2026年1月9日 金曜日
明るい肝試しの公式のTikTokで珍しく油井が山梨県で明るい時間帯に行う肝試しを行う心霊スポットについてカメラを前に説明する。
「明るい肝試しの公式TikTokをご覧の皆さん!こんばんは!リポーターを務める油井です!あすからですね、配信中の動画でも宣伝したことになりますが、1月10日は山梨編、1月11日は神奈川編、最終日となる1月12日は千葉での明るい肝試しを行いたいと思います。まずは山梨最初に肝試しを行うのは、”赤い橋”の名称でも知られている山梨県北杜市にあります東沢大橋です。正式名称は東沢橋ですが、明るい肝試しを行う僕達は1月10日のスケジュールの都合上で朝8時から東沢大橋展望台からライブ配信を行いたいと思います。ライブ配信の際には素敵な素敵なビッグゲストがやって来てくれますので是非楽しみにしてください!それでは朝7時55分からライブ配信を行いますので、皆さん朝がまたしても早いんですけど見てくれたら嬉しいです!どうぞ宜しくお願い致します!そして視聴率の神様、降臨してください!」
油井がそう話すと深々と両手で拝んでTikTokのライブ配信は終了した。
そして夜が明け、1月10日 土曜日の朝を迎えた。
いつもより朝が早い7時55分からのYouTubeとニコニコ動画での生配信を行うため眼7時30分には東沢大橋展望台駐車場に明るい肝試しのメンバー8人が到着すると慌しく撮影機材の準備をしたところで遅れてスペシャルゲストが7時45分頃に駐車場にやってくると明るい肝試しの車が停まっている近くに駐車し始めた。
何も聞かされていない油井と杉沢村以外のメンバーはまさかのスペシャルゲストの登場に思わず作業中ではあったが戸惑いを隠せられず、斧落が「あれってまさか饗庭のお兄さんのほうの、でも九州からこんな山梨の奥地になんて来るはずないよね!?しかも右腕ギプスで固定しているし大丈夫なのかな?」と気になって油井に語ると、油井が「あれ?聞いている話と何だか違うぞ!?」と思わず油井と杉沢村がお互いの表情を確かめ合っているうちに、スペシャルゲストのほうから明るい肝試しのメンバーに対して丁寧に挨拶をしてくれた。
「今回は弟の侑斗も来る予定だったんだけど、弟はあいにく中国地方のほうでのオカルト番組のロケの霊能者として帯同してほしいという依頼が入ったため、手負いですが急遽僕兄の星弥が来ました。怪我人の僕だけでは心細いと思いますので、僕と一緒にボランティアで霊能者をしている烏藤隆成も今回同行します。ただ12日に関しては僕も烏藤もお互い新潟での心霊ロケがありますので、12日に関しては申し訳ないが一緒に帯同することはできません。明日の神奈川編までは僕と烏藤で出来る限り皆さんの安全を保障しながら心霊検証を行いたいと思います。」
まさかの饗庭星弥と慰霊の旅路で度々登場する烏藤隆成の登場に、思いもしなかったゲストの登場に斧落が思わず「えっ!?うそ!?影武者じゃないんだよね、本物なんですよね!?」と胸をときめかせながら話すと、それを聞いた烏藤が苦笑いしながら「そんな影武者だなんて、僕達それほど命を狙われるほどの重要な人物でも何でもないですよ。」と謙遜しながら言うと、「今の星弥がすみませんね。警察で行われた新年会でね、酔っ払って足元ふらふらになった状態で階段すっころんで、利き腕の右腕でカバーしたために右腕をこんな感じで新年早々骨がバキバキに折れて複雑骨折しちまったのさ。骨が完全に固定するのに全治2か月から長くて3か月、絶対安静と言われているけどね、でも右腕だけなので生活にも支障はきたさないという理由から在宅での通院生活を送っている。なので今の星弥は手負いの霊能力者として出来る限りのことをすることぐらいしか出来ない。