられたわけではないようです。滝って、その他全国津々浦々の滝にも共通する点がありますが基本的に滝は山場じゃないですか。山は死霊にとっては天国へと向かうために上っていく旅路の一つで、滝場があるところは一般的に霊達が天国へと向かう際に一休みをする場所でもあるので、そのために心霊に纏わる話が多いというのも特徴の一つとして挙げられるのですが、肝心なのが単なる噂だけに過ぎないのか、本当に該当する場所なのか、そのあたりの見極めが恐らく皆さんでは難しいと思います。」と答えると、杉沢村が「見極めが難しいとは、どういうことですか?」と迷わず質問すると、藤村は「平和の滝は有名だから色々な心霊系のYouTuberがこぞって心霊現象を撮ったりなど実際には成功しているが、声と言う声も果たして本当に聞こえたものなのかカメラ越しでは聞き取りづらいんだよね。イヤホン推奨ともあるけども、聞こえる声が野生の動物なのか、滝の音でかき消されてしまっているので、本当に人間が発した声なのかどうかの検討もつかないから致し方なく動画を見ながら霊視検証を行っていくしかないのが、霊感のない人にとっては”怖い”というイメージが浸透してしまうんだろうけども、実際は違うかもしれない。というのも、首吊りがあったのは恐らく間違いないと思われる。ただ本当に滝壺に投身自殺があったのか、そこは疑うべきだろう。」と話すと、「滝壺への自殺があったから自殺の名所とされているところなんてのは数知れている。有名なのが明るい肝試しさんでも実際に行かれてましたけど華厳の滝なんかが有名ですね。あそこは投身自殺が多発したために高いフェンスを設けて、また自殺を図った遺族の方に遺体の引き上げ費用として高い高い請求代を払わせるなどして少しでも自殺者の数を減らそうとしているんですけど、平和の滝は果たして該当するのか。投身自殺があったとしても件数は非常に少ないと写真を見る限りでは思うんです。落差が10mとそんなに高さもないため、仮に滝壺に向かうまでの高いところから滝壺に目掛けて飛び込んだとしても命を落とすほどのレベルかと考えたら無理がある。だとしたらこの付近で首を吊ったと考えるのが筋なんじゃないかなと思います。よっぽど頭の打ちどころが悪く一瞬でお亡くなりになられてしまうほどのレベルだったとしても、それをしようと思うと顔面から勢いよく飛び込まないといけなくなってきますよね。杉沢村さんが仮にもし追い詰められて、生きるのが苦しいと感じたときに、果たして僕が説明したことをいざとなったときに出来ますか?」と質問すると杉沢村は「確かに。俺は絶対に追い詰められても何とかする。相談したりして助けてほしいと声を上げる。だから本当に誰にも相談できなくて頼る相手もいなくてとか、そうなった場合に俺ならば死ねると分かった場所で命絶つかもしれないね。藤村さんの話を聞くと、俺達は今71段もある階段を下りながらゆっくりと散策しながら明るい肝試しを行っているけども、滝だからやっぱりマイナスイオンは凄いね。不気味な雰囲気というよりも癒されるってのがあって、昼間は景勝地の一つなんだろうけども、でも夜に来ると空気が一変して怖い場所に変わっていくんだろうけどな。」と言って返事をすると、藤村が「少し歩いた先に川に近づかないでくださいと書かれた看板があるね。だとしたらある可能性が考えられるかもしれない。」と語ると、階段を下りた先の岩場にまで辿り着くとその場で霊視検証を行った。


その様子をじっと杉沢村が撮影をして行く中で、岩場から眺める滝の流れをじっと見つめると杉沢村があることに気が付き話し始めた。


「滝壺への投身自殺があったとしたら、俺達が下りてきた階段付近から飛び込むのは物理的に不可能とみて間違いはないだろうが、この滝の中腹ともいえるこの場所なら思い切ってダイブすることも出来るんじゃないだろうか。確認してほしい。何か、妙な違和感を感じた。俺以外にも誰か人がいるような気がするんだよね。さっきから対岸の木々から誰もいない、足場もない場所なのに、見られているような気がするんだよね。じっとこちらを見つめられているような、ちょっと気味が悪い。」