あれだけ侑斗に試練を与えないといけないと言いながら試練が与えられたのは星弥のほうだったな。」と今の星弥の現状を説明すると、それを聞いた村田が「警察官の割に酔っ払って階段ですっころんで大怪我か。一瞬誰がどう見ても誰かに襲われて”何かあったんですか”となるが理由を切って思わず突っ込みたくなったな。」と話すと、星弥は「調子に乗り過ぎました。すみませんでした。」と恥ずかしそうに謝罪をしたあと、「明るい肝試しさんの活動の話はかねてから話は伺っていたし、慰霊の旅路にもクレームのようなことが書きこまれてたけど、あなたたちが指摘したあの時間帯はまさに僕達は故郷のバルセロナから離れフランスから日本へと向かう飛行機に乗っていた最中だったのであの時間帯に投稿されたライブ配信や動画など見ているはずがなくぐっすりと寝ていた。つまり俺達に見せかけた何者かが霊能者の指摘っぽいことを書きこんだ可能性のほうが高い。投稿したのは俺でも侑斗でもない。それだけは釈明したい。そのために俺から油井さんのほうに今回のコラボ企画を持ち掛けた。いずれ明るい肝試しさんのような心霊系を取り扱う公式チャンネルに霊能者として帯同しなければいけないとわかっていた。だから今回油井さんの書き込みを見て僕も出来る限り明るい肝試しさんの企画に参加したいと思い、手伝いに東北地方で主に霊能者として活動する烏藤にも協力してもらった。皆さんには僕達霊能者が感じ取る心霊の世界を共感しあえることが出来たらと思っているので、勿論皆さんには迷惑を掛けぬよう僕も頑張ってついていくので、宜しくお願いします。」と星弥が明るい肝試しのメンバーに対して思っていたことを素直に話すと、村田が笑いながら「饗庭さんの腕の怪我だけが心配だよ。でも忙しいのにわざわざ来てくれて本当にありがとう。遠いのに、しかも怪我まで負った状態なのに駆けつけて来てくれたことに俺達は感謝しかない。」と星弥にお礼を言うと、星弥は謙遜しながら「俺はきっと天狗になっていたかもしれない。だから初心に戻って(烏藤の顔を見ながら)烏藤と共に霊能者として調査をしたい。」と語り終えたところで、一同は東沢大橋へと歩いてゆく。
歩きながら烏藤が先頭を歩く畑と油井と村田に対して「正直言って俺と星弥からするとはじめて聞くところなんだけど、それなりに何かリサーチはしてきているのかな。もしよかったら教えてほしい。」と聞き始めると、村田が「それなら怪談蒐集家の村田が喜んで説明します。」と意気込んだ後に東沢大橋に纏わる心霊話を語り始める。
「東沢大橋、正式名称東沢橋は東沢渓谷にかかる高さ40.9mの赤いアーチ橋で”赤い橋”とも呼ばれているという。秋には紅葉の名所としても知られている場所なので橋からは大変綺麗な紅葉狩りを堪能することが出来るのだが、その一方で高さがあるために橋の上から投身自殺を図る人が後を絶たず、霊感の強い人は下から呼ばれているような感覚に陥ったり、体調不良になってしまうなどの霊障に襲われるという。心霊スポットの検索サイトでは、女性の霊の目撃談がある。」
村田が自信満々に語り終えた後、星弥が「村田さんの話を聞いてだろうなと思った。自殺の名所ならではの特徴がある。」と話すと、それを聞いた油井がニタっと笑いながら星弥の右肩をポンポンと叩きながら「自殺の名所ならではの特徴って何だよ。勿体ぶらないで教えてくれよ~。」と星弥は苦悶の表情を浮かべながら「ポンポン程度であっても痛いって!そっち(右側)はまだ完治していないからやめてくれって。本当に利き腕を負傷してしまうって悲しい程右手が使えないと車の運転も出来ない、しいてパソコンを慣れない左手で必死になって入力することぐらいしか出来ないんだからね。」と話しながら、「明るい肝試しで今年行った金比羅橋を思い出してほしい。あそこは赤い吊り橋タイプの橋だったと思うが、あそこは埼玉側の自殺者が相次ぐ自殺の名所だって、いのちの電話を見ただけでも明々白々だったと思うが、赤い橋というのは非常に宜しくない色なんだ。青森の恐山にある三途の川に差し掛かる橋というのがあって、その差し掛かる橋の色も赤。つまり赤というのは死に直結する色であり同時に血の色を彷彿させる色でもある。また興奮状態において赤い色というのはかえってその心の状態をハイにさせる効果があって、勢いのまま飛び込んでしまうことも想像される。まだ橋が地震で崩落するまでに俺が霊能者として心霊調査を行った熊本の阿蘇大橋もかつては赤橋という別名を持っており、熊本を代表する自殺の名所として知られていた。その他の自殺が相次いで報告されている橋の殆どが赤い橋だ。さっき俺が説明したことと人間の行動学的に考えて、赤い欄干の色を見ただけでも”痛くない”という心理に働いて飛び降りることが出来やすい環境にあると思われる。」と説明すると、油井は「それじゃ、赤い橋になればなるほどその可能性が高いってこと!?」と聞き始めると星弥は「そうだな。自殺を抑止したいのならば寒色系の色を取り入れたほうが良いね。水色とか青とか、紺色とか、その色を見ただけで冷静さを取り戻すような色にしたほうが良いが、街灯がなく寒色系の色合いでは暗いところでは目立たないというのもあって赤系の色が使われるのが一般的なケースだ。しかし全ての赤い橋が自殺の名所とされているのかとなるとそういうわけではない。場所によるものもあるからね。」と話すと、それを聞いた村田は「赤い橋はそれだけ自殺の名所となりうる可能性があるってことなのか。でもそれは警察官としての意見としてはどうなんだよ。」と続けて聞くと、星弥は「衝動的な自殺ばかりはどうにもならないんだよ。本当に自殺が頻繁に起きているような場所ほど聞いたことがあるかもしれないが、心を落ち着かせるためのヒーリングミュージックを流す、照明の色をブルーライトにする、子供が描いた絵を展示する、いのちの電話の連絡先を掲示することにより思いとどまらせようとする、ボランティアによる声掛け行動もあるが、生きている以上、例えば”もうこれ以上我慢できない”とかさ、今の今まで心の奥底で溜まっていたことだったり、精神科の病院に通っていたとしても、なかなか晴れることのない悩み事というのは誰しもが抱えていることだ。それが何かしらの出来事をきっかけに爆発してしまうともう誰にも止められなくなってしまう。それが衝動的な自殺を止める術がないと言われる理由の一つだ。冷静になってふと我に返って思いとどまってくれたらと思う事案はいくらでもあるよ。でも全ての人の心の救済をするのは不可能なことなんだ。人には人、違って当たり前の環境で、ストレスだと思う事、腹の奥底でずっと我慢に我慢していたことがついに腸が煮えくり返ってしまう形になるケースだってある。」と話すと、星弥の話をじっくりと頷きながら聞いて居た斧落が「やっぱりストレスの多い社会だからこそ、人それぞれが抱える問題の根底は根深いようにも感じるね。いのちの電話の連絡先が記載された看板があったとしても結局は効果を示さないってことなのね。だからこそ、ストレスを作らせない、笑い合える社会環境を築いていくことが今の世の中には必要なことなのかもしれないね。」と話すと、それを聞いた烏藤は「その社会づくりが難しいから、勢いのまま絶命する衝動的な自殺は防ぎようのない事なんだ。粘り強くボランティア活動者による自殺をしようとアクションを起こしている一人一人に対して声をかけて何があったか教えてくださいというように、こういう人を見かけたときに先ず何があったか、単刀直入に聞けなければ何気なくいいお天気ですねとか、いい景色ですよね、とか簡単な会話だけでもいい。誰かに話しかけられて心が楽になって自殺を思いとどまってくれる。」と話すと、一同がゆっくりと話し合っているうちについに東沢大橋の目の前のところまでやってきた。