杉沢村の指摘に藤村が「そうですね。そちらのほうが気配を強く感じますね。」と語った後に杉沢村が気配を感じたところへと移動すると、念のために霊視検証を行うことにした。その時だった。


”ううううう”


杉沢村がハッとした表情になって辺りを見回し始めた。そして大きな声で気が付いたことを語り始めた。


「何だったんだ!?今俺の近くで苦しそうな男性の呻き声が聞こえてきたけど、これが噂される滝壺への投身自殺を図ったとされる幽霊なのか、藤村さんもさっきの動物の泣き声とは思えぬあの声を聞きましたよね!?教えてください!!」


杉沢村の問いかけに藤村が「待ってください。男性の御霊に限らずとも、老若男女問わず色々な御霊達がこちらに集まりだしてきていますね。ここにいてこれ以上の撮影を行うのは危険だと思います。駐車場のところまで戻りましょう。長居をしては憑依される危険性も高いため、身の安全が保障できない事態になってくると思います。移動しましょう。」と杉沢村に指南すると、杉沢村が「わかった。駐車場のところまで戻ろう。公衆トイレでの心霊検証もあるしな。」と理解を示した後に、二人は平和の滝を後にして公衆トイレで立て続けに報告される心霊現象の真偽を確かめるために遊歩道の階段を上り始めた。


杉沢村が藤村に「さっき俺達が岩場で感じたあの視線と、看板にもあった川に近づかないでくださいというのと、噂にあった滝壺への投身自殺が多かったということの真偽は霊能者としてどうジャッジしたんですか?」と単刀直入に聞き始めると、藤村は「恐らくだが滝壺への投身自殺は嘘とみて良いでしょう。注意書きの看板に記載されてあった”川に近づかないでください”というのは命の危険があるからというのではなく飛び込んでしまうと溺れて危険性があるからだと思われる。緩やかな流れで激流ではないから水難事故が多いとは想定しにくいが、注意喚起を前もって行っているだけだろうと思われるんですよね。滝壺で水難事故が多いといや、場所が違うんですけど昔星弥君から聞かされた佐賀の観音の滝っていうところがあって、あそこは遊泳禁止になるレベルで、景勝地で綺麗な場所だからこそ飛び込みたい気持ちになるのだけど激流過ぎるがゆえに水難事故が後を絶たなかった。溺れてしまう危険性も高く、その溺れた方が水の流れが激しい滝壺のほうへと流された末に亡くなられてしまうことが多いから遺体の引き上げも大変なんですよ。なので佐賀の観音の滝と札幌の平和の滝の激流のレベルで考えたら、観音の滝が圧倒的に事故死される方の割合が高く、平和の滝はそこまでには至らないが溺れる方がいらっしゃったのではないかと思います。そして噂にもあった無数の浮遊霊が集まるという木も恐らくこれじゃと思うものがあったが、恐らくだが首を吊ったと考えるのが自然ですね。その木を見た人たちによって滝の投身自殺があったと思い込まれたのかもしれませんね。引き寄せられるものがあるから、その木にだけ集中して集まってくるのかもしれません。僕達が感じた視線と並びに呻き声も恐らくですがこの付近でお亡くなりになられた自殺者とみて間違いないかと思います。」と答えると、二人は駐車場にまで戻ってくると同時に公衆トイレでの心霊検証を早速行うことにした。


杉沢村が入り口の付近で「普通の外にある公衆トイレと言った感じだね。」と思ったことを語り始めると、藤村が「いや。違う。何かがいる。」と強い口調で言い切るとすぐさま正体を確認するために早歩きで公衆トイレの中に入っていくと、その場で霊視検証を行い、その場にいる霊の正体を確認し始めた。