すぐ星弥と烏藤が霊の有無を確認するために霊視を行い始めると、星弥が烏藤と軽く打ち合わせを行ってから、霊視を行った結果を星弥が畑に対して伝え始める。
「俺がかつて見た赤橋や八木山橋、虹の大橋とは明らかに違うのは自殺の名所と言えるほどの自殺者の数ではないということ。ざっと見た感じちょこちょこといる感じに見受けられる。ざっとだが、今この場には20~30名程の自殺者の御霊をキャッチすることが出来た。50名以上は達してはいないだろうが、俺と烏藤が霊視を行った限りではそれぐらいの数の方々がこの地を最期にしているのは間違いないだろう。橋のこの欄干の下から俺達の動きを注意深く見ている。ここは橋の下をじっと眺めているだけでも、転落防止柵などが何もないために一歩間違えて落ちてしまえば助かる見込みはない。例えばビルのワンフロアが3mだと計算して、40.9m=41mと小数点を切り上げて計算しても、おおよそ14階か15階のビルから転落するのと同じことだからね。俺達が今確認できた御霊達の数とも考えると、恐らくだが自殺とも事故とも判別しがたい事が数年に一度ぐらいのペースでしか起きていないから、管轄する行政もこれが自殺だとは言い切れないのが現実なのだろう。頻繁に起こっているようならばそれこそフェンスを高くする、有刺鉄線を張り巡らせる、いのちの電話の連絡先などを設置したりして自殺行為の抑止効果に繋がることなどをして食い止めたりするが、ここではそのような形跡が一切見受けられない。」
星弥が霊能者としての意見を語った瞬間に、星弥がいる左側の歩道と反対側の右側の歩道から男の叫び声が聞こえ始めた。
”あああああ、あああああああ!!!!!!”
思わず星弥が烏藤のほうを見て「今さっきの声、男だったな?だいたい声のトーンからして30代ぐらいの人かな。」と切り出すと、隣にいた烏藤は「俺が見てくる!星弥は肝試しのメンバーを見ていて!」と話し動こうとした時に、たまらず油井と村田と杉沢村が「待って!心霊写真が撮れるのかも確認したいから写真を撮りたい!」と烏藤に対してその場で懇願すると烏藤は「わかった。撮れるかどうかは保証は出来ないが急ごう。」と切り出して声が聞こえた方向へと駆け寄った。
一方星弥はその場で何事かとばかりに立ち尽くした甲州と斧落に対して「自殺者か事故者の御霊か分からないが、自殺者ならばああいうリアクションは起こさないはずだろう。恐らくだが不注意で転落死してしまった方のSOSの声が聞こえてしまったのかもしれない。」と言って説明すると、甲州が「今もそういった霊達がこの場を彷徨っているってこと?」と聞くと、星弥は「それはわからない。少なくとも新たな自殺者を招こうとして自殺者が声を上げた、或いは邪念を持った霊の存在がいるということを気付かせる目的で注意喚起をした可能性も捨てきれない。いずれにしろ声を上げたり音を立てる等の行為は、そうっとしてほしいか或いは心の迷いに付け込もうとして闇の世界へと導こうとしているのかのいずれかだ。冷静にそこは見極めないといけない。」と答えると、斧落は益々複雑な表情になっていく。
「今先程聞こえてきたのは自殺者の霊?」
斧落が星弥に聞き始めると、星弥は「自殺者であることは間違いない。ただこんな自殺の名所とも見た限りでは言い難いこの場所ではひっそりとこの世からおさらばしたいと思う方々のほうが多いような気がする。」と話す、それを聞いた杉沢村が「ひっそりと死にたいってどういうこと?東沢大橋展望台に限れば大型の観光バスが止められるスペースがあるぐらい、観光地としても知られている場所なのにあえてどうしてここでひっそりと死にたい心境になるのか。」と聞き始めると、星弥は「確かにここは観光地だ。紅葉のシーズンとなれば紅葉狩りにはもってこいの良い場所になるだろう。だがしかし、夜になると山間にあるということもあって街灯も少なく、車の通りも少なくなる。つまり人の目を気にすることなく衝動的に命絶つことが出来る環境が揃っているんだ。観光地でよくある、死んでも自分の遺体を見つけてほしいという考えからあえてそういった場所で絶命した可能性も考えられるが、(欄干から橋の下を眺めながら)こういう渓谷に落ちてしまえば探すのも非常に困難な場所で最期を迎えてしまう方達の心情に果たして”今すぐに見つけてほしい”と思うのだろうか。俺は、動画でもある霊能者が言っていたそっとしておいてほしい心情も察することが出来たが、それだけではないと思う。」と話すと、烏藤が星弥の近くにやってくると星弥に対して「さっきの男の声は自殺者の霊だった。俺達が今撮影しているカメラの存在に気付き、自分の存在をアピールしたいがために叫び声をあげたんだ。だけど同時に男の声だけじゃなく、欄干の下から女の子の声がした。”こっちへおいで、こっちへおいで”ってね。にこやかな笑顔で俺のほうを見るとすっと橋の下のほうへと消えてしまった。これ以上は危険すぎる。」と話すと、星弥は「霊能者としてここにきている以上出来る限り確かめる。とりあえず俺一人で出口のところまで行って見て、真相を追求できるか確かめてみるよ。」と話すと、すっと橋の出口のほうへと歩き始めた。
その様子を見た烏藤は「待って!俺もついていく!」と星弥の後を追うように同行すると、油井と村田も慌てて「待って!俺達もリポーターとして橋の往復をして心霊現象の真相に迫りたい。」と言って星弥の後をついていく。一方で甲州と斧落は何かの存在に怯えながら、甲州は斧落に対して「烏藤さんが話していた、女の子の声がしたっていうのが、わたしにも聞こえてきた。笑い声のような”ふふふふふ”という声が聞こえてきて、自殺者であるのならばどうして笑ったり誘い込んだりするのかがさっぱりわからない。どうしてそんなことをするのか理解できない。」と疑問に思ったことを語ると、斧落は「まさかと思いたいが、星弥さんが以前に話していたという油井君が言っていたことの話になるけども、観光地で死ぬ人の心情としては早く見つけてほしいという事と同時に自分の存在を認めてもらいたいということを言っていたよね。だとしたら、その女の子の声だって、きっと訴えたいことがあるんだろうと思う。」と話したその時に、誰もいない欄干のほうから、乾いた金属音が聞こえ始める。
”カツン、カツン、カツン”
誰かが欄干を叩くような音が聞こえてくるのだが、星弥も含め誰も欄干を叩くような形跡は見受けられなかった。異変は乾いた金属音のみに留まらず、”ズル、ズル、ズル”という衣擦れするような音すら聞こえてきて、辺りは益々沈黙と化してゆく。
星弥が出口にまで辿り着くと帰路につくために、歩いてきた左側の歩道と反対側の歩道で検証を行うために車道を渡ると、謎の男の叫び声が聞こえてきた右側の歩道を歩き始めた。何かを感じ取ったのだろうか、途端に左手でショルダーバッグのポケットの中に入れていた数珠を徐に取り出すと、供養の御経を橋の途中で唱え始めた。
唱え終えたと同時に、その場にいた女性の霊に対して語り始めた。
「君はそこでじっとして何がしたいのか。この世に居るのが嫌でこの地で旅立ったのじゃないのか。」
星弥がそう語ると目の前に、20代前半らしき若い女性がいるのが霊感の強い明るい肝試しのメンバーの誰しもが見ても分かるほどのものだった。女性の霊がいることに気付いた油井と村田と杉沢村が3台のカメラで女性の霊が立っているほうに向けてシャッターを切り始めた。その様子を見た星弥が「写真は撮り続けないほうが良い。この場にいる御霊達を刺激することにも繋がる。怒らせてしまえば俺達でも手の施しようがない。」と指摘した後、女性の霊に対して粘り強く説得をした。