藤村が時折険しい表情になりながらも何かぶつぶつと何を言っているのかすら聞こえぬようなレベルの声で喋りだすこと3分。急に途端に黙り込んだと同時にトイレの外で待つ杉沢村のところまで戻ってくると藤村は「トイレが危ないというよりトイレの周りを囲むこの周辺で何かがあったのだろうと思われる。噂にあった焼身自殺の痕跡はトイレそのものが木製で出来ているから、ペンキを塗り替えたとしても燃え跡が残るが、そういった痕跡もないため違うと見て間違いない。あと男子高校生が首吊り自殺を図ったというはなしもあったようだが、仮にもしそうだとしたらこれも痕跡が残るはずだ。比較的新しく作り替えられた痕跡があるために、仮にもし首吊りがここで起きましたとなれば今のトイレの状況を見ても、その可能性がありましたとは強く言い切れない。ただここの周りにいる御霊の多くは、この公衆トイレに固執をしているわけでもなく、恐らくこの付近で亡くなられたから現れやすい場所の一つと考えても不思議じゃないです。よってここで伝わる心霊現象は自殺者の可能性が高いのは間違いないが、ただ噂される焼身自殺、滝壺への投身自殺などの可能性については今のこのトイレの新しく生まれ変わった状況など見ても、この施設の周辺に浮遊霊がいるのは確かだが、禍を齎すほどの強い力を秘めているというものでもないし、単純に山場であるプラス一休みをしやすい水場でもあるということから、霊が集まりやすい環境が非常に多く揃ってしまったのかもしれません。危険度は低いと見て間違いはないでしょう。」と答えると、杉沢村は「それならば滝壺の近くに来た際にどうして早々と駐車場に戻りましょうって言ったのか。自殺者の霊だともわかったのなら、除霊を行うことなく立ち去った理由を教えてほしい。それだけでは何で早めに切り上げようって言ったのか、除霊を頓挫したとも捉えかねない。」と指摘すると藤村は「自殺者の霊が非常に多いために切り上げようと言った。覚悟を決め死んだ人の割合よりも、生き苦しくなった故に追い詰められこの地で自害された方なら尚更後悔の念が残りやすい。仏教の世界でいう”煩悩”の概念を持つ御霊達が禍を齎し、仲間を増やそうとして誘発行為をする危険性が考えられた。だからといって恐れ過ぎてはいけない。怖いと思った心の弱さの闇に自殺者の御霊が付けこんでくる可能性だってある。あの呻き声をあげた男は、邪念でしかない。寂しさを紛らわすために、あえて気を引こうとしてアクションを起こしている。意図が分かれば、これ以上の心霊調査を続行するのは危険だと霊能者としてジャッジを下すのは当然の考えだと思わないか?除霊をすることも出来たが先ずは杉沢村さんの身の安全を考えたらあの場でするのは非常に良くないんです。他の彷徨う御霊達までも集まりかねない事態に陥ってしまいます。」と答えると杉沢村が「リスナーの皆さんが納得する心霊現象が撮影したかったのに、それが出来なかった。悔しいけど、俺が呪われたらメンバーの皆に迷惑をかけてしまう事にもなる。それだけは避けたい。妥当な判断だったってことだったのか。」と理解を示すと、藤村が「神居古潭(かむいこたん)で名誉挽回が出来るチャンスはあると思います。こうして呻き声が聞こえてくる様子がカメラに収録されていたら、再生回数も大幅に伸びることでしょうし、今はそれを願うしかありませんよ。」と慰めるように語ると、杉沢村は「そこまで気にしてくれてありがとうございます。そうですね。気持ちを切り替えるしかありませんよね。」といって、平和の滝を後にし、神居古潭(かむいこたん)がある旭川市に向けて移動することにした。

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