「君は失恋をしたのか?君の顔を見ていると絶望した末に嫌気がさしてここで飛び降りたのか。しかしあの世の世界に旅立ってそこではじめて孤独を味わい、自分の行った行為の罪深さを知れば知るほど、この世に未練を感じて戻ってきた。君にとっては大事な人だったのだろう、だが君の中で若さもあって失ってしまったことの大きさを拭えることが出来ずに、ひっそり死にたい一心でここで飛び降りたんだね。」
星弥が優しい口調で語ると、続けて烏藤が近付くと「ここで君がリーダーシップを握り新たな自殺者を誘発しようとして、さっきの欄干を叩くような音を出したのも、あの男の叫び声は君の仲間だったってことだね。つまり君はそうやって一人しかいない心の闇を埋めるために、霊能者の俺達に気付かせるように大袈裟なアクションを起こして新たな自殺者を増やそうとしているんだね。しかし残念だ。そんなことをしてしまえば、君に待っているのは地獄だ。生者に対し禍を齎し続けるというのがどれだけ罪深い事なのか、あの男の叫び声は、その他にも聞こえてきた呻き声はそっとしてほしいとかそういうことではない。君に対して離れたいというアクションそのものだろう。君はそうやって生者からエネルギーを吸収し続けることにより邪霊としてのパワーが強くなっていった。ここで彷徨う君が仕掛けたトラップにハマり亡くなった御霊達のためにも君には神からの制裁を受けなければいけないだろう。」と話すと、烏藤も続けて供養のための御経を唱えたところで、女性の霊は二人の姿を見て戸惑うと同時に”いやだ、いやだ、あの世界に戻りたくない”と言って懇願し始めると、星弥は「君には戻るべき世界に戻り、裁きを受けなければいけないだろう。若かりし頃の自らが犯した愚行に後悔する日々をするのならば、こんなことをしてはいけないというのが君の仕事じゃないのか。それを君自身が心の寂しさを紛らわすために生者に禍を齎しては、髪は君が起こしてきた行動に対して怒り制裁を与えなければいけないと感じ始めている頃だろう。大人しく君は逝くべき世界へ逝くべきだ。」と強い口調で話すと、再び供養のための御経を唱えたところで女性は観念したのか、淡い黄色い光となって消えてゆくのだった。
その様子を一部始終見た村田は「あの黄色い光は何だったんだ!?」と聞き始めると星弥は「昇天した。もうここには戻らぬように俺と烏藤で説得した。しかし昇天したあの女性に待ち受けるのは生者に禍を齎し続けたことによる裁きが待ち受けている。つまり大人しく昇天していたら天国へ行けた可能性もあっただろうに、死後の愚行により邪霊と化し地獄へ行くコースになってしまった。若いからこそ友情や恋愛で好きだと思ったことに対して全力で情熱を注いできたのかもしれないが、だからこそ失ってしまったときにもうこれ以上自分の力では解決できぬと判断したのかもしれない。白いワンピース姿の彼女を見て、改めて若年層の若者達に対して心の窓口になるようなものが必要だと痛感させられた。一先ず除霊は行えたから、これから先霊現象には悩まされないとは言い切れないが、俺達も改めてこの地で亡くなられた方々に対して両手を合わせ黙祷を捧げよう。」と話した後、橋を渡り切り再び入口の所へと戻ってきたと同時に進行方向に向かってメンバー全員が手を合わせ黙祷を捧げた。
「安らかにお眠りください。」
甲州が呟くように語ると、次の心霊スポットへと向かうまでに星弥と烏藤によって御祓いを行ってから東沢大橋を後にすることにした。
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